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休職明けのメンバーは3年かけて育てよう/しくじりマネジメント

昨今、メンタルヘルス不調から体調を崩し、お休みをすることになる人が増えていると思います。もちろん、心を休ませ、再度復帰するための準備をする期間として、休職することは決して悪いことではありません。

ですが、残念ながら、厚生労働省の調査によると、メンタルヘルスに不調をきたして休職した社員のうち47.1%が5年以内に再発、再休職を取っていました(出典:平成二十八年度労災疾病臨床研究事業費補助金「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」)。

なぜ、再休職になるのか?
僕は復職、受け入れにおける上司の知識不足・準備不足が大きな要因だと思っています。

今回はセンシティブな内容のため、僕自身の失敗の詳細はお伝えしかねますが、復職の受け入れを過去に何度か経験し、そこから学んだことをお伝えできればと思います。

マネジメントは普通で良い

休職明けのメンバーには何かと気を使わなければ、と考える人が多いと思います。確かに冒頭でお伝えした通り、準備は大事です。ただし、腫れ物に触るようなかかわり方は絶対にNGです。メンバー自身が不安や焦りから、敏感になっているメンバーも多いですから、こちらが気を使いすぎると「自分は歓迎されていないのでは・・・」「復職しても迷惑をかけてしまっているのでは・・・」そんなことを感じる人も少なくありません。

徐々に慣れていければ、大丈夫だからね。
というメッセージを明確に伝えてあげて、安心させてあげられるような言葉をかけてあげられると良いと思います。

休職明けだから。ということではありません。不安や焦りを感じるメンバーに心理的安全性を確保してあげることが、メンバーマネジメントに重要であることは知られていることかと思います。

適度に声をかけて、丁寧に見守ることが大事です。
これは、どのメンバーと関わるうえでも言えることですよね。

では、休職明けメンバーと関わるうえで、押さえておきたいポイントは何か。何をマネジメント上、意識すると良いのか。具体的なポイントを5つお伝えします。


ポイント①「振り返り」を確認する

多くのメンバーは休職中に振り返りをしています。心が疲れてしまったのはなぜか。きっかけは何だったか。何がトリガーになったのか。自分なりに考えています。

まずはそれを一緒に確認すると良いと思います。

どういう時にストレスが溜まるのか。
どういう時にセルフコントロールができなくなるのか。

一緒に確認することで、今後同様の場面があった時の対応策を一緒に考えることができます。同じことが起こらないように、自力でどうにかさせようとするのはお勧めしません。ご本人にとっては苦手な場面ですので、周囲の支援が必要です。

まずはお互いにアラートがあがるような状態にしておけると良いと思います。
※自分は精神的に図太い方だと自覚のある方は「なんで体調を崩したんだ」と高圧的に詰めるような質問の投げ方にならないように注意ください!!


ポイント②体力を見極める

復職後の業務は思っている以上に疲れます。何なら、出社するだけでも疲れます。最近は環境も戻り、都内では満員電車の朝が戻っていると聞きますが、あの朝のラッシュを乗り越えて、会社に来るだけで1日の体力を使い切ってしまう。ということだってあります。

ご本人の特徴にもよりますが、コミュニケーションに苦手意識のあるメンバーなら、初めましての人と会話するようなMTGが1つあるだけでも、かなりの体力を使うことになるでしょう。

体力が少ないことに自覚的になってくると、月~金まで5日間を想像するだけでも億劫になってしまいます。1日だけでもヘトヘトになるのに5日間ももつかなと・・・。とネガティブな気持ちをもっても仕方ありません。

始めはできる限り、仕事の量を調整して、単純な作業や得意な業務から、ならしていくことも良いと思います。人によって寝て起きての回復量も異なりますから、月~金でメンバーの体力がどのように推移しているか見立てておけると良いと思います。


ポイント③一段ずつ階段を上らせる

何度もお伝えしている通り、復職メンバーの多くは焦りや不安を感じています。特に若手であれば、キャリアへの焦りを感じていることも多く、「早く成長しなければ」「遅れを取り戻さなければ」等と感じていることも多くあります。

ですが、焦らせては絶対ダメです。危機感を煽っても意味がありません。

ビジネス人生は40年近くあります。そのうちの数か月を休んだところで、全然関係ありません。人生長いのです。すぐに遅れを取り戻す必要はないので、一歩ずつ積み上げさせることを意識しましょう。体調が戻り、仕事のペースをつかみ、自信を取り戻せば、成長スピードはいくらでも高まります。自分の強みも見失ってしまっていたり、活かし方を忘れてしまっていることも多いため、始めのうちはなかなか自信をもてない期間が続きますが、そこを掴めば成長の軌道に乗ります。3年くらいかけてじっくり育てるくらいが良いと思います。

まずは、毎日出社できる。
次に言われたことをできるようになる。
更に言われたことに工夫・改善を加えられるようになる。

上司は小さな階段を作ってあげて、少しずつ成長していること。積み上がっていることを自覚させてあげることが重要です。


ポイント④幅広い会話を

復職後は小まめに会話することが必要です。もちろん、冒頭にお伝えの通り、腫れ物に触るようなコミュニケーションはNGですが、そうは言っても、適度に声をかけるようにしましょう。

職場での声かけをすること前提に、少なくとも、週に1回は1on1を設定して個別に会話することがお勧めです。

では、1on1で会話することですが、睡眠・食事・運動の3つは適宜確認すると良いと思います。これは復職者だけではなく、メンタルヘルスが不調になりかけているメンバーにも同様のことがいえます。

悪循環の始まりの多くは睡眠です。「夜に寝つけない」「何度も夜中に起きてしまう」「朝が起きられない」等の兆候がある場合は注意が必要です。また、睡眠が適切にとれていない場合、食事を3食とれていないことや運動をしていないことがあります。体の機能がうまく回復できないのは、ホルモンのバランスが悪くなっていることが原因であることも多く、規則正しく生活することが大事です。食事をとり、適度に体を動かること。朝に日光を浴びることなんかもバカにしてはいけません(リモートワークで籠ってしまい、体調を崩す人も多いですよね)

ただし、プライベートなことでもありますので、ハラスメントにはご注意ください。こうしろと命令することはできませんので、あくまでいち人生の先輩としてのアドバイスとしてお伝えすると良いと思います。お互いの信頼関係を適切に見極めて、会話しましょう。

ただし、勤怠(朝の始業時間)にブレがないかについては、上司として注意してチェックしましょう。


ポイント⑤休日の入り方

さて、最後の5つ目ですが、土日が休みの仕事であれば、金曜日の様子を確認することです。

気にしやすい性格だったり、不安があるとなかなか頭から離れないという人も多いです。次の週に不安があると、土日中ずっとそのことを考えてしまい、頭と体と心が休まらない。ということは多くあります。

ただでさえ、体力が少ない中、土日に体力が回復しないと、次の5日間を乗り越えることができなくなってしまいます(乗り越えることに不安を感じてしまいます)

先ほどお伝えした1on1は金曜日の午後・夕方に設定し、次の一週間での不安がないか、この一週間がどうだったか会話するとか、ため込んでいるものがないか確認できるようにしておくことをお勧めします。同じグループで集まる会議があるならその会議を金曜日に設定して、表情や様子を確認するなどでも良いと思います。個人的には毎週の仕組みにしておくことがお勧めです。


まとめ

いくつかポイントをお伝えさせていただきましたが、あくまで個人的な経験からの学びです。迷った際には必ず主治医の先生や産業カウンセラー、もしくは人事に相談することを心がけたほうが良いと思います。

メンタルヘルス不調をきたすメンバーも、復職をサポートする上司も、独りで抱え込まないことが何よりも重要だと思います。


終わりに

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