鹿と猪のスパイシー肉団子-香草トマト煮で-
ご近所さんからシカとイノシシを貰った。
昔から近所付き合いが多い地域で、野菜や果物、お土産や味噌、煮物やパンなどがよ~く行き来する。
が、鹿と猪を貰ったのは初めてだ。
貰った物らしく、「使いこなせないの~!!」
って俺の所に巡ってきた訳だ。
猪と鹿、後は蝶々があれば猪鹿蝶で役が揃ったな。。。
とか花札のことを考えつつ料理を。
イノシシ肉は牡丹肉と言われるのに、花札では牡丹じゃなくて萩の花なんですよね。
前から違和感があったけど、萩はイノシシの寝床として有名らしいですね。
左の赤身が鹿肉、右の脂の多いのが猪。
筋や多少の血や汚れはある物の、身質は中々良い。
けど鮮度的にはしっかりした火入れと、臭みがそこそこ強いので工夫が必要だと感じた。
加工して、半分はお返しにしようとも思っていたので、持ち運べるのと、男子にウケが良さそうなのがいいな……
鹿肉は脂が少なく、しっかり火入れすると固い。
猪はかなり脂が多い。
うむ、ミンチにして混ぜて使おう。
スパイス効かせて、トマトソースで食おう。
って感じでメニュー決まりました。
【ジビエ肉団子の香草トマト煮】
・刻んで叩いて
猪の脂が多すぎるんで半分くらい残して刻む。
半解凍くらいでやると切りやすいし、乳化しやすい。
残りの脂身は冷凍しておく。
ラードの代わりに使おう。
んで、刻んだのをハンドブレンダーで細かくする。
ペーストって感じ。
これが他の肉をくっつけてくれて、ジューシーさの素になる。
鹿は細かく刻んだり、叩いたりする。
まずは1/3を刻み、ハンドブレンダーで細かくミンチに。
本当は、ミンチマシーンや、クイジナートがあれば良いんだけど、ないからこれで。
残りの2/3は粗く叩き、粗挽き肉として使う。
ワイルドな仕上げにしたいので、粗く香りと食感を残す。
手でスピーディーに混ぜる。
冷たさをキープするのが美味しい挽き肉料理の基本。
鹿7:猪3くらいのミンチ肉。
合計2キロくらい。
・混ぜて丸めて
玉葱2個とセロリ同量を炒めて冷ましておく。
半分は団子に、あとの半分はトマトソースに使う。
繋ぎ役に市販の合い挽き肉を300gと、卵1個、牛乳、炒めた玉葱とセロリ、塩、スパイス類
今回は、胡椒、ナツメグ、クローブ、コリアンダー、ジュニパーベリー、クミンを使用。
ハンバーグとタコスを合わせた感じの香り。
こんな感じ、粗いのが所々いる。
んで、ちょっとレンチンして味見。
ボソボソだし、固い。
もうちょっとふっくらジューシーが欲しい。
水、パン粉、牛乳、おからパウダー、とろけるチーズ、を追加。
水分とクリーミーな感じを足してジューシーに。
味見してOKだったので、丸めていく。
・焼いて煮込んで
叩きつけて空気を抜き、丸くして、油を塗った手で表面を滑らかにする。
フライパンに並べて、しっかり焼く。
焼き目はしっかりつけて香ばしく。
半生状態だと崩れやすいので注意。
しっかり焼いて、脂を拭き取る。
猪の脂はかなり重たいので注意。
写真の量×三回分あった。
トマトソースにいれてサッと煮込む。
しっかり煮たのも美味いが、肉とソースで別の味がする野生的な物も好き。
トマトソース
トマト缶、セロリ、玉葱、ニンニク、赤ワイン、塩、醤油、バルサミコ酢、牛乳
コショウ、ローズマリー、タイム、オレガノ、バジル、クミン、セージ、マジョラムなど。
トマトは二回に分けていれ、酸味をしっかり残した。
香草×トマトが主体。
香草は好きなのを使って。
ローズマリーはあった方が美味い。
大量大量。
こんなに入れると混ぜるの大変だから、作る量に合わせて鍋のサイズを変えて下さいね。
写真のでトマト缶3缶だけど、それでもちょっと足りないから、トマト缶はたっぷり使う方が良い。
肉が固いから汁気は多めじゃないとね。
・よそって食べて
今日はカレー的な食べ方で。
雑味のある玄米との相性がめっちゃ良い。
お好みで、チーズや胡椒、タバスコなどをかけて。
ハーブの香りと酸味のしっかりしたトマトソース
スパイシーで歯応えのある肉団子。
北欧の田舎っぽい味(行った事ないけど)
今日の食卓はこんな感じ。
ジビエ肉団子の香草トマト煮
ジャガイモのチーズ焼き
豚舌ハムと豆のサラダ
キャベツのスープ
玄米ご飯
トマト煮はご飯と一緒でも、別々でも良い。お好みで。
パンでもいいし。
あ、パスタでやれば、カリオストロの城にでてくる例のパスタみたいになるなぁ。
・運んでシェアして
そうそう、できあがってまだ熱いトマト煮込みを、ご近所さんに持っていったんです。
「肉ありがとね~」って。
そしたらお返しに鹿肉を貰ったんです。笑
またしても。。。!!
次は違う料理にするシカないよね。
あぁ、次は何にしようかなぁ…
ラグー作ろうかな。
程よい距離感の近所付き合いって
「たくさんあるから貰って~!!」
「ありがと~!!お返し~!!」
の繰り返しなんです。
めっちゃシンプル。
親戚とか兄弟みたいな感覚。
これからもよろしくお願いしますね。
・ジビエと森林。
ちょっと真面目な話。
最近、シカやイノシシなどが害獣被害で問題視されている。
調べたり、猟師さんに話を聞いたりするとたしかに問題だと思う。
数年前は「その害獣を食べてしまえば色々と解決するのでは??」
と思っていたが
勉強すればするほどそんな簡単な問題ではないと気付いた。
まず、圧倒的なのは動ける猟師の人数が不足していること。
次に、捕れたとしても、適切な処理をして、販売まで持っていくのが難しい事。
処理施設が少ない上に時間制限がかなりある。
もちろん衛生の為にしっかりするのは大切だが
このままでは流通量も低下していく一方だ。
国や自治体でしっかり取り組まねばならない
問題のひとつだ。
そのうえ、山や森の伐採や、手入れの過不足なんかも要因のひとつになっている。
ジビエ、最近では食べる事が増えてきたが、その背景にもちょっと気にしてみて欲しい。
畜産の環境負荷について論じられる事が増えてきたが、ジビエについても少し興味を持って欲しいな、と思う。
身近な問題だし、菜食の人にも雑食の人にも関係している。
・おわりに
色々と思う事はありますが、美味しいとか楽しいって事は興味を持って貰うのに一番だと思うんです。
だから、これからも美味しく楽しくと少し知って欲しいことを発信していきますね。
てな訳で、今日の所はここらで。
まだまだ寒い日が続きますがお身体に気をつけて。
いつもありがとうございます。 どこまでも美味しい料理の為に使わせてもらいます、ありがとう。