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悲しみは乗り越えるもの?

最愛の人を亡くした悲しみは、やはり当事者じゃないと分からないのかもしれない。
ある程度の想像はできても、実体験のようにとらえるのは難しいと思う。

先日、こんなニュースを見た。
配偶者を亡くした男性と女性を取材した番組だ。
20代の男性は、妻を亡くした悲しみは、3年経った今も消えないと語っていた。
妻は、初めての子供を出産した10日後に病死した。
周りに、悲しい辛い気持ちを話せる人もいない。
子育てや、仕事で忙しくしていることで、何とか悲しみの感情をやり過ごしていたらしい。
妻の洋服などは、処分する気持ちになれず
全て残している、食事をする時は、仏壇の前で妻を想いながら食べている、と言っていた。

20代の女性は、夫を突然死で亡くした。
ある日、夫が忘年会から帰宅し、その翌朝息を引き取っていた。
悲しみと喪失感に打ちのめされながらも、幼子2人を1人で育て上げてきた。
悲しい辛い気持ちを誰かに話したくても、同じような経験をした人が周りにいないから、話しづらい。
重い話しだなあ、と思われるのが嫌で話せないらしい。
2人とも、まだ20代の前半という若い時に配偶者を亡くし、本当に辛くて寂しかっただろう。


調査によると、50歳までに配偶者を亡くす割合は、0.5パーセント以下。
上記の2人は、配偶者を亡くした者同士が、辛い悲しい気持ちを皆で分かち合えるサークルに参加した。
喪失感や悲しみを皆と語り合えて、幾分気持ちが軽くなったという。

私も両親が既に亡くなっているが、夫にはあまり自分の感情は伝えていない。
夫の両親はまだ健在だから、私の気持ちを理解できないのではないかと思っているからだ。だから、
寂しいとか、泣きたくなる時があるとか、言う気になれない。

愛する大切な人を亡くした悲しみは、何年経っても変わらないということを、自身の経験で実感した。

取材を受けた男性と女性は、サークルで皆と会話して、悲しみは乗り越えるものではなく、悲しみと共に生きていかなければならないということに気づいた、と言っている。

私も両親を亡くし、何年経っても寂しさがなくならないことに気づき、それがかえってまた寂しさを募らせる原因にもなっていた。
番組を見終わって、そうか、悲しみを除外しようとせず、悲しみと共に生きていけばいいんだ、
と思ったら悲しみの量は変わらないけど、
心の重苦しさは少し消えたような気もする。



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