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部下に求める仕事は「完璧な仕事」ではなく「想いのこもった仕事」/マネアカ③

マネジメントアカデミー。略してマネアカ。マネジメントにおける大事なポイントをワンフレーズでお伝えし、「それってただの正論でしょ?」という疑問に答えていきたいと思います。
(目的の詳細はこちらをご覧ください)

※これを読んで意見が同じだった方は「そうだわ、俺も同じことやっているわ」と言語化していただき、異なった方は「なるほど、そんな意見もあるんだね」と思って、引出しを広げることに繋げていただけると嬉しいと思います。

今回のお題は・・・
部下に求める仕事は「完璧な仕事」ではなく「想いのこもった仕事」という話です。
完璧主義の上司っていますよね。では、いってみましょう。

完璧な仕事を求めることによる3つの症状

メンバーに完璧な仕事を求める。ということは、3つのデメリットがあると思います。

①メンバーの成長鈍化
多くのメンバーは上司から完璧な仕事を求められると「ミスをしてはいけない」「抜け漏れがあってはいけない」という思考が働くため、当然ながらスピードが落ちます。減点が発生しないように仕事を進めるのは大変です。
仕事にもよりますが、スピードは不変の価値だと思っています。当然かけるべき時間をとれば、100%にできるのであれば、時間をとるべきですが、考えても分からない場合、誰かに聞いたり、アドバイスをもらった方が早いです。特に新人若手社員の場合は知らないことや経験そのものが少ないですから、完成度30%でもアウトプットをして、周囲の意見やフィードバックを取り入れる方が何倍も仕事が早いし、クオリティを高めます。
ですが、完璧をメンバーに求めると、メンバーのスピード感が失われてしまい、成長を妨げることにもなりかねません。

②メンバーとの関係性悪化
完璧主義の上司の求める”完璧”は誰の基準でしょうか。おそらく上司ですよね。ただ、仕事で提供する価値の相手はおそらく上司ではありません。顧客です。もしくは他部署・他組織のの協働者だと思います。だとすると、その完璧という基準は正しいのでしょうか。
自分の基準を押し付けてくる上司をメンバーは信頼できません。完璧を求め続ける限りは、なかなか関係性は深まらないでしょう。もちろん、関係性なんて不要だ。という意見もあるかと思います。確かに仕事のクオリティが高まるなら、それもアリだと思います。ですが、信頼関係がなければ、メンバーの100%以上の力を引き出すことはできませんし、報連相が適切に行われないかもしれません。または急な退職に繋がることもあるかもしれません。
完璧をメンバーに求めると、メンバーとの信頼関係を作れず、組織を強化することの妨げになりかねません。

③メンバーのモチベーション低下
完璧を求められることは、シンプルに愉しくありません。いや、確かにこの愉しくないというのは僕の基準です。ですが多くの人にとって窮屈です。
人は誰しも少なからず承認欲求があるので認めてもらいたい。という気持ちがあります。でもミスを許されない環境になり、完璧ではないものやできていない部分を指摘され続ければ、承認欲求は満たされません。
また、自分らしく働きたい。自分の良さを生かして働きたい。と思う若手が多い中、これも満たされない可能性が高いと思います。
完璧をメンバーに求めると、メンバーのやる気をそぎ落としてしまい、成果創出の妨げにもなりかねません。

以上、これらの理由から、メンバーに完璧を求めるのはお勧めしません。

自分は完璧主義になっていないと思っているあなたは本当に大丈夫?

もう1つ注意したいのは、メンバーからどのように思われているか?ということです。

以前の僕も実は完璧主義でした。もう少し正確に言うと、いつの間にか完璧主義になってしまっていました。そんなつもりはなかったのに・・・です。
その時の記事はこちらです。僕のしくじり体験記の記事の中で最もスキが多かった記事です。ぜひ読んでみてください)

話を続けます。
自分にとっては完璧を求めているわけでもなく、普通に仕事を任せてみただけだとしても、相手には無言のプレッシャーをかけてしまっており、メンバーが先ほどの3つの症状(成長鈍化、関係性悪化、モチベーション低下)を発症してしまう可能性があるのです。

自分自身がメンバーにどのように見られているのか、どのように思われているのか、ぜひ改めて考えてみていただきたいと思います。

それって正論でしょ?

いやいや、甘いことを言って、想いを込めて1円にもならないし、それよりは完璧に近いクオリティが高い仕事の方が良いでしょ?
言っていることは分かるけど、そんなのただの綺麗事でしょ。
そんな「そうは言っても」という声が聞こえてきそうです。

確かに”想い”だけでは、お金にならないし、価値にならないかもしれません。でも、”想い”を持たないと「もう少し企画を磨き上げたい」「もう少し営業の行動量を増やしたい」「もう少しクオリティを高めたい」という気持ちは湧いてきません。無理やりやっても長続きしないというのが事実です。

あまりにも不純な動機じゃなければ、想いは何でもいいです。バリバリ仕事して給料を増やしたい。モテたい。何でも良いじゃないですか。心の奥底から湧いてくる想いを込めて仕事をすれば、あと一歩を引き出せますし、結果的にクオリティは高まります。価値が高まります。

求めることは完璧な仕事ではなく、想いのこもった仕事。これは綺麗事ではなく、事実だと思っています。

終わりに

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

今回の話でお伝えしたかったのは、想いを込めた仕事をメンバーに求めることの重要性についてです。メンバーには少しでも完璧に近い仕事を求めたくなりますが、それは結果的には悪手だと思います。急がば回りましょう。想いを込めた仕事をするように求めた方が結果的には仕事のクオリティもメンバーの成長も組織の成長も様々な観点でメリットがあります。ぜひ試してみてください。

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