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#短編小説
self service
昨日は雨が降っていたような気がする。昨日だったような気もすれば一昨日だったような気もしてくる。それとも今日なのかもしれない。底の見えない深い沼のような濃い緑色の遮光カーテンに閉じられて外の様子はわからない。あのカーテンを開ければ済むことだけれどそのためだけに腰は持ち上がらない。検索してサッと調べればすぐにわかることなのに別にそこまで知りたいわけでもないから、天気予報とは別に今日は誰がどんなことを
もっとみる閉じるボタンとタピオカレディ - such a person -
一人目
こんな人がいた。
エレベーターに乗り込むなり、すぐさま閉じるボタンを押してくる人。目を合わせようとはせず、こちらの視線に気づくとわかりやすく嫌そうな顔をする女性だった。ちょっと、っと少し苛立ちを込めてもらすと謝罪ではなく「間違えた」と渇いた声でつぶやいた。
今回が初めてではなかった。彼女の閉じるボタンには今日だけでも三回挟まれそうになっている。意図的なのか無意識なクセによるものなの