相手(主に大人)を「子ども扱いする」「子どもに喩える」ことで、侮辱したり挑発したりする ~映画「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」の場合
◆概要
【相手(主に大人)を「子ども扱いする」「子どもに喩える」ことで、侮辱したり挑発したりする】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」
▶1
本作の主人公は、エディ(30歳頃の男性)。
彼はポーカーの達人である。天才的な腕前を持っている。
というわけである日のことだ。
・Step1:エディは一攫千金を目指して、ハリー(ギャングのボス、60歳頃の男性)が主宰する賭場に乗り込んだ。
・Step2:エディの顔を見て、ハリーはニヤッと笑った「お前がエディか。JDのガキだな」。――「JD」とはエディの父の名である。どうやらハリーはJDを知っているらしい。
それに対して、
・Step3:エディは言った「あんたがハリーだな?だがすまない、おたくのオヤジさんのことは知らないんだ」。
・Step4:ハリーはエディをじっと見つめた。そして「生意気言ってるとな、坊や、あの世でご対面することになるぞ」。――「生意気なことを言うとぶっ殺すぞ。そうすればあの世で俺のオヤジと対面できるだろうさ」という脅し文句である。
▶2
セリフを1つずつ吟味していこう。
まずはハリーが言った「お前がエディか。JDのガキだな」。
エディは、「JDのガキだな(JD's son)」というこの表現が気に食わなかったようだ。1人の大人ではなく、「JDの息子」として扱われたのがムカッときたのだろう。もしくは「ここで舐められたら終わりだ。ポーカーを有利に進めるためにもガツンと一発言っておいた方がいいだろう」と計算したのかもしれない。
いずれにしろ、エディは言った「あんたがハリーだな?だがすまない、おたくのオヤジさんのことは知らないんだ」。
そう、わざわざハリーの「オヤジさん(your father)」の話を持ち出すことで、ハリーを子ども扱いしてやったわけだ。無論これは侮辱である。
対するハリー。彼は言った「生意気言ってるとな、坊や、あの世でご対面することになるぞ」。
ご覧の通り、エディを「坊や(son)」と呼んで子ども扱いすることで、侮辱し返したわけである。
要するに【相手(主に大人)を「子ども扱いする」「子どもに喩える」ことで、侮辱したり挑発したりする】という技法の連発。この連発によって、緊張感あふれる格好いいシーンになったといえるだろう。
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