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呵責液
2020年9月15日 21:10
魂魄の花貴方、百合の葉と茎と雄蕊と雌蕊を、その瓶の中で混ぜ合わせても、シルクで作ったような百合の花には、ならないのよ。蕾にね、月で子飼いにされていた、獣の清らかな魂が宿らなければ、百合の花は咲かないの。そら、お庭の白百合をごらんなさい。これはきっと月宮で、ぐつぐつ暑い湯で煮られ、毟りとられた羽を扇に、肉はスープにされた白鳥の子ね。ふふ、分かりますとも、花の顔つきを見ればね。この子の花
2020年6月27日 21:20
濁った色の水晶に似た、石華石膏をくり抜いて作られた、巨大な鳩の塔。金魚の隠れ家をそのまま大きくしたような、海底に沈む人魚の海泡石の城に似て、栄螺(さざえ)状の石の塔は、足元から頭の先に至るまで、各階に鳩達の出入りのための窓が、虫に食い潰された貝殻がましに見えるほど、無数に空いていた。窓には、鳩達とそれを世話する役目の人間の足場が、巻貝の棘のように伸びていた。その棘の足場だけでなく、塔の内部の
2020年8月3日 20:32
私は、花も恥じらう乙女として恥ずかしいくらいの汗をかく。あがりやすく、赤面症もあって、顔が赤くなりやすい。友人に言わせると、この時期少しでも体を動かした後の私の顔は、砂浜に打ち上げられて、情けなく口をぱくぱくするだけの、体は濡れているが、生命は干からびかけている魚らしい。それで、あの時はたまたま部活の走り込みで、子供でもないというのに盛大に転んでしまい、私は教師と先輩方に許可を貰って、誰もいな