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真夏の九州うつわ旅・0日目 ~気分はジェットコースター~


九州北部のやきものにメロメロになっている私は、“九州うつわ旅” を毎年の恒例としています。
けれど昨年は、仕事の都合で予定していた旅行はご破算になってしまいました。飛行機やホテルをキャンセルしたときには、予約と一緒に私の気力体力まで消えてなくなってしまったのではないかと思うほど、意気消沈したものです…。
それくらい、私にとっては ほかの場所、ほかの目的では得難い 特別な充実感や満足感などを味わえるのがこの旅なのです。

昨年のキャンセル以来、とにかく早く訪れたくてその日を心待ちにしていた日々。
そしてやっと今月、約2年ぶりに行くことができました。いろいろありましたので、いつにも増して思い出深い旅になったかもしれません。

その旅のことを、これからnoteに記録してゆきたいと思います。
本当は、帰ってすぐ、お盆休みの期間中に一気に書いてしまおうかと思っていたのですけれど、なんと帰宅直後から体調をくずし寝込んでしまいまして…。ヘロヘロになりながら唐津焼のおはなしを書いたものの、そこでギブアップ。
やっと体調も戻ってまいりましたので、これからのんびりとスタートです。


今回は、迷走に迷走を重ねた台風に振り回された、出発前の記録です。





今年2月のある日
いつも うつわ旅をともにする親友「チャル」(仮称) と、旅行日程について相談し、お互いが確実に休めそうな夏休みの時期に決定。
私は暑いのが大の苦手。しかも九州は台風シーズン。それでもほかに合いそうな日はなかったし、「きっと大丈夫でしょ」って、その場で飛行機と宿の予約を入れる。
8月8日~12日の4泊5日、福岡空港往復。九州北部をめぐる 真夏の九州うつわ旅!


以降、心が躍りっぱなし。8月が待ち遠しくてしかたない。

どこの窯元にお邪魔しよう。
ランチや夕食はどうしよう。

洋服は何を着ていこう。
麦わら帽子もいるかしら。


7月10日
6月も終わろうとする頃から九州地方は雨が続き、嫌な予感はしていた。
この日の朝には九州北部で線状降水帯が発生。大雨特別警報が発令され、朝のニュースでは身の安全を守るよう、繰り返しアナウンスされる。
ハザードマップで赤を通り越し、真っ黒く表示されたいくつかの場所は、まさにやきものの里がある地域だ。弾んでいた私の心は、出勤の身支度をしながら一気に鎮まり、祈る気持ちでいっぱいになる。

職場で時折ニュースをチェックすると、その日のうちに被害状況がどんどん明らかに…。唐津でも土砂崩れが起きてしまった。
— 被害に遭われたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。—


窯里のことでいうと、この豪雨では大分県の小鹿田おんた焼の里が大きな被害をうけてしまった。小鹿田は2016年の豪雨でも甚大な被害を受けてしまったばかりなのに… 。自然の過酷な荒ぶりに言葉がみつからない。

旅行に行くとか行かないとかということとは無関係に、小鹿田焼の里に想いを馳せる日々がはじまる。


(小鹿田のことについては改めて後日。)


7月28日~
大型で非常に強い台風6号が発生し、猛威を振るう。
どうか被害が広がりませんように…。

予想進路は、九州からはずれている。


 出発5日前・8月3日
台風6号が、沖縄地方に大きな被害をおよぼしながらUターンするという。
進路もカクっと方向転換。いきなり九州の方角に。

どうなるの!?

仕事中も、台風の動きが気になって仕方ない。


出発4日前・8月4日
6号がまた進路を変える。出発日の8/8には九州南部が、翌8/9には九州北部がすっぽりと予報円の中に。
飛行機は飛ばないか...。目の前が暗くなる。

8/4 サガテレビ


出発3日前・8月5日
台風は相変わらず迷走。誰かがコントローラーでも握っているかのように。
けれど飛行機は飛びそうな気がしてきた。一筋の希望の光が見える。

チャルと連絡をとりあい、「飛行機が飛ぶ限りは行く」という意思確認をした。現地に到着できたとして、前半は台風で行動できないかもしれないことは承知の上のこと。
「その日その日のお天気を見ながら旅程を決めていこう」と話しあう。

それはそれでわくわくしてしまう、能天気な私たち。
窯元に行くことは叶わないかもしれないけれど(もはや ”うつわ旅” ではないかもしれないけれど)、みなさま被害がないといいね、って。

※この旅行計画にあたり、これまでやりとりをさせて頂いた窯元の方々などに感謝。


出発2日前・8月6日
航空会社よりフライトの連絡入る。
やった!!


出発前日・8月7日
なんとなく身を清める意味で美容院へ。さっぱり。
航空会社より再度フライト案内あり。迷走を続ける6号だけれど、とあえず飛行機が飛ぶことには間違いなさそう。
スーツケースの中を再確認して胸が高鳴る。るんるん。

8/7 サガテレビ
(九州南部なども被害がありませんように…。)


翌朝は3時起き(!)のため、早々にベッドにはいる。
眠る前にスマホで台風状況をチェックすると「台風7号が発生する見込み」とのこと。
えっ…!?
もう知らない。もう見ない。明日は早起きだし。もう寝る。


出発日・8月8日(火曜日) ※0日目ではなく1日目ですが。
早朝4時台の空港リムジンバスに乗車。まもなくチャルよりLineあり。
「行きは飛ぶけれど、ちょうど帰りの頃に台風7号が関東直撃という情報あり。欠航になった場合、お盆と重なって空港はパニックになるのでは?」
「行ったはいいけど現地九州は6号で暴風雨。帰りは7号で飛行機飛ばず…?」
「キャンセルしようか… 空港で相談しよう」…。
そうよね…。肩を落として「うん。」と返信。
窓越しに空を見上げながら、必死で気持ちを立て直す。

5:30。第1ターミナルでチャルと落ち合う。
ロービーの椅子で空前絶後の真剣な会議をはじめる。
ゆれにゆれた2人だけれど、発生するキャンセル料を計算して愕然。欠航じゃないから飛行機代もホテルも100%かかるんだ。当然。
それと何より、もしも7号の進路がそれて帰りのフライトに影響しなくなった時の悔しさを想像して、結局は行くことに!

それでいいの?と迷う気持ちは、もうみじんもない。
帰りが危なそうならば、前倒しして帰ってくればよい。
一気に気持ちが舞い上がる。飛行機よりも高く。

「仮に窯元を見られなかったとしても、美味しいお店、予約したよね! 食事を楽しむだけでも良くない?」
やっぱり能天気アホ?な2人。
誰かに叱られそうな気もするけれど、人さまにはご迷惑をおかけしないようにしよう…。あとは自己責任。

いつもならゆったりとコーヒーを飲み、満面の笑みで写真なんかを撮ってから搭乗するのに、コーヒーも記念撮影もなし。唯一これだけ撮ってギリギリ搭乗。


機内座席に座り、ドリンクはコーヒーにするかスープにするか迷う私たち。いつものこと。
「両方飲めたらいいのにね」とエコノミー庶民の願望をささやきあう。

悩んだ末に、チャルはホットコーヒーを、私はスープをオーダー。
やっとここであたたかなドリンクを口にして、ほっ。
飲み干したところで、客室乗務員さんが「何か別のお飲み物をお持ちしましょうか?」とにっこり!
天使?
間髪入れずに「いいんですか? ではコーヒーを。」「スープを。」
2人でちゃっかりお代わりを所望して、うっとりと乗務員さんの背中を見送った。


「これからの5日間、私たちはこういうこと 1つひとつにしあわせを噛みしめて過ごしていこうね。」と誓い合う。


「来て良かったね」が、早速ひとつ。ありがとう。







結局台風7号は進路がそれ、帰路に影響はありませんでした。あきらめなければならないことはあったものの、6号とも上手にお付き合いができたと思います。
次回「1日目」からは、現地の情報提供を心掛けた内容にしたいと思います…。(たぶん。)


最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。




改めまして台風で被災された方々に、衷心よりお見舞い申し上げます。
あわせまして、もしも不謹慎な表現がありましたらお詫び申し上げます。




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