格好いいこと・しゃれたことを言った人を、からかったり皮肉ったりする（「いまのは○○のパクりかい？」というふうに発言それ自体をネタにするver.）　～ドラマ「コミンスキー・メソッド」の場合

ダイアン「（愛妻を亡くして落ち込んでいるノーマンを励まそうとして）時には心が壊れてしまうこともあるわ。でもそれは、新しい愛を受け入れるための準備なのかもしれないわよ」
↓
ノーマン「その言葉、いま思いついたの？」
ノーマン「きみはホールマーク社のためにポエムを書くべきだよ。あいつらはクサイ言葉が大好きだからね」

ドラマ「コミンスキー・メソッド」（シーズン1の第8話）

◆概要

【格好いいこと・しゃれたことを言った人を、からかったり皮肉ったりする（「いまのは○○のパクりかい？」というふうに発言それ自体をネタにするver.）】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。

◆事例研究

◇事例：ドラマ「コミンスキー・メソッド」（シーズン1の第8話）

▶1

本作の主要キャラの1人・ノーマン（80歳頃の男性）。

彼は愛妻を亡くしたばかりで、情緒不安定になっている。

いろいろあってある日、

・Step1：ノーマンは、知り合いの女性ダイアンから食事に誘われた。

レストランにて、

・Step2：ノーマンは打ち明けた「俺は妻を亡くしてから常にイライラしている。他人にきつく当たったり、皮肉を言ったりしてしまうんだ」。

・Step3：ダイアンは慰める「そうやって悲しみを乗り越えようとしているのよ」。さらに彼女は言った「時には心が壊れてしまうこともあるわ。でもそれは、新しい愛を受け入れるための準備なのかもしれないわよ」。

ダイアンの言葉を受けて、

・Step4：ノーマンは質問した「その言葉、いま思いついたの？」。

・Step5：ダイアンは意味がわからない。彼女は困惑顔で「ええ、そうよ……」。

・Step6：するとノーマンは言った「きみはホールマーク社のためにポエムを書くべきだよ。あいつらはクサイ言葉が大好きだからね」。

※補足：「ホールマーク社」はアメリカの企業で、グリーティングカード（バースデイカード、感謝状など）を作っている。中にはクサい言葉が載っているものもある。

つまり、

・Step7：「ふぅ！なんてクサい言葉だ！まるでグリーティングカードに載っている安っぽいポエムじゃないか」という意味だ。

・Step8：ダイアンはムッとする。

・Step9：直後、ノーマンは謝罪した「すまん……堪えきれないんだ」。

▶2

ご注目いただきたいのは、「その言葉、いま思いついたの？」「きみはホールマーク社のためにポエムを書くべきだよ。あいつらはクサイ言葉が大好きだからね」というノーマンのセリフである。

せっかく励まそうとしてくれた相手に対してこの皮肉！

「その言葉、いま思いついたの？」とわざわざ質問したり、「きみはホールマーク社のためにポエムを書くべきだよ」と婉曲的に腐したり……底意地の悪さが際立っている。

「あまりにもひどすぎる（笑）」「そりゃダイアンもムッとするよ（笑）」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。

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