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上向き三角形のロゴの商品は好まれる

ロゴマークの三角形が上向きだと下向きよりも消費者に好まれるという趣旨の論文があったのでメモ(1)。

これまでの研究を見てみると,商品のロゴマークや形によって味の心理的評価や好意度が変わることが分かっています。具体的な研究の結果を挙げると以下のようなものがあります。

・大きな物体への好意度は高い(23
・車のインテリアは丸いデザインのほうが好まれる(4
・チョコレートなどの商品のパッケージは丸みがあるほうが好意度が高い(5
・黄金比を持っている物体は好まれる(67

今回紹介する論文は商品のロゴマークによって味の評定や好意度が変化することを教えてくれます。

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2013年にリード大学のリティーブ・ウエスターンマンらが商品のロゴマークによって味の評定,好意度が変わるのかについて調べるために実験を行いました。

実験の対象になったのは大学生116名でした。

実験参加者はランダムに2つのグループに分けられ,それぞれ割り当てられたボトルの商品に対する評価をしてもらいました。その2つのグループと以下のようなものでした。

<グループ1>

<グループ2>
ウォッカ

それぞれのボトルの商品にはロゴマークの形,向いている方向とロゴマークの配置に違いを設けた9種類を用意していました。商品がPC上に提示された後に以下のような項目で評価を行ってもらいました。

・典型的かどうか
・目を引かれるか
・好意的かどうか

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実験の結果,丸い形のロゴマークの商品(水・ウォッカ)は尖った形のロゴマークの商品と比較して購入する確率が高く,より目に留まりやすく,好意度が高いことが分かりました。

ロゴマークの向きに関しては商品のロゴマークの向いている方向が上向きだった場合(▲)に商品のロゴマークの向いている方向が下向きだった場合(▼)と比較して購入しようとする動機が高く,より目を引きやすく,好意度が高いことが分かりました。

そして商品のテキストがロゴマークの右側に位置する場合に商品のテキストがロゴマークの左側に位置する場合と比較してより目を引きやすく,実用的で,好意度が高いことが分かりました。

尖っている物体(三角形やV字)に対する好意度の低下はネガティブな感情との関連が強いこと(89),物体の向きでは下向きの三角形の知覚すると恐怖刺激を見たときに活性化する偏桃体の反応が強くなることが先行研究でも分かっています(10)。また下向き三角形は上向き三角形よりもほかの図形に紛れていても早く検出することができます(10)。

テキストの位置に関してロゴマークの右側にテキストが位置する場合に好意度が高くなったのは典型性の評定も高くなっていたことから,テキストがロゴマークの右側に位置するほうが親和性が高いと考える傾向がある可能性が考えられます(11)。

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(1)Westerman, S. J., Sutherland, E. J., Gardner, P. H., Baig, N., Critchley, C., Hickey, C., ... & Zervos, Z. (2013). The design of consumer packaging: Effects of manipulations of shape, orientation, and alignment of graphical forms on consumers’ assessments. Food Quality and Preference, 27(1), 8-17.

(2)Silvera, D.H., Josephs, R.A., & Giesler, R.B. (2002). Bigger is better: the influence of physical size on aesthetic preference judgments. Journal of Behavioral Decision Making, 15, 189-202.

(3)Bar, M., & Neta, M. (2006). Humans Prefer Curved Visual Objects. Psychological Science, 17, 645 - 648.

(4)Leder, H., & Carbon, C. (2005). Dimensions in appreciation of car interior design. Applied Cognitive Psychology, 19, 603–618

(5)Westerman, S. J., Gardner, P. H., Sutherland, E. J., White, T., Jordan, K., Watts, D., & Wells, S. (2012). Product design: Preference for rounded versus angular design elements. Psychology & Marketing, 29(8), 595-605.

(6)Fechner, G. T. (1871). Zür experimentalen ästhetik [On experimental aesthetics]. Leipzig, Germany: S. Hirzel.

(7)Thorndike, E. L. (1917). Individual differences in judgments of the beauty of simple forms. Psychological Review, 24(2), 147–153.

(8)Aronoff, J., Barclay, A. M., & Stevenson, L. A. (1988). The recognition of threatening facial stimuli. Journal of Personality and Social Psychology, 54, 647–655.

(9)Aronoff, J., Woike, B. A., & Hayam, L. M. (1992). Which are the stimuli in facial displays of anger and happiness? Configurational bases of emotion recognition. Journal of Personality and Social Psychology, 62(6), 1050–1066.

(10)Larson, C. L., Aronoff, J., & Stearns, J. J. (2007). The shape of threat: Simple geometric forms evoke rapid and sustained capture of attention. Emotion, 7(3), 526–534.

(11)Winkielman, P., Halberstadt, J., Fazendeiro, T., & Catty, S. (2006). Prototypes are attractive because they are easy on the mind. Psychological Science, 17(9), 799–806

■なぜこの店で買ってしまうのか ショッピングの科学/パコ アンダーヒル (著), Paco Underhill (原著), 鈴木 主税 (翻訳), 福井 昌子 (翻訳)

■スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?/ジョン・ムーア  (著), 花塚恵 (翻訳)

■なぜ人はショッピングモールが大好きなのか/パコ・アンダーヒル (著), 鈴木 主税 (翻訳)

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