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「パッと見では理解しづらい比喩」を敢えて使う ~アニメ「真夜中ぱんチ」の場合

十景「(ぶち切れる)タイトルで判断するんじゃねぇ!てめぇはおにぎりにルッキズム持ち出すのかよ!」
真咲「(訳がわからず)はぁ?」

十景「大事なのは中身だろうが!具が大事なんだよ、具が!」

アニメ「真夜中ぱんチ」(第3話)




◆概要

【「パッと見では理解しづらい比喩」を敢えて使う】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「真夜中ぱんチ」(第3話)

▶1

本作の主人公は、真咲(若い女性)。

彼女は、とある動画配信者グループのプロデュースや企画を担当している。


いろいろあってある日、

・Step1:知り合いの十景(若い女性、じつはヴァンパイア)が企画書を持ってやってきた

・Step2:十景は自信満々に「力を貸してやるよ」「これくらいぶっ飛んでないと!」


しかし真咲はひと目見て、

・Step3その企画書を破り捨てた。そして言った「どこがぶっ飛んでんの?企画名を変にすればいいってもんじゃないんだよ!」。――「企画を舐めるな!動画配信の世界を舐めるな!タイトルだけユニークならそれでいいなんて甘い世界じゃねーんだよ!」というわけだ。

・Step4:直後、十景はぶち切れた。彼女は叫んだ「タイトルで判断するんじゃねぇ!てめぇはおにぎりにルッキズム持ち出すのかよ!」

・Step5:……おにぎり?ルッキズム?真咲は訳がわからない「はぁ?」

・Step6:十景が言った「大事なのは中身だろうが!具が大事なんだよ、具が!」


▶2

ご注目いただきたいのは、十景のセリフである。曰く「タイトルで判断するんじゃねぇ!てめぇはおにぎりにルッキズム持ち出すのかよ!」「大事なのは中身だろうが!具が大事なんだよ、具が!」。

上記のセリフの中で必要不可欠な部分は、じつは少ない。

十景が言いたいのは「タイトルで判断するんじゃねぇ!」「大事なのは中身だろうが!」の2つであって、要するに「てめぇはおにぎりにルッキズム持ち出すのかよ!」「具が大事なんだよ、具が!」の部分はなくても問題ないのだ。


しかし、それではもしも十景が「タイトルで判断するんじゃねぇ!」「大事なのは中身だろうが!」とだけ言っていたらどうか?

――うーむ、面白くない。

説教臭いだけのつまらないセリフだ。


それに対して、改めて十景のセリフをご覧いただきたい。

彼女は言った「タイトルで判断するんじゃねぇ!てめぇはおにぎりにルッキズム持ち出すのかよ!」「大事なのは中身だろうが!具が大事なんだよ、具が!」。

――うーむ、面白い!

企画のタイトルを「おにぎりの見た目」に、企画の中身を「おにぎりの具」に、そして企画のタイトルだけで良し悪しを判断することを「ルッキズム」に喩えるこのセンス!キレキレだ!


要するにこれは【「パッと見では理解しづらい比喩」を敢えて使う】という技法であり、この技法を使ったことでウィットに富んだセリフになったといえるだろう。


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