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キャラの＜退屈＞や＜孤独＞をスマートに描く方法！！｜「SSSS.GRIDMAN」の第1回【覚・醒】を分析する

100%ツールズ｜創作の技術

※引き続き、アニメ「SSSS.GRIDMAN」の第1回【覚・醒】を分析します。本記事の前に、以下の記事をご覧になることをお勧めします。


【Point①】退屈


「SSSS.GRIDMAN」のOP曲は「UNION」。

※Crunchyrollによる公式動画です。


その中に「君を”退屈”から救いに来たんだ！」という歌詞があります（上記動画の1:15～）。


……はて。

誰が退屈しているのでしょうか？誰が救いに来たのでしょうか？


「退屈しているのは、アレクシス・ケリヴだ。彼は不死ゆえに退屈なのだ」という解釈も成り立つでしょうが……まぁ、一般的には【退屈しているのはアカネ。これは、グリッドマンや裕太がアカネを退屈から救う話である】と考えるべきでしょう。

そう、アカネは退屈しているのです。


退屈するキャラ


ところで、【○○が退屈している → アレコレあって退屈とは無縁の生活を送るようになる】という展開を辿る作品は少なくありません。


例えば、私が好きなものを1つあげるとすれば「バクマン。」。


主人公・真城最高（サイコー）は退屈な日常に辟易していた。そんな彼を救いに来たのは、クラスメイトの高木秋人（シュージン）です。サイコーはシュージンに誘われてプロマンガ家を目指す。かくして、退屈とは無縁の生活を送るようになった。

つまり、【アカネ = サイコー／グリッドマンや裕太 = シュージン】ですね。


アカネは冒頭シーンからして既に救われ始めている


＜1＞

話をアカネに戻しましょう。


ご注目いただきたいのは、冒頭シーン（物語開始直後のシーン）です。

・Step 1：時間は放課後、場所は学校の屋上。アカネが校庭を見下ろしている。彼女は退屈そうだ。憂鬱そうだ。何なら、そのまま飛び降りたとて不思議はないように見える。


退屈そうな少女が1人、屋上に佇んでいる……なかなかメランコリックで、ダウナーな冒頭ですよね。

しかし、このシーンには続きがあるのです。


＜2＞

・Step 2：ふいに、空に謎の光が現れた。

・Step 3：アカネは空を見上げ、光を見つめる。


興味深いのは、光を見つめるアカネの表情です。彼女は、まるで子どものような、好奇心満々の、純粋な顔をしているんですよ。

なぜそう見えるかというと、目が真ん丸に見開かれているから、そしてカメラが彼女を見下ろすようなアングルになっているからでしょう。


＜3＞

つまりこれ、【退屈で憂鬱そうな顔 → 子どものような純粋な顔】への変化。

そしてこの光の正体はグリッドマンですから、要するに、冒頭シーンからして既に【アカネはグリッドマンによって、退屈から救われ始めている】のです。


これ、「SSSS.GRIDMAN」という作品のストーリー全体を象徴する見事な冒頭シーンですよね！


【Point②】孤独


＜1＞

続いてご注目いただきたいのは、学校での授業シーン（本話冒頭から9分14分経ったシーン）です。

裕太やアカネらが授業を受けている間、画面には学校内の各所の様子が映し出されます。


具体的には、

・映像1：廊下。「1-E」と書かれたプレート

・映像2：廊下の冷水機（ウォータークーラー）。「使用禁止」と書かれた紙が貼られている

・映像3：教室のゴミ箱

・映像4：校庭（？）の水道

・映像5：廊下の防火扉

・映像6：階段。屋上につながる扉


＜2＞

一見すると、どうということのない映像（ショット）の連続に見えますが……しかし。

最後の「階段」の映像は要注目です。


というのも、画面の奥の方に屋上につながる扉が描かれているのですが、その前にコーンとバーが置かれているんですよ。

そう、屋上への立ち入りは禁止されているらしい。

したがって、冒頭シーンのアカネは立ち入り禁止の場所にいたことになる。


ということは、ですよ。

これ、【アカネは誰にも近づけない場所にいる → 彼女は単に退屈しているのではない。孤独なのだ！心を閉ざしているのだ！】と深読みすることができるでしょう。


キャラの＜孤独＞をいかに描くか


＜1＞

以上を整理すると、

・Step 1：まず、＜とあるキャラが屋上で佇んでいるシーン＞を描く。

・Step 2：その後、＜屋上が閉鎖されていること、つまり誰も近づけない場所であること＞をさりげなく示す。

・Step 3：これにより、＜そのキャラが孤独を抱えている＞と示唆することができる。

……となります。


＜2＞

これ、じつに巧いですよねー！

「彼女は孤独なんですよ！寂しいんですよ！」とあからさまに描かれると、「ハァ。そうっすか」とうんざりしてしまう人は多いと思います。「誰だって孤独くらい抱えているわ！」と、なぜか反発したくなりませんか？私は反発したくなります。


しかし本作のようにさり気なく描かれると……アカネが気になって仕方がない！彼女はなぜ孤独なのか？裕太らはアカネを救えるのか？

あー、続きが気になる！


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本記事では、アカネの＜退屈／退屈からの救出＞と＜孤独＞がどのように描かれているか確認してきました。

退屈しているキャラ、孤独を抱えているキャラを描く時には、ぜひ参考にしてみてくださいねー！


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（担当：三葉）

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