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「誰がどう見ても嘘だとわかること・でたらめだとわかること」を口にして、軽口を叩いたり笑いを誘ったりする ~映画「ブリジット・ジョーンズの日記」の場合

ダニエル「(ブリジットと共通の知り合いがいるとわかり)きみは、ダーシーの野郎とはどういう知り合いなんだい?」
ブリジット「母によると、子どもの頃に裸で水遊びした仲だそうです」

ブリジット「そっちはどんな関係なんです?」
ダニエル「きみと同じさ。まったく同じ」
ブリジット「(笑う)」
ダニエル「(笑って)本当は、やつの結婚式で付添人をやった。俺たちはケンブリッジ大学の同級生で、友だちだったんだよ」

映画「ブリジット・ジョーンズの日記」




◆概要

【「誰がどう見ても嘘だとわかること・でたらめだとわかること」を口にして、軽口を叩いたり笑いを誘ったりする】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「ブリジット・ジョーンズの日記」

▶1

本作の主人公はブリジット(女性32歳)。


彼女には、

・Step1幼馴染がいる。ダーシーという男性だ。

・Step2:2人は幼い頃には一緒に遊ぶなどした仲だ。

・Step3:しかし大人になってからは、すっかり疎遠になっている。


そんなある日のことである。

・Step4:ブリジットはいま、とある出版社に勤務しているのだが、会社の上司ダニエルもまたダーシーと知り合いだと明らかになった

・Step5:えっ、あなたもあいつを知っているんですか!?本当に?すごい偶然!

・Step6:というわけで、2人は盛り上がる


まずは、

・Step7:ダニエルが訊いた「きみは、ダーシーの野郎とはどういう知り合いなんだい?」

・Step8:ブリジットが答える「母によると、子どもの頃に裸で水遊びした仲だそうです」


次いで、

・Step9:ブリジットが問うた「そっちはどんな関係なんです?」

・Step10:するとダニエルは「きみと同じさ。まったく同じ」

・Step11:ブリジットが笑う。そんなバカな!

・Step12:ダニエルも笑う。そして彼は続けた「本当は、やつの結婚式で付添人をやった。俺たちはケンブリッジ大学の同級生で、友だちだったんだよ」


▶2

ご注目いただきたいのは、「きみと同じさ。まったく同じ」というダニエルのセリフである。

上述の通り、これは真実ではない。

真っ赤な嘘だ。

誰も彼もが「子どもの頃に裸で水遊びした仲」なわけがない!


では、なぜダニエルはこんな嘘をついたのだろうか。

理由は明白だ。そう、場を盛り上げようとしたのだ。つまりは【「誰がどう見ても嘘だとわかること・でたらめだとわかること」を口にして、軽口を叩いたり笑いを誘ったりする】という技法である。


この技法を使ったことで、「じつは俺たちは大学の友人で……」と実直に回答するのと比べて、ぐっと愉快なシーンになったといえるだろう。

また、ダニエルが陽気で楽しい男だと鑑賞者に伝わるようになった。これは大切なポイントだ。というのも、じつはブリジットはダニエルに惚れている。主人公が恋する相手なのだから、彼がいかに魅力的な人物か鑑賞者に理解してもらうことは極めて重要だ。


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