見出し画像

驚いたり呆れたりした人に向かって、「○○にようこそ」と言う ~マンガ「むこうぶち」の場合

安永「(初めての高レート麻雀で調子を崩し始めた村田に向かって、ニヤッと笑うと)高レートの世界へようこそ、村田くん」

マンガ「むこうぶち」(第12巻)




◆概要

【驚いたり呆れたりした人に向かって、「○○にようこそ」と言う】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:マンガ「むこうぶち」(第12巻)

▶1

本作の登場人物の1人・村田(29歳の男性)。

彼は要領こそ悪いものの、誠実な青年であり、いつもニコニコしていることもあって皆からかわいがられていた


ところで、

・Step1:村田には趣味がある。賭け麻雀だ。

・Step2:とはいっても「一か八かの大勝負をする」といった類のものではない。「比較的安いレートでちょこちょこ勝ったり負けたりして楽しむ」というタイプのそれである。

・Step3:では、村田の腕前はどの程度のものか。一流とはいいがたい。が、彼はものすごいツキを持っていた。その結果、ほとんど負けなしだった。「村田くんは天真爛漫だからなぁ。麻雀の神様に愛されるのはああいうやつなんだよ」なんて麻雀仲間たちは噂していた。


そんなある日のことだ。

・Step4:ひょんなことから、村田は大金が必要になった

・Step5:いつもの賭け麻雀では到底まかなえない。というわけで、知り合いの安永(プロ雀士であると同時に、賭け麻雀の世界でも名を知られた男)に声をかけた「もっと高レートの場所を紹介して貰えんですか?」


かくして村田は、

・Step6:全財産300万円を握りしめて高レートの賭け麻雀に挑んだ

・Step7最初の内は順調だった。いつものように気負わず打てていた。

・Step8:ところが次第に調子を崩していった。無理もあるまい。何しろ、高レートゆえのプレッシャーがのしかかる。さらにはハイレベルな対戦相手からの攻撃も続く。

・Step9村田は最早思うように麻雀を打てない。まずいまずい……!彼は焦る。

・Step10:そんな村田を見て、安永はニヤッと笑った「高レートの世界へようこそ、村田くん」。――そう、高レートゆえのプレッシャーや怪物レベルの対戦相手との戦いこそが高レート麻雀の世界なのだ。


▶2

ご注目いただきたいのは、「高レートの世界へようこそ、村田くん」という安永のセリフである。

要するに「高レートゆえのプレッシャーや怪物レベルの対戦相手との戦いこそが高レート麻雀の世界なんだぜ。ここからが本番だ。さぁ村田くん、きみは勝てるかな?」という意味だが――ストレートにそう言ってしまっては面白みを欠く。

そこで【驚いたり呆れたりした人に向かって、「○○にようこそ」と言う】という技法の出番だ。「高レートゆえのプレッシャーや怪物レベルの対戦相手との戦いこそが高レート麻雀の世界なんだぜ。ここからが本番だ。さぁ村田くん、きみは勝てるかな?」を「高レートの世界へようこそ、村田くん」に置き換えたことで、スマートで格好いいセリフになったといえるだろう。


◆他のアイデアも見る👀

この記事が参加している募集

#とは

57,862件

最後までご覧いただきありがとうございます! 頂戴したサポートはすべてコンテンツ制作に使います!