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映画、俳句の玉手箱

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映画に関すること、俳句に関することを書いています。
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2023年6月の記事一覧

幾春かけて老いゆかん~歌人馬場あき子の日々を観て

幾春かけて老いゆかん~歌人馬場あき子の日々を観て

 95歳の歌人馬場あき子さんの人間的魅力に脱帽でした。監督の田代氏の長編2本目で、ドキュメンタリー作品で、彼自身も馬場さんに魅かれ、日常を撮らせて欲しいと願ったことから映画化になったそうです。短歌のこと、知らないわたしでも楽しめました。ナレーション國村隼。

☆幾く春かけて老いゆかん~馬場あき子の日々  田代裕監督

 馬場あき子さんの93歳から94歳の記録です。コロナ禍であり、かりんの編集会議も

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「怪物」~怪物だーれだ~

「怪物」~怪物だーれだ~

「流浪の月」凪良ゆう氏の原作小説(映画版は少し違っていました)を読んだとき、繰り返された言葉「事実は真実と同じではない。ひとつの物事に対する主観と客観(世間)は大きく食い違うことがあること」というのを、この映画を観たあと、思い出しました。(「わたしの本棚25夜」より)
 早織、保利、湊の3人の視点から書かれています。同じ事象が、三人の視点によって、違った景をみせてくれます。カンヌ映画祭で脚本賞受賞

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せかいのおきく~懸命に生きる人々~

せかいのおきく~懸命に生きる人々~

 慎ましやかで、懸命に生きる人を応援したくなるような作品でした。
江戸時代末期、人民の糞便を買い取り、肥料として使う農家に売る仕事があったそうで、そんな仕事に就く若者たちと、元武家の娘の交流を描きます。  理不尽な世の中で、淡い恋愛と青春が陽気に描かれた作品で、観終わったあと希望を感じ、「そこ笑うとこでしょ」という矢亮(池松壮亮)の台詞が劇場をでたあとも元気に後押ししてくれました。

☆せかいのお

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