見出し画像

小説の生育過程

 小説はどうやって生まれるのか。小説の執筆は特殊技能だと誰かはいっていたのだが、日々書いているとそれが普通になるので、別に特別ではないと思うわけで、書ける人はメッチャすごいやんということはそれほどない。あるのは先達の筆によるメッチャすごい作品群である。書けるだけではすごくはない。

 さてそんな金井もいまのとこそんなにすごくないので、小説について語るのもいかがなものかと思いつつ、発見というか考えというか方法論めいたものを書き残しておこうと。現在の作品の見直しにもなるだろう。

・小説の黎明期
 まずこれがないと始まらない。何が「これ」なのかというとそれぞれあると思う。人による。ある場面がわっと浮かんできたので書きたいとか、キーワードを閃いたとか、だいたいこのようなテーマで書きたいという気持ちであるとか。すべてはそこから生まれる。まだタンパク質のアメーバみたいな状態。

・小説の白亜紀
 浮かんだ「これ」がだんだん進化して動物になってくる。この段階でメモは膨らんでくる。動物なので何かしら特徴が出てきて、どこに棲んでいるのか、草食なのか肉食なのか、足はどのようなものか、鱗や羽毛はどうか、羽根はあるのか、いろいろとわかってくる。だいたいのイメージができてくるのがこの頃。

・小説の石器時代
 だいぶ飛ばすが人類が出てきました。道具を手に動物を狙い、仕留め、食らう段階。ここで行われるのはウロボロス的な構造のやりとりで、動物(小説)を食らう人類が同時に食われているようなこと。詳らかにいえば作者が小説を我がものにしつつそれに囚われて侵食されているところで、寝ても覚めても自作のことばかり、あれはこう書こう、これはこうやって直そう、いや待てそれはああなんじゃないか。この段階に及んで人類は進化していきました。

・小説の近現代
 また飛ばしつつ。文明を手にした人類、練って練って、書いて書いて、やがて通常の意味での小説らしきものができてくる。ノートか原稿用紙か、あるいはパソコンや電子機器、書くことの周辺にあるすべてのテクノロジーを使って書かれていきます。もうだいじょうぶ。完成は間近である。書き上げて誰かに読んでいただきましょう。賞に送るもよし小説教室に提出するもよし、noteに上げるもよし。

・小説の一億年後
 知ったことではないが、一億年後というのが物理学的に正しく訪れるならば、そのとき我々の小説はどうなっているのでしょうね。

 そんな感じのことを思っとりました。

サポートありがとうございます!助かります。