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鑑賞ログ『首』

231130

ま、北野作品はとりあえずチェック。
とはいえ、これよりも『アナログ』の方が興味あったけど、タイミング合わずにそちらは断念。
友人からもオススメされた。

信長に反旗を翻した織田家家臣・荒木村重。1年以上の戦いの後、姿を消した荒木の処遇をめぐって、荒木と親戚関係にあり同じく織田家家臣の明智光秀と羽柴秀吉、そして徳川家康の天下をかけた危急存亡を描いた作品。
千利休の暗躍、甲州征伐、中国攻めなどを織り込みながら、天下統一という大きな時代のうねりの中で、武将たちがいかに生き、戦国最大の謎、本能寺の変はいかにして起こったのかを大胆解釈でエンタメに昇華する…!という感じかな。

それにしても大胆すぎるよ!という感じ笑
これは確かに役者は前に立って宣伝活動は出来ないよな、と納得。
東宝と角川の共同配給の割にはテレビとかの宣伝活動が地味だった理由がよく分かる。

北野映画を全て見ているわけではないけれど、個人的には『アウトレイジ 最終章』の冒頭の車を垂直に見下ろすカットの美しさに心を奪われたクチ。
あのシーンだけで北野武の美意識がよく分かるように思う。

たぶん、北野武の根底には”無常”というものがあり、死に綺麗も汚いもない、というのがあるんだと思う。
だからこそ、この作品の暴力は突然訪れるし、時にコミカルですらある。
この傾向って北野作品に連綿と流れている気がするな。
だからこそこの作品においては、あの冒頭とラストシーンなんだろう。最後のシーンは最高だったな。

個人的にはちょっとふざけすぎてナンセンスさを感じる部分もあるけれど、そこは「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」でスコセッシも遊んでたから、責めるべきものではないな。
あと、流れが時々止まるというか、つつつーっという流れの中で、ちょっと強引に思える感じで役者が首上アップでセリフを言うシーンがあるのがちょっと気になったな。
あれなくても物語は進むように思うんだが…私の勘が悪いだけ?

合戦シーンも迫力あるし、衣装もいい。いい時代劇でもある。ちょっと最初、明智光秀の頭に違和感あったけど。
信長役は久しぶりの加瀬亮。いい。色気と狂った感じがとても良い。出番のうち8割ぐらいは血管が浮き出てる笑。
西島秀俊が時代劇の王道・美しき明智光秀。いい。最後のシーン楽しそうだったな。
この作品の裏主演は中村獅童。この人って日本映画界屈指の年齢不詳俳優な気がする。いい。
服部半蔵役の桐谷健太も色気があってよかったな。あんまり喋らない役の方が個人的には好きかも。
あと、柴田理恵は相変わらずいいな。この作品唯一の女優と言っても過言ではない。

なんだろう、起用する役者陣に北野武の人柄の良さを感じるのは笑。勝村政信とか監督が好きな役者を選び、みんな監督のことが好きなんだろうなと感じる。常連も多いしな。
大竹まことの演技を見たのは、超久しぶり、もしかしたら初めてかもしれないけどよかったな。

天下統一の時代の中で、武将たちの人間関係を新解釈していくわけだが、みんなピュア。そんな中で秀吉と家康が腹黒い。ということはやっぱり天下人は腹黒じゃないとダメってことか。
爆笑問題の田中裕二がラジオで「戦国版アウトレイジ」と言い切っていたけれど、確かに腑に落ちる表現だな。

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