「クイック・レスポンス」って気持ちいい♥|『異世界はスマートフォンとともに。』に学ぶテクニック
アニメを研究して、創作に活かそう!
本記事では、「異世界はスマートフォンとともに。」に【「クイック・レスポンス」の気持ちよさ】を学びます。
※「異世界はスマートフォンとともに。」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。
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本作は駄作……ではない!!
本作を鑑賞した方の感想ブログや、実況ツイートを片っ端から見ていて気づいたのですが……本作に対して、以下のような印象を抱いた方が少なくないようです。
・1-1:「ご都合主義」がひどすぎる……!
・1-2:異世界転移もの、チートもの、ハーレムものなどの「テンプレ」をなぞっているだけじゃないか……!
・2:「ご都合主義」と「テンプレ」の嵐だから、先の展開が全部読めてしまう……!
・3:これ、駄作だ!
確かに、本作は「ご都合主義」の極みです。
また、「テンプレそのまま」という指摘も一理ある。
しかしですね、「それゆえに駄作である」という結論はいかがなものでしょうか?私はこれ、見当違いの批判だと思います。
詳しくご説明しましょう。
第1話をざっくり振り返る
まずは、本作の「ご都合主義っぷり」、「テンプレそのままっぷり」を確認しておきましょう。
第1話のストーリーをざっくり整理しました。
以下をご確認ください。
異世界に転移したら、すぐに地図やら金やらをゲット!……という「ご都合主義っぷり」。
そして、チンピラにからまれている美少女を助ける!……という「テンプレそのままっぷり」。
ゆえに、「この先どうなるのだろう?」「まさか○○になってしまうのでは!?」といったハラハラドキドキ感はありません。「どうせ次は○○なんでしょ?あっ、やっぱりね」と先の展開が見えてしまうのです。
「ご都合主義」「テンプレそのまま」「意外性皆無」は、本当に悪なのか?
以上、「本作は『ご都合主義』と『テンプレ』の嵐で、先が読めてしまう。意外性皆無」と申し上げてきました。
しかしですね、ここで改めてお考えいただきたいのですが……「ご都合主義」や「テンプレそのまま」、「意外性皆無」というのは、本当に悪なのでしょうか?
「ご都合主義はいかん!」「テンプレそのままはダメだ!」「意外性皆無ではつまらない!」という先入観に過ぎないのでは?
というのも、究極的には、アニメ(やマンガ、小説など)は面白ければそれでいいはずですよね。
つまり、一般的には「ご都合主義・テンプレそのまま・意外性皆無の物語」は面白くない。ゆえに、それらは悪とされている。
しかし「ご都合主義」だろうと「テンプレそのまま」だろうと「意外性皆無」だろうと、面白ければ問題ないのです。
では、本作はどうか?
「ご都合主義」で「テンプレそのまま」で「意外性皆無」なのに……面白いんですよ。
一体なぜ!?
「ご都合主義」「テンプレそのまま」「意外性皆無」なのに、なぜ本作は面白いのか?
ここでは、「美少女がチンピラにからまれているのを、主人公が目撃する」というシーンを例に考えてみましょう。
普通だったら、
・1:鑑賞者は、「うわぁ!ご都合主義ー!テンプレそのままー!どうせ主人公が助けるんでしょ?で、ヒロインは主人公に惚れちゃうんでしょ?ありきたりだなぁ。ハァ」と感じる
・2:その後、予想通りの展開が描かれる
・3:鑑賞者は飽きてしまう
……となるところです。
ところが、本作は違います。
「うわぁ!ご都合主義ー!テンプレそのままー!」と感じた次の瞬間には、主人公がヒロインを助け終わっているのです。
このスピード感!飽きる暇すらない!
「クイック・レスポンス」は気持ちいい♥
本作の特徴は、
・1:鑑賞者が「もしかして、○○になるんじゃない?」と予想する
・2:予想通りの展開が繰り広げられる
……この2つの間隔が極端に短いということです。
本記事ではこれを、「クイック・レスポンス(迅速な応答)」と呼ぶことにしましょう。
そして、「クイック・レスポンス」は正義です。
何しろ、気持ちいい♥
パソコンやスマホをいじっている時、あるいはゲームをプレイしている時のことを思い出してみてください。
思った通りにスイスイ操作できると、気持ちいいですよね♥
逆に、意図した通りに動かないとか、ノロノロしているとか、そんな時にはイラっとくるはずです。
本作の気持ちよさ♥
制作者の方(原作者、監督、脚本家など)の意図はわかりかねますが……私は、「本作は『クイック・レスポンス』を徹底追求し、一定の成功を収めた作品」と評価すべきだと思います。
そしてその意味で、本作を「ご都合主義」「テンプレそのまま」と批判するのは見当違いなのです。
だって、「ご都合主義」や「テンプレそのまま」だからこそ、鑑賞者は次の展開を容易に予想できる。その結果、「クイック・レスポンス」の気持ちよさがもたらされるのですから。
もしも「ご都合主義」「テンプレそのまま」でなければ、「クイック・レスポンス」の気持ちよさはもたらされなかったでしょう。
傑作アニメ「てーきゅう」を思い出していただくと、理解しやすいと思います。
「てーきゅう」は、ハイテンポな作品です。しかし、そこに「クイック・レスポンス」の気持ちよさはありません。
なぜか?
「てーきゅう」は、意外性たっぷりのストーリーやキャラを楽しむ作品であり、「ご都合主義」や「テンプレそのまま」ではないからです。
【補足】「クイック・レスポンス」の限界
「クイック・レスポンス」は万能ではありません。
パソコンやスマホ、ゲームを思い出してみてください。
最初はそのスムースな動きや、ヌルヌル感に興奮したはずです。しかしあっという間に慣れ、いまや何とも感じなくなっていることでしょう。
アニメ(やマンガ、小説など)でも同様です。
鑑賞者・読者は、やがてそのスピードに慣れる。かくして、「クイック・レスポンス」の気持ちよさは薄れてしまうでしょう。
本作では、第5話辺りから「マンネリだなぁ」「何か飽きてきたな」と感じた人が多いようです。
鑑賞者・読者の「慣れ」に警戒しつつ……みなさんも「クイック・レスポンス」の気持ちよさを追求してみてくださいねー!!
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(担当:三葉)