本の棚 #34 『少し変わった子あります』
『少し変わった子あります』
森博嗣
なんだろう、これは。
森さんが主人公?なのか?
大学の教授である主人公の小山は
後輩の荒木に「あるお店」を紹介される。
けど、そこには一人でしか入れない。
そしてそのお店には名前がなく
なぜか毎回違う場所にある(出現する)
電話で予約すると女将さんが
迎えの車を手配してくれるのだ。
基本的には一人でご飯を食べて、
女将さんと少し話して、帰る。
そこには荒木の特別メニューがある。
「女性ひとりと一緒にご飯を食べる」
というもので、
食事代はふたり分支払わなければならない。
そしてこれもまた毎回異なる女性がくる。
よく話す人もいれば、ずっと話さない人もいる。
そんなあるとき、荒木が行方不明になる。
捜索もかねて小山は「あのお店」に通うことに…
結末や如何に。
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生まれたばかりの赤ん坊が荒野に放り出され、母にも合えず、誰にも会わず、ただ一人で育ったとすれば、彼は一生の間、孤独を理解することはない
「孤独」はこの本のテーマのひとつ。
孤独を感じるためには、
そうでない状況を知る、経験する必要がある。
ぼくは一人で行動することは好きだ。
映画にいくのもひとりがいい。
本を読むのあらゆる空間で「ひとり」に
なれるからかもしれない。
とはいえ、家族と過ごすのも楽しい。
ぼくはおろらくひとりは好きだが、
孤独は好きではない(あまり感じない)
だからこの本や登場人物の思考は
あらたな発見となった。
「生きることに価値があるのではなく、生きることで何ができるか、そこに価値を見出すことを忘れないようにしないと」
空を飛ぶことに価値があるわけでなく
飛ぶことで、何かが見える、どこかに行ける
それらが本来の価値だ。
というものの、生きることで何ができるか…
うーん…
あんまり大きなことを思い描くのではなく
パートナーに「ありがとう」と伝えたり
道に迷っている人に「どん突きを右ね」と
伝えたり
落ちているゴミを拾ってゴミ箱に捨てたり
小さなことから始めてみる。
その小さな行動の連鎖が続けば
自分も周りの人も幸せを感じられる
そんな人生がいい。
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結論、この本は森さんの「思考遊び」じゃないかと思う。
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