花風

興味の趣くまま好きなように書いています。主に掌編や思いついたことなど。時々俳句。読んで…

花風

興味の趣くまま好きなように書いています。主に掌編や思いついたことなど。時々俳句。読んで楽しんでいただければ幸いです。スキ、フォロー、マガジン追加などありがとうございます。

マガジン

  • みん俳:旬杯 審査員賞、私設賞などなど

    身に過ぎた賞をたくさんいただきました。また、楽しい工夫も寄せていただき、創造の輪が広がるのはとても楽しい体験でした。お礼の意味を込めてまとめました。ありがとうございます。

最近の記事

横山秀夫 短編集 を読む

先日、横山秀夫原作のドラマの再放送を目にした。数年前、氏の小説にはまり片っ端から文庫本を買って読んだ。主人公の組織内でのちりちりと苦しい心情は当時の自分の心情そのままで、のめり込むように読んだのを覚えている。 ひと通り読んでからは読まずにいた時期を過ごしていたのだが、ドラマが面白かったので再び読みたい思いに駆られた。文庫本集はまとめて知人に譲ってしまったので図書館から借りた。 借りたのは「陰の季節」「動機」。前者は松本清張賞、後者は日本推理作家協会賞短編部門賞をとったとい

    • 夏みかん酸つぱしいまさら純潔など

      鈴木しづ子の有名な句。品がある美人だったらしい。残された写真を見てもシュッとした綺麗な人である。 その野生的で奔放な句からダンサーになり娼婦になったと言われている。死を示唆する句を発表して消息を絶ったため、自死したのであろうと言う人もいるが本当のところは誰もわからない、というのが事実だ。 戦後間もない頃の才気と熱情に溢れる句は、好奇の目に晒されたであろうことは推察できる。 体内にきみが血流る正座に耐ふ これもしづ子の句。あなたならこれをどう解釈するだろうか。 体内に

      • 戯言つらつら

        泡のように浮かんでは消えるものを書き留めておく。方丈記の作者はうまいことを言うものだなぁと感心する。 昔、親友と呼べるほど親密にあれこれ話せる友人がいた。彼女を理解しようと四苦八苦したがどうにも矛盾が多く、取りとめがない。理解するのではなくただ付き合えば良いのだと思うことにした。彼女が結婚するまで付き合いは続き、結婚を機に遠方へ越して行ってからは疎遠になった。 彼女からは二度絶交された。理由は覚えていない。三回目の復縁(?)の連絡が来た時、なんとはなしに返信しなかった。そ

        • MBTI性格診断を今さらながらやってみた。何度やっても「建築家」になるんだが、自分では納得がいかない。完璧主義ではないし戦略的でもない。ただ、当たってる!と思うところはあった。頭のいい人に言わせれば、こんなふうに分けられるはずもないとのことだけれど。自分の傾向を知るにはいいかも?

        横山秀夫 短編集 を読む

        • 夏みかん酸つぱしいまさら純潔など

        • 戯言つらつら

        • MBTI性格診断を今さらながらやってみた。何度やっても「建築家」になるんだが、自分では納得がいかない。完璧主義ではないし戦略的でもない。ただ、当たってる!と思うところはあった。頭のいい人に言わせれば、こんなふうに分けられるはずもないとのことだけれど。自分の傾向を知るにはいいかも?

        マガジン

        • みん俳:旬杯 審査員賞、私設賞などなど
          22本

        記事

          4年目をつらつら振り返る

          noteを始めてから4年になる。ちょっと気持ちを振り返りたい。 はじめはショートショートなどの短い話を主に書いていた。創作するきっかけは大体いつも同じ。人生の転換期にお話を書きたくなる。これはなぜなのか、自分でもよくわからない。 違う足場に飛ぼうとする時、無意識界の扉が開きいろんなお話がポンポン飛び出す。無事着地するとその扉はパタリと閉じる。そして書けなくなる。今はその状態。移行が完了したのである。 この4年の間に色々様変わりした。輝かしい賞を取り羽ばたいていった人もい

          4年目をつらつら振り返る

          河﨑秋子 「ともぐい」

          2023年、第170回直木賞受賞作品。 芥川賞も直木賞もほとんど興味はありません。受賞作品を手に取ってがっかりすることも少なくないので。もう、これは作品との相性、出会うタイミングの問題と言ってよさそうです。 「ともぐい」 もう題名からして引っかかります。「共喰い」という題でどなたかが書いていてそれも心惹かれたのですが、そちらは読まずじまいで終わりました。 図書館の本でしたので、紹介の帯も何もない。借りて面白くなかったら嫌だなと思いつつ最初のページを読む。 あ、これは

          河﨑秋子 「ともぐい」

          君に胸キュン♪

          これを聞いた当時は、うわー大衆ウケする曲を書いちゃって、と思ってた。MVもダサい、と思っていた。曲名もダサい。 今改めて聴くと、意外に古く感じない。YMOの三人が若い。やる気なさそうなダルくてぬるい踊りや楽しそうにわちゃわちゃやってる姿を見て、なんだか泣けてくる。 もう坂本龍一も高橋幸宏もこの世に存在しない。若い時分の彼らが楽しそうに笑ってる姿を見ると過ぎ去った年月の残酷さを思う。曲調が明るいから余計に。 数十年後にこの曲を聴いて悲しくなるなんて当時は思ってもみなかった

          君に胸キュン♪

          ある少年の回顧

          少年が生まれた地は山に囲まれた田舎だった。自然が豊かで人も温和だが、長じるにつれどうにも真綿で首を絞めるが如くの閉塞感に悩まされた。 昨日の続きは今日、今日の続きは明日。ずっと変わらぬことが美德と言われ老人の数が人口の多くを占める地では、新しき刺激を追い求める若者にとってそれは退屈で、窒息するかの如く思いにかられるのも無理からぬことだっただろう。 それでも景気の良い時期は良かった。人々は技術革新による恩恵を得ることに希望を見出し、働くことはすなわち富を手に入れることだった

          ある少年の回顧

          唯今二一五〇羽の白鳥と妻居り

          「金子兜太 自選自解99句」より。 まがりなりにも俳句を詠んでるにも関わらず、真面目に句集を購ったことも読んだこともない。これでは到底腕も上がらぬわけである。 わかってる。ちゃんと読んでこれ、と思った俳人の句をしっかり読まなければならないとは、わかってる。が、やらない。怠惰であり怖れである。 一応、季語ありの定型俳句を詠んでいるのだけれども、心惹かれたのは尾崎放哉の自由律俳句。その解説を書いていた縁で金子兜太の名も覚えた。現代俳句会の重鎮なのだそうだ。 自選句集だった

          唯今二一五〇羽の白鳥と妻居り

          囀るやうつくしきことうつくしく

          高浜虚子の「手毬唄かなしきことをうつくしく」のパクリ、もとい、オマージュです。あまり考えずに即興で浮かんできました。おかしいところはスルーしてください💦 一気に春が押し寄せたようで世界があまりにも美しくて。フォローさせていただいてる方々が載せる春の画像があまりにも美しくて。 鳥もいろんな種類がそれぞれ囀り、春の喜びを歌ってるかのようです。それで上記の句、となりました。 明るさを取り上げるときは対比として暗いものを持ってくるとかあるのですが、んなこたぁどうでもよくなるほど

          囀るやうつくしきことうつくしく

          俳句なんて所詮わかんないものなのだと思う

          ダッシュボードから全期間で一番読まれた記事を探してみる。 なんと「わかる俳句が少なすぎる」という記事だった。「俳句?意味わからーん!」と思うのはどうも自分だけではないようで。 あれはわかる人がわかればいいというシロモノなのではなかろうか?と思えてくる。 得た知識の披露と踏襲の世界。型にはまったのが美しい。様式美の世界なのだ、と思ってる。華道茶道などの世界と同じだと個人的に思う。 とはいえ、偉大な方々の句は素人でも理解できるほど美しく荘厳なのよ。もうこれを越える句は世に

          俳句なんて所詮わかんないものなのだと思う

          宮崎駿「君たちはどう生きるか」

          原作の本は読んでいません。漫画版ですら読んでいないのです。 アニメ自体それほど興味がなく、今回はお供で映画を観てまいりました。 感想は…一言で言うなら難解。というのは、場面が次々に変わり登場人物も変わり、たとえ同一人物でも性質や見た目が変わり混乱するからです。一つ一つのシーンが非常に象徴的で、ストーリーを追うと理解できなくなります。 大雑把に言えば、現実に拒否感を覚えた主人公が異世界で冒険することで現実を受け入れていくお話。いわゆる王道のストーリーだと思います。以下ネタ

          宮崎駿「君たちはどう生きるか」

          下書きだけが溜まっていく

          noteへの投稿が滞ってる。 書くことがない、時間がない、意欲がない、いろいろあるけれども書いていないわけではない。書きかけては途中でやめてしまい、下書きだけがどんどん溜まる状態だ。 質がどうであれ、やりはじめたものはやり終えるというのが信条なので、この状態は自分の中でまとまりがつかない状況なのだと思われる。 noteをやりはじめて数年。 最初はショートショートやたまに連載ものを書いたりして、創作中心だった。ネタ切れのため、ぼやきのようなエッセイもどきを書き始めたり、

          下書きだけが溜まっていく

          全体と個人

          「一人はみんなのために みんなは一人のために」 大学の購買部の前にこの言葉が刻まれていた。それがアレクサンドル・デュマの「三銃士」の中のセリフであるらしいことは、ずっと後になって知る。この時はまだ知らない。 この言葉を見るたびに「みんなのために」我慢したり働いたりはしたけれど、自分(一人)のためにみんなが何かしてくれたことあったかなぁ、と思っていた。 今思えばずいぶん傲慢な考え方だ。とはいうものの、親なり友人なり個人がなんらかの有り難い行動をしてくれたのは思い出すが「み

          全体と個人

          柚木裕子 「ミカエルの鼓動」を読む

          大天使ミカエル像は、右手に剣を左手に天秤を持っている。それが示すものは「公平、平等、正義」。柚木氏の「検事」シリーズにも象徴的に出て来る。彼女の書きたいものは何なのかを思わず慮る。 今度の舞台は病院。ロボット支援手術を推進する西條医師が主人公。ロボットの名が「ミカエル」。ロボットによる手術というとAIによる全自動手術なのかと思わず早合点しそうだがそうではなく、あくまでも動かすのは医師だ。難易度の高い心臓の手術を「ミカエル」を使用することでより速く負担なく、誰にでも施すことで

          柚木裕子 「ミカエルの鼓動」を読む

          紅蜜柑水平線に日の凝り

          応募してボツになった句。ボツはボツとして、個人的には綺麗にできた句として気に入っている。 紅蜜柑という品種がある。真っ赤な果肉で蜜柑は黄色という概念が揺らぐような色。この生命力あふれる色は太陽を連想させる。 冬の時期、水平線近い太陽は横に膨らんだり四角に見えたりする地域がある。北海道だったか。まんまるな天体が押しつぶされて楕円形に見える様は蜜柑を連想させる。 自分では蜜柑と太陽という取り合わせは気に入ってる。どちらも生命力を感じさせる。でも、蜜柑とお日様の取り合わせって

          紅蜜柑水平線に日の凝り