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サプール、あの伊達男たちを思い出せ

 コートを買ったんですね。なぜこんなクソ暑い中で、と問われると、夏はコートが安いのでって話で。逆に冬はTシャツとかが安い。ネットショッピングで服を買うならこれはけっこうナイスなやり方だと思う。コート半額以下だったし。

 そのコートというのはイタリア製のかぶいた一品で、今日届いたんだけども、箱を開けてみたらば、失敗したかなあ、のような気分になってしまった。え、こんなんなのみたいな。けっこう高かったんですけどみたいな。

 だが待ってほしい。返品はしない。ジップを開けてみたりポケットを確認してみたり、裏返したり元に戻したり、いろいろやってるうちに気に入ってしまった。このコートに惚れた。これはよい。よくよくチェックしてみたら職人技の光る一着じゃあないですか。高いもんは基本的にはいいもんなんだろうな。

 そんでこの歳でこれ着るのか、となるとなかなかキビシイ部分はあるが、だいじょうぶマイフレンド、あたくしやあたくしの血族は童顔なのでかなりごまかせる。妹なんか詐欺に近いレベルで若い顔してるから。すごいんだから。

 だいたい着る自信がないのなら着なきゃいいし、似合うのかどうかの問題はあるにせよですね、着方で似合うようにはできるんじゃねえの。服が似合う似合わないって曖昧だしな。そういうときに、つまりはファッションについて惑うときに思い浮かぶのがコンゴのサプールたちのことなのだった。めっさオサレな伊達男たちのことだ。内戦もあったっぽいし(と、ここで調べ直したらもっとえげつなかった。シャレでは済まない)もう忘れられたのかもしれないが、写真集にはそのかっこよい姿が残ってる。いやまじかっこいいんだわこれが。バシッとスーツをキメて、帽子やグラサンや葉巻なんかがオブションでついてきてたりする。姿だけじゃないぞう。紳士として生きるのだっていうその生き様がまたよい。「喧嘩はしない。服が汚れるからね」だっけ、某サプールがいっていたことだ。ここで煙草を吸ってもいいか、ということも、屋外であっても必ず確認する。あとなんだっけ。給料ほぼほぼ全部服に突っ込んでるって話とか。仕事がない土日が彼らの晴れ舞台だ。ガッツリとスーツを着込んで町へ出て行く。そんな彼らに子供たちが憧れてるんだって。

 この記事の写真、ピンクのスーツなんて日本人にはまず無理じゃないですか。でもこのサプールには似合ってるじゃないですか。メチャかっこいい。配色から何からぜんぶ考えてかっこよくなっちゃった。だからなんだろう、この人たちのことを思い出すたびにファッションについて真剣になるというか。いや普段着はどうでもいいんですよ。いまTシャツとハーフパンツですよあたくし。だが町へ出て人に格好を見られる段ともなればバシッとキメたい気分、そんで冬に向けてかぶいたコートを買ったんですけどって話。

 ええかっこしい、という言葉がありますが、いい格好はしたいなあ。

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