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相手が確実に知っていること・わかっていることについて「きみは知らないかもしれないけれど」と前置きすることで、軽口を叩いたり笑いを誘ったりする ~映画「ミラクル・ニール!」の場合

レイ「男には女が必要だぞ」
ニール「(肩をすくめて)僕にはデニスがいるさ」

レイ「あいつはオスだろ。あと、もしかするときみは気づいていないのかもしれないけれど、デニスは犬だぞ」

映画「ミラクル・ニール!」




◆概要

【相手が確実に知っていること・わかっていることについて「きみは知らないかもしれないけれど」と前置きすることで、軽口を叩いたり笑いを誘ったりする】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「ミラクル・ニール!」

▶1

本作の主人公はニール(40代頃の男性)。


彼は、

・Step1冴えない教師である。

・Step2:いまは愛犬デニスと2人で暮らしている

・Step3:じつはニールは、隣人のキャサリン(同世代の女性)に気があるのだが――どうにも上手くアプローチできない。いまやすっかり諦めている。


そんなある日、

・Step4:ニールが同僚のレイと話していた時のことだ

・Step5:レイは言った「男には女が必要だぞ」「もっと積極的にキャサリンにアプローチすべきだ」。

・Step6:しかしニールは肩をすくめた「僕にはデニスがいるさ」

・Step7:するとレイはちょっと呆れた感じで「あいつはオスだろ。あと、もしかするときみは気づいていないのかもしれないけれど、デニスは犬だぞ」


▶2

ご注目いただきたいのは、「あいつはオスだろ。あと、もしかするときみは気づいていないのかもしれないけれど、デニスは犬だぞ」というレイのセリフである。

要するに「いやいや、あいつはオスだろ。っていうかそもそも犬だし。人間の女性に目を向けろよな」という意味だが――ストレートにそう言ってしまっては面白くない。

そこで【相手が確実に知っていること・わかっていることについて「きみは知らないかもしれないけれど」と前置きすることで、軽口を叩いたり笑いを誘ったりする】という技法の出番だ。


改めてレイのセリフをご覧いただきたい。曰く「あいつはオスだろ。あと、もしかするときみは気づいていないのかもしれないけれど、デニスは犬だぞ」。

言うまでもなく、ニールはデニスが犬だと理解している。当たり前だ。

そしてまたレイだってそんなことはわかっている。ところが彼は「もしかするときみは気づいていないのかもしれないけれど」とわざわざ前置きした――。

この結果、いかにも友人同士の軽口という感じが出た。と同時に、ウィットに富んだ愉快なセリフになったといえるだろう。


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