マガジンのカバー画像

瓦礫と化したピアノの怨念

57
演劇と怨楽の融合『ストロベリーソングオーケストラ』『瀉葬文幻庫』に於ける数々の楽曲・劇中歌を手掛けた座長・宮悪戦車の詩世界を纏めてみました。毒特の『鏡町』ワールドをご堪能ください。
運営しているクリエイター

#江戸川乱歩

呪胎

呪胎

眠れない 夜半(よわ)に響く 
呪い(まじない)の子守歌 傷に沁みる
懐かしい果実の匂い 
影を飲むように 手と手を掬ぶ(むすぶ) 

朽ち果てた実を 囮(おとり)にかけて 
騙り(かたり) 君を捕らえ
再び闇と花に塗れて(まみれて) 
私、あなたに潜りたい

何処かでまた出会い繰り返す 
瓶詰になった子供達
突き刺すナイフで 恐れず鍵を壊して
何処かでまた逢える 
もう一度あたたかく包んで

もっとみる
イキウラム・カリギュラム

イキウラム・カリギュラム

冷たい真っ赤な花の樹の下 
そこには屍体が埋められている
蠢く蟲と闇の中から あなたを待ち伏せている

コノ世ヲ、イキウラム

水鏡の中 語りかけてくる 
もう一人の私の声が
冷たい唇重ね 舌を絡める刹那に 
ひら、ひらと風に乗せて舞う花弁

とろり溶けて 花を咲かせ 
首筋に小指を立てて
冷たい夜に死季の匂い感じた

土の中で 膝を抱え もう一人の花が咲いた
影に 踏まれ イキウラム

死にぞこ

もっとみる
遊糸

遊糸

不完全な化粧(メイク) 
擬態の夜 裸の蝶 跳ねる
まるで月をえぐるように牙を向ける 
お前は遊糸(かげろう) 闇を吐く

絡まる君の呼吸(いき)を欲して 
匣の中に閉じ込めて
もがき苦しむ君を欲して 
匣の中で待ち伏せて

オマエヲカンゼンニ喰ライツクシテヤル

囚われた月は餌となり 
仮初の性(さが)の夜に踊りだす 
咀嚼音を立てて

君を噛んだ 噛んだから泣いた
泣いたから殺めた 匣に捨てた

もっとみる
暗ビリカル記号ジャメヴ

暗ビリカル記号ジャメヴ

屋根裏部屋から作家(かきて)が覗く 
この世に溢れる死産の文字が
息交う舞台で欠伸をしている 
台詞を忘れたカナリア

疫病蝕む緋色の仮面 
書物の世界の家なき子
傘無き人間交差点 
喪服を纏った日常が

酬い哂う 同じ顔の私
消しても消せない路地裏の落書 孤独と戯れて

鉛筆で書く恋慕 匣に埋もれて眠る
主役演じる死神(ジョーカー) 匣に栞突き刺す
暗ビリカル記号(コード)ジャメヴ

目の前

もっとみる
あなたの匣に眠りたい

あなたの匣に眠りたい

朝目が覚めたら芋虫、って
都合がいい物語無くて
繰り返す胡蝶の夢憧れ 
群がる街の視線に目を伏せ
絶望 フラグ 今日もたてるの?
日常 レンズ 垣間見る醜態
マス目 埋める 点と●、、、罰
黒い月に手袋を

インク切れした夜に別れ告げ 
闇に縄かけ再び眠る
また目が覚めたらニンゲンで 
「アレ?コレ何処かで見た夢?」

サヨナラ 映し世 
最果ての地に咲く花よ
瞼を閉ざせば 知らない夜に出会える

もっとみる