見出し画像

真夏の九州うつわ旅・5日目(その3) ~バイバイ九州、また来年。~


8月に4泊5日で九州北部をめぐった「九州うつわ旅」の記録をしてきました。

最終日・5日目に訪ねた小鹿田おんた焼の里についてはこちらです。


このうつわ旅の記録も、やっとこれで最終回。
今回は、最終日の夜ごはんの記録をして、その後 “あとがきみたいなもの“ を綴ります。




5日目:8月12日 晴れときどき曇り

この旅行も最終日の夕刻となる。

台風6号が九州に向かうタイミングと重なって、一時は行けないかと思ったし、行けたとしても なんにも行動できないんじゃないかと思っていたこの「うつわ旅」。
結局、良い方に予想がはずれて、唐津焼、有田焼、そして小鹿田おんた焼の里を、ぐるりと巡ることができた。

その土地の歴史や風土を背景にはぐくまれてきた、多様なやきものたち。たった数日間で巡ったからこそ、それぞれ独自の持ち味を強く感じることができたようにも感じる。
陶器も磁器も、いわゆる民藝品も工藝品も、製作工程の一貫制も分業制も、一子相伝も企業体制も。みんなそれぞれの良さがあって、誇り高きもの。そしてどこをみても、うつわの文化はその土地の「人」により醸成され、継承されてゆくのだということを改めて実感した。
お天気などの関係で訪問をあきらめた窯元もいくつかあったけれど、それでも大満足。とっても充実した5日間だった。


帰りの飛行機は、福岡発最終便を予約している。21時発だ。
その前に、この旅行最後の夕食を。

小鹿田焼の里から向かったのは、福岡の里山に佇む 「茅乃舎かやのや」さん本店。前回の旅行でも訪れていた。


旅行を締めくくるのは ここがいいねって、予約をしていたのだ。


前回は「茶舎」でのランチだったけれど、今回は個室での夕食。胸が高鳴る。



立派な暖簾をくぐると、お野菜たちがお出迎え。



ご案内いただいたのは、「とうもろこし」という名の、落ち着くお部屋。


腰をおろすと、テーブルの上には私たちそれぞれの名前のカードが。
なんと、一文字一文字、花のなまえにちなんで その絵がデザインされているではありませんか!
ステキ過ぎる! 心のこもったおもてなしに感動しちゃう。



ひなこの「ひ」は、ひまわりの「ひ」。
「な」は、なのはなの「な」。
「こ」は、こでまりの「こ」。

一瞬で、自分の名前が 前よりも100倍すきになった。


「願わくは これらの花々があなたに幸せをもたらさんことを…」



感動したところで、まずは、ともに旅した親友チャルとお疲れさまの乾杯を。
台風情報に翻弄された出発前のことから、すてきな窯元見学、おいしいお食事、出会った方々、たのしいおしゃべりと、この5日間のことが走馬灯のように駆け巡る。
たくさんの人に感謝しなければならないけれど、いちばんはチャルだ。
あふれるほどの気持ちを込めて、グラスを合わせる。ほんとうに、ありがとう。

かんぱーい。


チャルのことを書き出せば、キリがない。
それはまた別の機会にゆずることにして、おいしいお食事を。


左上から時計まわりに。
・(お部屋の名前にちなんで!)とうもろこしのスープ。
・黒豚とマスカットの甘酢ソース
・前菜
・大地の恵みスープ
・旬菜の一品 路代おばあちゃんの逸品
・鱧の牛蒡餡掛け
・和牛ステーキ
・枝豆の水羊羹


このほかに、茅乃舎さんならではの釜炊きご飯とお味噌汁も。
大満足のお食事。
おなかも心も、たっぷりと満たされた。

ふぅ。


多幸感に包まれて おもてに出ると、西の空が染まりはじめていた。

ついにこの たのしい旅行が終わっちゃう…。

空港に向かう途中も、
空港についてからも、
飛行機の中でも、
チャルとたくさんおしゃべりをしよう。
それでも この5日間のことは語りつくせないと思うけれど。



福岡も佐賀も大分も、今回は行けなかったけれど長崎も。ほんとうに ほんとうに良いところ。
自然はうつくしく、食べ物はおいしく、そこに暮らす方々はあたたかい。そして何より、魅力的なうつわがある。


また来よう。ぜったいに。




そうそう、相棒のクマも、また一緒にね。




バイバイ、九州。またらいねん。









— あとがきみたいなもの —

こんなふうに、旅を細かに記録したのは はじめてでした。
とにかくこの「うつわ旅」は、私にとって久しぶりでうれしかったものですから、勢いだけで書き始めちゃったのですけれど。 実は始めてすぐに、軽く後悔しました。

私、なんでこんなこと書いてるんだろう? 
仕事とは1ミリもリンクしないし。何かのために、誰かのためになるのだろうか?
それにたった5日間の国内旅行で騒ぎ過ぎじゃない? って。

でも綴っていくうちに、「これでよかった」と思えるようになりました。
文体はメチャクチャ、表現力も乏しく、何より内容はひとりよがりでしたけれど、それでも 私にとっては まさに、旅行の「記録」ができました。
またその場で感じたことや、これまで思ってきたこと、そして私の中の うつわ愛を再認識できたようにも思います。
景色は“情景“となり、経験は、より思い出深いものに昇華したかもしれません。
ただ、自分のためにしかならなかったのかと思うと むなしくなるので、ほんのわずかでも、現地のご紹介が どなたかのお役にたちますようにと願います…。


私が敬愛する向後千春先生は、「書くことで自分の人生に意味を与える」とおっしゃいます。
もしも書かなければ損も得もしないけれど、書けばどんな文章もいつか形となって自身に返ってくるのだと。どんな文章でも書いた瞬間に報われているのだと。
私のこんな旅日記でも、それをなんとなく実感できたように感じています。たった5日間のうつわ旅に、それなりの意味が生まれたように思うのです。
向後先生がおっしゃっているのは、研究の世界のもっと高尚な内容のおはなしであって、こんな駄文は想定外かもしれませんけれど…。でも「どんな文章も」だって信じることにしましょう…。




私のクセで、ついつい ツラツラと長文になってしまうことが多かったです。
そしてとくに、うつわにご興味のない方にとっては、つまらない内容だったことでしょう。
ご無理をして読んでくださった方もいらっしゃるのでは? と思っています。

けれど。
頂戴した「スキ」やコメントが、大きな励みになりました。


また、このうつわ旅の記録のうち、これまで9つの記事を、note公式マガジンに取り上げていただきました。(10月24日追記:ありがたいことに2つ増えて、11の記事になりました。)
うれしかったです。


「真夏の」記録が、二十四節気で 寒露 を迎えている今になってやっと終わり。お恥ずかしいですが、これでも私にとっては、超がつくほどのハイペースでした。
ちょっとした達成感のようなものもあり、このような あとがきみないなものを書いてみたくなりました。



ではでは。

この旅にお付き合いくださいました方へ。


どうも ありがとうございました♡!





⓪ うつわのおはなし ~奥ゆきゆたかな 唐津焼~

①  0日目 ~気分はジェットコースター~

② 1日目(その1) ~魅惑的な薬屋さん~

③ 1日目(その2) ~来た甲斐があった! お豆腐会席~

④ 1日目(その3)  ~あこがれの隆太窯~

⑤ 1日目(その4) ~海を望む殿山窯へ~

⑥ 1日目(その5) ~うつくしい棚田からの 活魚の料亭へ~

⑦ 2日目(その1) ~やわらかな時空窯~

⑧ 2日目(その2) ~日本情緒ただよう老舗旅館へ~

⑨ 3日目(その1) ~洋々閣をあとにして~  

⑩ 3日目(その2) ~櫨ノ谷窯にて しずかなる祈りを~

⑪ 3日目(その3) ~ただいま、有田。麗しの今右衛門窯~

⑫ 3日目(その4) ~いつものお宿・ILHAさん~

⑬ 4日目(その1) ~大人気、 福泉窯に潜入!~

⑭ 4日目(その2) ~うつくしき 李荘窯の世界へ~

⑮ 5日目(その1) ~小鹿田焼の里へ おもいを寄せて~

⑯ 5日目(その2) ~いとしの小鹿田へ~

⑰ 5日目(その3) ~バイバイ九州、また来年~

⑱? 🧸


― 追伸 —
7月の豪雨により被災した小鹿田焼の里については、つい先日、被災以来初めて共同窯に火が入ったという情報に触れました。窯については、これですべてが復旧したことになります。あの里の様子を感慨深く思い出しながら、完全復興にむけて今なお前進する小鹿田に、おもいを馳せています。






チャルとおそろいで買った有田焼のピアス。




この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?