東京都知事選挙(2024年)の結果に対する感想
2024年の東京都知事選挙が終わった
2024年の東京都知事選が終わったので、今回の記事では「東京都知事選挙(2024年)」の結果に対する感想等を書こうと思う。
選挙前の予想
投・開票日を前に、私は2024年の東京都知事選挙の結果を予想する記事を書いた。
上記の予想の内、①と④は的中、②の「2位じゃだめなんですか?」の蓮舫が2位になると、③の石丸伸二の票は多くて60万票前後で3位に終わるが
石丸伸二が2位、蓮舫が3位と逆の結果になった。
各候補の得票数
前回の2020年の東京都知事選挙より投票率は上がり、各候補の得票数は下記の通りとなった。
前回の東京都知事選挙との比較
前回、2020年の東京都知事選挙の上位3候補の得票数は
1位:小池百合子/360万票
2位:宇都宮健児/80万票
3位:山本太郎/60万票
だった。
今回は、2020年の東京都知事選挙より候補者数が多いのだから票が有る程度ばらけるという点も加味する必要は有るが
1位:小池百合子/290万票
2位:石丸伸二/160万票
3位:蓮舫/120万票
という結果になっている。
前回と比較すると、小池百合子が
360万票-290万票=70万票
票数を減らし、
宇都宮健児の後継として出馬したと言える立場の蓮舫が
120万票-80万票=40万票
票数を増やした。
注目するべきは石丸伸二候補
だが、今回の東京都知事選挙で注目するべきは石丸伸二候補だろうと私は考える。
左翼・リベラルの東京都民数の上限が140万前後
前回の東京都知事選挙に出馬した山本太郎は、宇都宮健児と似た様な政策を掲げていて、宇都宮健児と山本太郎で票割れを起こしていたと言える部分が有った。
実際、前回の東京都知事選挙で、宇都宮健児と山本太郎が獲得した票数を合計すると
80万票+60万票=140万票
となり、今回蓮舫が獲得した票数と大きな差が無くなる。
いや、
140万票-120万票=20万票
と、今回蓮舫が格闘した票数は前回、宇都宮健児と山本太郎が獲得した票数の合計より20万票ほど減っている。
このことから言えるのは、東京都内に住民票を持つ左翼・リベラル系の有権者数の最大数が実は140万人前後で、左翼・リベラル系の得票数はここが頭打ちになっているのではないか?という点だ。
石丸伸二の160万票の内59万票は小池百合子から奪った票
おそらく、今回蓮舫に投票した人の9割以上は前回、宇都宮健児か山本太郎に投票した人だと考えられる。
では、小池百合子が何故70万票も票が減っているのかだが、その答えは、石丸伸二と暇空茜(ひまそらあかね)に流れた、と考えられる。
石丸伸二は得票数160万票、暇空茜は得票数11万票なので、両方の得票数を合計すると171万票になる。
この内、70万票は、小池百合子が減らした票と考えて間違いないだろうと思う。
内訳としては、石丸伸二の票の内59万票と、暇空茜の票11万票全部が、小池百合子が減らした票だろう。
石丸伸二の160万票の内、101万票は若者票
では、残りの石丸伸二の101万票は何処から来た物なのか?
この101万票は今回若者(10代~30代前半)票であると考えられる。
何故、石丸伸二は若者層に支持された?
では、何故石丸伸二に投票した若者が多かったのか、その理由として一番大きな物が毎日新聞に書かれていたので、それを紹介しておこうと思う
有料部分に書いてあるのだが、若者世代が石丸伸二を支持した理由は、突き詰めると「石丸伸二が、小池百合子都知事(現役)でも蓮舫(リベラル)でもない、第三の選択肢と感じたから」だそうだ。
①,小池百合子を残そうとする石丸伸二と、小池百合子を壊そうとする蓮舫
第一に、石丸伸二が発表していた政策は、小池百合子都知事の良い所は残しつつ、変える必要が有る最小限の所は変えようというものであり、小池百合子都知事がこれまでやってきた事を全部壊そうとする蓮舫より、石丸伸二の方が良いと感じた若者が多い。
②,X(旧Twitter)やFacebookはオールドメディア、若者人気はTikTok
第二に、X(旧Twitter)やFacebookが、若者たちの間でオールド(古い)メディアの仲間入りをしていると認識されているらしい。
確かに、TwitterやFacebookは、どちらも誕生してから既に15年以上が過ぎている。
若者達の間では、X(旧Twitter)やFacebookはおじさん・おばさんの使う物で、Instagramもオールドメディアに片足が入っているという認識、若者達の間での流行りはTikTokの59秒動画なのだという話だ。
1分に満たない動画で引き込ませる事ができるTikTokerが若者の間で人気になる時代、石丸伸二は早くからそこに着目し、2023年の夏頃からTikTokで知名度を上げていて、若者達には選挙前から好印象で知名度が有った。
③,若者世代の考えは「他者を蹴落としても自分が勝者になる事」
日本の景気が悪化している事などは、若者世代…所謂Z世代も感じている部分が無いわけではないらしい。
ただ、だからといって、多様性や平等などを重視する形に世の中を変えて行こうとする流れに対してはZ世代の主要層は否定的だという事が、出口調査の結果等を踏まえて出て来たそうだ。
若者世代…所謂Z世代の間で今流行っている考え方は
「日本の景気や、その他の様々な要素が悪化している事は感じていない訳ではない、ただ、どれだけ景気やその他の要素が悪化しようと、自分自身が勝ち組でいる人間には世の中の悪化は無関係で居られる」
という考え方だそうだ。
そして「勝ち組になるためには、他人を蹴落としても良い」と考える若者が増えてきているのだそうだ。
そういう若者達…Z世代にとって、
小池百合子は、勝ち組だけれど性格が気に入らないおばさんに見えた、
蓮舫は、小池百合子を批判する事しかできない負け組おばさんに見えた、
石丸伸二は、理想のスター的勝ち組に見えた。
この3つの要素が、若者達…Z世代に石丸伸二に投票した人が多かった理由になっていると考えられるそうだ。
特に3つめが大きく、石丸伸二の姿を「自分がこうなりたいと思う理想像」と見て投票した人が少なくない様に見受けられたというだ。
結論:石丸伸二を支持した若者は第三勢力
この記事を読んで私は、石丸伸二を支持した若者は「右翼・保守主義・愛国主義とも左翼・リベラルとも違う、第三勢力」なのだと感じた。
この第三勢力は「平等」や「多様性」を否定し、同時に「愛国心」も否定し、「自分が勝ち組としての地位を固定できるなら、他者はどれだけ蹴落としても問題無い」と考える、「資本主義絶対主義」とでも言うべき考え方の層なのかもしれないと私は思う。
Z世代にとっては「保守」も「リベラル」も古い思想で、Z世代の主流思想は「自分が勝ち組になるためなら他人を蹴落としても良い」という超個人主義である点は、今後の選挙で考慮する形を取り入れる必要は有るのだろうと思う。
リベラル・フェミニスト側の人間からの石丸伸二評
リベラル、フェミニスト側の陣営で、石丸伸二に対して一定の評価をする旨の記事を書いていた人物がいたので、その記事をここで紹介しておこうと思う。
この様に、対立候補に対しても敬意を払い、対立候補の強い所を強い所と認めることができる人というのは、どの陣営でも重要な存在だと私は思う。
蓮舫が支持されない理由
石丸伸二が票を伸ばした傍ら、蓮舫は、前回の東京都知事選挙の左翼層の票数から、10万票ほど、得票数を減らす結果となっていた。
左翼側が考える蓮舫の敗因
これは果たして何故起きたのかだが、それについて、左翼層の人が書いた考察のnoteが有る。
こういう、身内(左翼層)の中の批判者からの声を受け止めない限り、蓮舫で有れ蓮舫以外の誰であれ、左翼層が政権につける事は無いだろうと言える良記事だ。
蓮舫の敗因は「今回の選挙に関して取った行動全部」
正直、蓮舫の敗因については上げて行けばきりがない。
一言で言うなら蓮舫の敗因は「今回の選挙に関して取った蓮舫(と、蓮舫を支持する人達)の行動全部」と言える。
・立憲民主党の支持者ですら半数以上は小池都政に好評価だった
先ず、各種報道の調査等で、立憲民主党の支持者でも半数以上は小池都政に好評価であった、という点が有ります。
なので、上記の通り「小池都政を止めたいなら蓮舫さんしかない」という呼びかけでは空回りして立憲民主党の支持者には響かなかった、という点が蓮舫の敗因の一つです。
この点、石丸伸二は小池都政の良い所は引き継ぎつつ、変えるべき所は最小限だけ変えるという方向性を打ち出していた。
・「小池都政に噛み付く蓮舫」の図=「女対女」の図に
蓮舫陣営は、「小池都政に噛み付く蓮舫」という形に蓮舫を演出することで支持を集めようとしたのだろう。
しかし、これは男性と女性の考え方の違いともいえる話だが
女性は「敵を馬鹿にしたり敵を嘲笑する人に好感を持つ人が多く、敵に敬意を払ったり、敵を持ち上げる発言をする人に嫌悪感を持つ人が多い」
男性は「敵に敬意を払える人には思想関係なく好感を持つ人が多く、敵に敬意を払えない人には思想関係なく嫌悪感を持つ人が多い」
という傾向が有る。
元々、立憲民主党の支持者の半数以上が小池都政に好評価を持っている状態で、「小池都政に噛み付く蓮舫」を演出した事で、蓮舫を個人的に支持・応援していた男性支持者の大半が蓮舫離れを起こした事は容易に推察できる。
その結果 「小池都政に噛み付く蓮舫」の図は、同時に「女対女」の図となってしまった。
そして、「同じ女性知事なら、蓮舫よりは小池百合子の方が良いな」という支持層を増やす結果になったのだろう。
この上で「小池百合子よりも石丸伸二の方が良いな」と思った人が多かったから、石丸伸二票が多かったと言えるが。
・蓮舫支持者の感性がオールド化していた
石丸伸二についての所でも述べたが、若者達の間では、X(旧Twitter)やFacebookはおじさん・おばさんの使う物で、Instagramもオールドメディアに片足が入っているという認識、若者達の間での流行りはTikTokの59秒動画なのだという話だ。
蓮舫支持者の大半は、若者達からオールドメディアと認識されている場所の中で、蓮舫支持の声を上げていた。
これは、小池百合子支持の人達にも言える事だが。
人間の感性というのは歳を取るほどどうしても古くなってしまう。
蓮舫 対 小池百合子 の図は、若者から見れば「おじさん・おばさん同士が騒いでいる」と映ったのだろう。
極めつけは、新宿で蓮舫が行った街宣で、スマフォのライトをつけて、音楽に合わせてスマフォを振るという、今の40歳~60歳ぐらいの人が20歳ぐらいの頃に流行っていたムーブをした事だ。
それが若者に受けて、若者の支持を得られると思ったのかも知れないが、今の若者は、そういうムーブに興味が無い。
先に述べた様に、今の若者の間には「自分達が勝ち組になれるためなら他者を蹴落としても良い」という思想が有り、その思想の下に「自分達がこうなりたいと思うスター」を支持するという傾向が有る。
石丸伸二に投票した人の中には「自分は将来石丸伸二(みたい)になりたい」という人が少なくないと言える。
今の若者に「蓮舫になりたい」という人が居るかと言えば答えはNOだろう。
若者から見れば、都知事選に出る前から蓮舫は負け組の一人で投票候補になる事は無かった事が伺える。
この、「自分が将来こういう人になりたい」という人に若者が投票する傾向は大阪でも同じ様な流れが有り、それが維新の会が高い支持を得ている理由の一つだと考察している人も居る。
TikTok等の新しいメディアが出てきた事で、選挙の形が「代表を選ぶ」形から「自分達が将来この人みたいになりたい理想像の人」を選ぶ形に変化している傾向が有るのかもしれない。
結論:負けるべくして負けた蓮舫
結論として言えば、蓮舫は「負けるべくして負けた」「今回の選挙に関して取った蓮舫(と、蓮舫を支持する人達)の行動全部が敗因であった」と言える。
この点については、下記の記事の様に書いている人が居る。
なお、選挙後に(悪い意味で)話題になっている「Rシールの件」や、「蓮舫の支持者が、小池百合子の街宣を野次って、街宣を止めさせた件」等については、話したら長くなりそうなので、私は語らない事にする。
ただ、一つだけtogetterのまとめを貼っておこうと思う。
結論:小池百合子が勝つと最初から決まってた
最終的な結論として言えば、今回の東京都知事選挙は、小池百合子が勝つことが戦う前から見えていた選挙だったと言える。
その上で、小池百合子に冷や汗をかかせたのが、第三勢力である石丸伸二だったと言えるだろう。
最後に、リベラル・左翼系の蓮舫支持者の人が書いた東京都知事選の振り返り記事を載せておこうと思う。
これを読んで、皆さんはどう思うだろうか?
私は「蓮舫が勝てる目が無かったのも納得できる」以上の感想は出て来なかった。
おまけ(余談)
余談だが、例の「Rシール」に関しては、こういう経緯での物らしいので、蓮舫が「Rシール」を貼った人を直接非難・批判する事は不可能な状態らしい。
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