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蓮舫さんに投票したけど石丸さんに投票する人の気持ちもめっちゃ分かる話
今回の選挙、政治やジェンダー問題に関心のある市民として、蓮舫さんを応援できてとても楽しかったです。でも1人の広告産業で働く人として、そして短期間ですがSNSやひとり街宣で選挙の応援をさせてもらった身として、新規の方々に向けたコミュニケーションのあり方について改善できる点があったので書き残しておきます。
日本では政治のことが分からないのがデフォルト
日本では主権者教育が行き渡っていません。ニュースも政治の話をあんまり取り上げない。日常に政治の話はない。事前の選挙番組もない。蓮舫さんが街宣で言ってくれたように「忙しくて、苦しくて、もがいて」政治が自分に何してくれるかなんて考える余裕がないまま、政治家を選べと言われてるのが多くの人たちではないでしょうか。
このnoteを読んでくれてる人も、最初の頃は政治なんてわからない中で、もがいて、自省を繰り返して、やっとの思いで政治にたどり着いたのではないでしょうか。でもそんな長くて複雑なジャーニーを選挙期間の2週間で、忙しい人たちに体験してもらうのは無理です。その前提で新規の人に投票していただかなければなりません。
わからないけどわかりたい強い気持ち
私はこれまでTiktokやInstagramで国会動画を発信し、特に忙しい若者や女性の方々に向けて政治への関心を高められないかトライしてきました。TikTokやInstagramで100万〜400万回再生された動画もありました。動画をバズらせるなんて軽薄だと思うかもしれないけど、これはこれで世論を感じられる場でもあるんです。
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そんな中で気づいたことが、少なくない人にとって、政治家は「わからない」ことを話す人たちだと思われているということです。右とか左とかそれ以前に、わかりたいけどわからない。だからこそ、「わかる」言葉で話してくれる政治家が現れることは、ものすごく嬉しいことなんです。なぜなら自分にその政治家の言ってることがわかる=その政治家が自分のことをわかってくれてるということだから。
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そして今回の石丸さんの動画に集まっているコメントにも、「わかりやすい」というコメントがかなりありました。彼の動画へのコメントは、私がアップした動画へのコメントと共通しているように見えました。
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またTikTokなどでコメントをくれる人たちは、「わかる」と思ったらすぐに信じてくれる、素直で心のきれいな人たちだということです。
私のバズった投稿のコメント欄を見ると、「この人まともじゃん!」「推せる!」「この人に投票する!」そんな熱狂が見えてきました。初見の政治家さんをこんなにも信頼してくれるんだと当時は驚いてました。
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石丸さんのコメント欄を見ると、同じような熱狂のコメントが並んでいて、ああ、あの時と同じことがもっと組織的に大きな規模で起きてるんだと気づきました。本当だったら私がやりたかったことを、成功させたのが彼なのです。
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政治関心度によってわかるトピックが違う
国会ショート動画をやっていると、自分がいいなと思った動画がなかなか届かず、思ってもない動画が届くことがよくありました。調べたところ、政治関心度によって、反応するトピックには特徴があるという仮説が見えてきました。
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以下の黒くなっているゾーンは「わからない」トピック。政治に関心のない人には、このゾーンは視界に入らないんです。このわからないゾーンの話題を新規の人に届けるには結構な工夫がいります。
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石丸さんが演説で政策ではなく個人の話をしていたとのことですが、まさに「わかる」ゾーンの極北で話していたということです。(これは他の政治家さんが真似したからと言って同じにはならないです。)
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普通の政治家さんだと、リアルで話したトークの中から「わかる」と思われそうなパートを動画にするのですが、石丸さんの場合はそもそもショート動画にすることを見越した上でリアルで話してるように見えます。個人的にそれはどうかと思うし、実際リアルでハレーションを起こすことにつながっている気もしますが、バズるために最適化したらそういうことになるのでしょう。
石丸さんのマニフェストも、統一教会関係者に推されてたことも、私は評価できないです。動画を作るお金はどこから出ていたのか。ただ、世の中の人たちのニーズに合わせて行動をしていたとは思います。世の中がどんどん悪くなってる。政治のことは誰も話してくれない。でも、今の政治家の言ってることはわからない。何かを変えたいと必死に手を伸ばした時、すぐ届く場所に、わかる動画があった。広告業界に働いている人としては、ちゃんとコンタクトポイントを分かってて、適切なメッセージを出していたとは思います。
問題なのは、既存の政治家がその政治を分かりたいという切実な思いに応えられなかったということです。(政治家だけでなくメディアも教育もなんですが、それを言っても始まらないので政治家の話をします。)
推しの動画が伸びない(涙)
蓮舫さんの演説はとても素晴らしく、毎日ブラッシュアップされていたし、結婚しない選択について語ってくれた部分は心が震えました。もっと蓮舫さんが言ってくれたことを世の中に広めたいと思いました。
TikTokでは国会議員時代の「生理の貧困」についての動画が最も多く(現時点で64万回)再生され、好意的な意見が多数集まりました。もし国会議員に戻られることがあれば、女性や若者の味方という側面がもっと知られてほしいし、知らせたいと思います。
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でも、なぜか蓮舫さんの演説のショート動画の再生回数が伸びづらいことにも気づきました。そもそも過去の傾向から演説動画は伸びづらいんですが、私の力不足・準備不足もあるでしょう。「蓮舫さんがこんなに素敵な人だったんだ」ってみんなに気づいてもらいたかった。。
そして、政治についてほぼ知らされてない、自分の悩みと政治のつながりが顕在化しない新規の人にとっては「わからない」内容もあったのかもしれません。私1人の力では、エコーチェンバーを超えることができませんでした。
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そしてコメント欄はひどかった。日本社会を覆いつくす戦う女性に対するミソジニーや、これまで作られてきたネガティブなイメージに圧倒されました。もし蓮舫さんと同じことを男性が言ってたらこうはならなかったでしょう。
コミュニケーションを工夫するのは洗脳?
選挙のたび、コミュニケーションを工夫したらどうかと投稿すると、「洗脳、プロパガンダになってしまう。」「中身がなくても金さえかければ当選してしまう。」という声を聞きます。でも、コミュニケーション産業で勤める私からすれば、だからこそ「中身がある」人がコミュニケーションの工夫をして欲しいんです。
政策では困っている人のことを考えているのに、コミュニケーションでは困っている人に届けるためのリソースを割いていないこと、非常にもったいなく感じます。
バズる論破動画を作ればいいと言っているのではありません。必ずしも動画でなくてもいいので、自分が届けたい相手に「わかる」「届く」コミュニケーションをやってあげて欲しいんです。洗脳とかではなく、いま困ってる国民へのアウトリーチだと思って欲しい。選挙前だけじゃなくて継続的にやれば知見も溜まります。それはボランティアじゃできない。
新規向けと支持者向けは別のキャンペーン
私みたいな政治やフェミニズムに関心のある人に響くコミュニケーションと、新規の人に響くコミュニケーションが違うことは、分かってもらえたと思います。今回私が選挙に参加してとても楽しかったのは、私のような人のためのコミュニケーションだったからなのかもしれません。
例えばなんですが、支持者の結束を高めるコミュニケーションと、新規の人に知ってもらうコミュニケーションを分けて考えるのはどうでしょうか?ターゲットごとに担当会社や担当者も変える手法も、一般企業では当たり前にやっていることです。
新規向けのコミュニケーションには、ジャーナリズムや市民運動とは違った、無関心な人を振り向かせることに長けた広告やSNSのプロをチームで(1人だと孤立するので)思想とか置いといて一度がっつり使ってみるのはどうでしょうか。政治的価値観が同じじゃない人と働くことに抵抗がある人もいると思いますが、意見が違う人と一緒に物事を進めていく過程も民主主義ではないかと思います。
専門業者さんや代理店の講座を受けたり話を聞いて欲しい、十分なお金をその人たちに払って欲しいと心から願っています。
まとめ
政治のことがわからないけどわかりたい人は想像以上にいる
わかりたい気持ちに既存の政治家が答えられていない
コミュニケーションを工夫するのは洗脳ではなくアウトリーチ
新規向けのコミュニケーションと支持者向けのコミュニケーションは分けて考えては?
政治的価値観が違う人とも一緒に働いてみてもいいかも?