相手の言葉を下敷きにして、嫌みったらしく非難したり皮肉ったりする ~映画「バッドボーイズ」の場合
◆概要
【相手の言葉を下敷きにして、嫌みったらしく非難したり皮肉ったりする】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「バッドボーイズ」
▶1
本作の主人公は、マーカスとマイク(中年男性)。
2人はマイアミ市警のベテラン刑事コンビである。
ある日、
・Step1:2人が車で移動していた時のことだ。
・Step2:その車はマイクのものであり、ハンドルを握るのもマイクである。
やがて、
・Step3:助手席のマーカスがハンバーガーを食べ始めた。
・Step4:マイクは慌てて「おい、俺の車の中でピクニックをする気か!?」「こぼさないように気をつけろよ!」。
・Step5:マーカスは「いちいち口うるせぇなぁ!」という顔になる。
やがて、
・Step6:マーカスは飲み物を取り出した。そして訊いた「なぁおい。カップホルダーはどこだ?」。
・Step7:マイクが答える「そんなものはない」。
・Step8:マーカスは耳を疑う「ないって!?この車、8万ドルもしたのにカップホルダーも付いてねぇのかよ!?」。
・Step9:マイクは反論する「8万じゃねぇ!10万5000ドルだ!」「わかってんのか?これは地球上で一番速い車なんだぞ!出足のよさも抜群の特別限定車だ!」。
2人が乗っているのは、
・Step10:「ポルシェ911ターボ」。大変高価で、そして高性能のスポーツカーである。マイクのお気に入りの逸品だ。
・Step11:だが、車に興味がなく、かつマイクほど裕福ではないマーカスからすれば、それはただただ乗りづらいだけのポンコツにすぎない。
・Step12:というわけで、マーカスは嫌みっぽく言った「本当に『特別』だよなぁ。カップホルダーもなければ後部座席もないもんな!」。
▶2
ご注目いただきたいのは、「本当に『特別』だよなぁ。カップホルダーもなければ後部座席もないもんな!」というマーカスのセリフである。
要するに「カップホルダーもなければ後部座席もない!まったくなんて車だ!」と呆れているわけだが――ストレートにそう言ってしまっては面白くない。
そこで【相手の言葉を下敷きにして、嫌みったらしく非難したり皮肉ったりする】という技法の出番だ。マイクの「特別限定車」という言葉に対して「本当に『特別』だよなぁ」と応じたことで、嫌みったらしい愉快なシーンになったといえるだろう。
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