親愛なるランナーたちへ
1.
柔らかいクッションがうす灰色の暑く溶けたアスファルトを交互にこするたびに僕らはちょっとだけ前進していた。ナイキのタンクトップはとうの昔に汗を風に紛らせることを諦めたのか今では年老いた名コーチのように肩に寄り添っていた。
まだ腰は元気だ。
今年はやけに疲れることがたくさんあった。
ただ走り始めるまでにだっていくつものハードルがあり、走りはじめた今でさえそれらを越えてこれたのかは分からない。
家から車で30分程のこの陸上競技場に着いてランニングシューズに履き替えているころ