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アイデアに詰まったら、発想法「フリー・ライティング」を使うべし!!【なぜ創作術では、「自由に書け!書き殴れ!」と勧めるのか?】

なぜ創作術では、「自由に書け!書き殴れ!」と勧めるのか?


創作術の本を読んでいて、「自由に書け!」「文法や誤字脱字を気にするな!」「どんなことでも書け!」「書き殴れ!」といった文章に出会ったことはありませんか?


例えばシド・フィールド(Syd Field/アメリカの脚本家、脚本研究家、「三幕構成」の生みの親)の著作には、「自由連想エッセイを書くべし!」という文章がたびたび登場します。

いくつか引用してみましょう。

ちょっとした自由連想のエッセイを書きなさい。
どんな考え、言葉、思っていることも書き留めて、自由に連想しなさい。
自由連想にあたっては、いかなる考え、言葉、またはアイデアであっても書きなぐることが大切だ。文法や誤字脱字を気にする必要はない(自分以外誰も見ていない)ので、それがどれほど良いか悪いか、それが正しいか間違っているかに関係なく書きなぐりなさい。自分の書いたものや何が起こるかについて余計なジャッジをしてはいけない。あなたがジャッジに耳を傾けすぎると、あなたの創造性を検閲し、窒息させることになる。
自由連想で機械的に書きなさい。

※以上、いずれも「最高の映画を書くためにあなたが解決しなくてはならないこと」から引用。


私は疑問でした「自由に書くべし、書くべし!……って、一体何のために?」。目的やメリットがわからなければ、実践しようという気にはなれない。それが人情ですよね。

しかし最近、ふと気づいたんですよ!「そうか!フィールドらは、おそらく『フリー・ライティング(Free Writing)』の話をしているんだ!だから自由に書き殴ることを勧めるんだ!」と。


「フリー・ライティング」とは何か?


フリー・ライティングとは、文字通り「自由に書くこと」

「文法や誤字脱字を気にせず、頭に浮かんだことを、一定時間書きまくるテクニック」です。

※上記は、英語版Wikipediaへのリンクです。日本語のページは存在しないようです。


フリー・ライティングは、古くから存在する技法です。そしてPeter Elbow氏(アメリカのライティングの研究者)らの貢献によって、現代でも使えるテクニックとして発展してきました。


現在、フリー・ライティングは多くの目的で活用されています。

例えば、カウンセリング的に使われたり(頭の中のものをすべて書き出すという点で、役立つようです)。

あるいは、言語学習者(子ども、外国語を学ぶ人)の習熟度をチェックするのに使われたり(その言語がどこまで体に染みついているか判定するのに有用なようです)。

しかし、最も一般的な活用方法は……アイデア出しです!


「フリー・ライティングによるアイデア出し」とは何か?


あなたの中には、きっと素晴らしいアイデアが眠っている!

①あなた自身もまだ気づいていないアイデアや、②上手く言葉にできていないアイデア、そして、③「さすがにこんなアイデアはダメでしょ」という<常識>や、「バカにされたらどうしよう」「失敗したらどうしよう」という<不安>によって表に出づらくなっているアイデア……ドシドシ書きまくることで、それらを表に出そう!

これが「フリー・ライティングによるアイデア出し」の考え方です。


いわゆる「発想法」、その中でも「拡散法」「強制発想法」と呼ばれるタイプの「発想法」に該当すると言えるでしょう。


「フリー・ライティング」のルール


フリー・ライティングには、誰もが認める統一ルールはありません。人によって、本によって、異なるルールを採用しているようです。

しかし一般的には、以下のルールに沿って実施されることが多いようです。


①テーマを定める テーマすら決めずに、自由気ままに書き出す場合もあるようですが……一般的には、「今日は○○についてフリー・ライティングをしよう」とテーマを定めることが多いようです。例えばあなたが小説やマンガを書いているなら、「このシーン、ちょっと平凡だよなぁ。もうちょっとアイデアをプラスするとよくなりそうだ。よし、フリー・ライティングでアイデア出しだ!」なんて具合ですね。

②事前準備は禁止 テーマは設定しましょう。しかし「何を書こうかなぁ」と、事前に内容について考えるのはルール違反です。何も考えずに書き出すべし。

③テーマから逸脱してもいい テーマを定めたものの、いざフリー・ライティングを開始すると、早々に脱線してしまった。グングン話が逸れていく。嗚呼、どうしよう……なんてこともあるでしょう。しかし大丈夫!脱線を恐れるべからず。むしろ、脱線した方がいいアイデアにつながるかもしれません。何も気にせず、書きまくるべし!

④制限時間を設ける 10~15分程度が多いようですが、1分でも構いません。

⑤手を止めない 制限時間中は、手を動かし続けるべし。書くことがなくなったら、「私はいま書くことがなくて困っている」「あー、どうしよう」などでも構いません。同じことを繰り返し書いてもいいでしょう。また、途中で書くのが嫌になったら、その理由を書いてみてもいい(そこに何かのヒントが眠っているかもしれない)。いずれにせよ……絶対に手を止めるな!

⑥頭に浮かんだものをすべて書く 取捨選択は厳禁です。人前では言えないようなヤバいこともドシドシ書くべし。

⑦きびきび書く 急ぐ(Hurry)必要はありません。しかし、きびきび書く(Write quickly)べし。

⑧文法や誤字脱字は一切気にしない 誤字脱字なぞどうでもいい。「です・ます」と「だ・である」が混ざってもいい。何でもいい。そして、ミスに気づいても修正はしない(修正している暇はありません。とにかく書くべし)。「上手く書くこと」よりも「書きまくること」が重要です。

⑨文章形式で書く ヘロヘロでも構わないので、文章形式を維持すべし。単語の羅列や、箇条書きは禁止です(これが「ブレスト(ブレーン・ストーミング)」との大きな違いです)。なお、句読点やエクスクラメーション・マーク、クエスチョン・マーク、改行などは使い放題です。

⑩道具は自由 ペンと紙を使っても結構です。無論、PCやスマホでもいいでしょう。


以上のルールに沿って書きまくり、そしてタイムアップしたら手を止めましょう。最後に、書き殴った文章を読み返し、使えそうなアイデアやフレーズをピックアップして完了となります。

時には「使えるアイデアが1つもねぇよ!」ということもあるでしょう。しかし、気を病んではいけません。慣れぬ内は誰だって上手くいかぬものです。再び挑戦すればいいのです。


……以上、フリー・ライティングについてご説明してきました。

今後創作術の本を読んでいて、「自由に書け!」「文法や誤字脱字を気にするな!」「どんなことでも書け!」「書き殴れ!」なんて文章に出会ったら、「あー、アイデアを出すために書きまくるあのテクニックのことね。ハイハイ、知ってますよ」と、この記事を思い出していただくといいかと思います。おそらく本の理解が深まるでしょう。


ではみなさん、フリー・ライティングを試してみてくださいねー!


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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