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「伽椰子」以上に理不尽な怨霊を考えよう!!|『THE JUON 呪怨』(2)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「THE JUON 呪怨」をベースに新しい物語を妄想します。

※「THE JUON 呪怨」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「THE JUON 呪怨」は、強い恨みを抱いて死んだ女性が怨霊と化し、
「理不尽な凶行」を繰り返す物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「THE JUON 呪怨」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さてここからは、「『THE JUON 呪怨』をリスペクトした物語」をアレコレ考えていくわけですが……。

嘉村 ええ。

三葉 はて。「『THE JUON 呪怨』の特徴」、つまり「『THE JUON 呪怨』っぽさ」「『THE JUON 呪怨』らしさ」って一体何だと思います?

嘉村 やはり「伽椰子の理不尽さ」ですかね。

三葉 そうですね。前掲の「POINT」でご説明した通り、伽椰子はあまりにも理不尽です。「伽椰子が殺された場所 = 伽椰子の呪いが蓄積されている場所」に足を踏み入れた者を、見境なく殺してしまう。

嘉村 ふむ。

三葉 つまり、ですよ。「『THE JUON 呪怨』をリスペクトした物語」を考えるには、この「理不尽さ」に注目する必要がある。伽椰子に似た、あるいはそれを上回る化け物を登場させたとしても、そこに「理不尽さ」がなければ、「『THE JUON 呪怨』をリスペクトした物語」とは言いがたい。むしろ、「『THE JUON 呪怨』を上回る理不尽な物語を作るぞ」と考えるべきでしょう。

嘉村 なるほど。

三葉 鑑賞者が「マジ不条理!」と驚き、あるいは「メチャクチャすぎて笑える!」と思わず吹き出してしまうような理不尽な物語!……では、いかにしてその「理不尽さ」を作り出すのか?

嘉村 ええ。

三葉 で、思いついたのが……「『THE JUON 呪怨』 ~『善人を殺せ!悪人は殺すな!』編」です。


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嘉村 ほぉ!

三葉 多くの人は、「勧善懲悪」の物語が大好きです。


三葉 「勧善懲悪なんて古いよ!月光仮面の時代じゃあるまいし」と御託を並べ、小難しいことを言う人もいますが……しかし彼らとて、心の奥底では「正義は必ず勝つ!悪は滅びる!」と信じているところがある。

嘉村 まぁ、確かに。

三葉 したがって、逆に言えば……「善人ばかりが殺されまくり、一方で悪人は救われる物語」 = 「勧善懲悪の真逆の物語」を前にすると、我々は「えっ、何この不条理さ」と驚き、あるいは「メチャクチャじゃねぇか!」と吹き出してしまうと考えられる。

嘉村 ほぉ。

三葉 例を上げてご説明しましょう。「THE JUON 呪怨」では、その家に引っ越してきた一家(ウィリアムズ一家)や、家を訪問した介護士(洋子、カレン)、介護士の関係者(アレックス、ダグ)といった「ごく一般的な市民」が呪い殺されてしまいますが……。

嘉村 ええ。

三葉 「ウィリアムズ一家は、近所では有名な善人家族」だとか、「洋子は底なしのお人よしで、しかも孝行娘」だとか、「カレンは明るく健やかで、近所の奥様方からは『息子の嫁にしたい女性No.1』と好評を得ている」だとか……彼らが善人だというエピソードを事前に盛り込み、その上で、単に「家に入った」というだけの理由で殺されると、「理不尽さ」が強まると思うんですよ。

嘉村 ふむふむ。

三葉 「えっ!あんないい人が、そんな理由で殺されるの!?」なんて。

嘉村 確かに。

三葉 もういくつか、例をご紹介しましょう。……急に雨が降ってきた。ところが、おや。お隣さんは、ベランダに布団を干しっぱなしだ。教えてあげなくちゃ。気のいいオバチャンは、隣家のインターフォンを押した。しかし応答がない。ドアをノックする。返事がない。ふと見ると、ドアに鍵がかかっていない。オバチャンはドアを開け、家の中に声をかけた「もしもーし!誰もいないのかい?」。……かくして、アウト!オバチャンは、「家に入った」という理由で呪い殺された。

嘉村 うーむ……。

三葉 ご覧の通り、じつに親切なオバチャンですよ。

嘉村 ええ。

三葉 彼女は、厚意で声をかけてやった。

嘉村 ふむ。

三葉 それなのに……呪い殺されちゃった!嗚呼、理不尽!

嘉村 確かに。

三葉 同様に……オバチャンが夕食のおかずを持って、隣家を訪問した。「ウィリアムズさんの奥さん、日本に来たばかりで心細いだろうからね。それに、せっかくなら和食を味わってほしいし。喜んでくれるといいけど」。オバチャンはドアをノックし、玄関に上がる。……で、呪い殺される。

嘉村 うーむ。理不尽ですねぇ。

三葉 とまぁ、善人がバタバタ呪い殺されていくわけですが、その一方で悪人は死なない。

嘉村 ふむ。

三葉 すなわち、オバチャンに続いて……新興宗教の勧誘員がやってきた。インターフォンを押す。応答がない。鑑賞者は思うでしょう「おっ、今度はこいつが殺されるわけだな。まっ、いかにも胡散臭いヤツだ。こいつなら殺されて当然かもね」。ところが……勧誘員は「不在なら仕方がない」ということで、その場を立ち去った。無論、彼は呪い殺されません。

嘉村 なるほど……。

三葉 次にやってきたのは、訪問販売員です。鑑賞者は思う「これまた怪しいヤツだ。きっと詐欺師に違いない。よし、今度こそ呪い殺されるぞ」。しかし……販売員は何だか嫌な予感がして、さっさと立ち去ってしまった。悪人特有の勘が働いたわけですね。家の中に入っていないので、もちろん彼は殺されない。

嘉村 うーむ……。

三葉 今度は、泥棒がやってきた。鑑賞者は思う「今度こそ呪い殺されるに違いない!」。が、泥棒は辺りを物色すると、別の家に侵入した。……無論、彼も呪われることはありません。

嘉村 ……アレですね。「そっちに行くんかい!」とツッコみたくなりますね。

三葉 そうですね。

嘉村 ふむ。

三葉 とまぁこのように、善人ばかりが呪い殺される。一方で、悪人はなぜか九死に一生を得る。換言すれば、呪い殺される者には「善人」設定を、生き延びる者には「悪人」設定を付与する。……これにより、「理不尽な怨霊の物語」を作り得ると思うのです。

嘉村 なるほど。

三葉 以上、「『THE JUON 呪怨』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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