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仲よしグループ間の「壁」を乗り越える方法!!|『ゆゆ式』に学ぶテクニック

アニメを研究して、創作に活かそう!

本記事では、「ゆゆ式」に「仲よしグループ間の『壁』を乗り越え、構成員同士が交流を始める過程を学びます。

※「ゆゆ式」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。

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テーマ発表!!


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学校でも職場でも、あるいはその他どんな場所でも、私たちは「仲よしグループ」を作りたがるものです。


最も顕著なのは、学校です。

4月、入学。最初は皆バラバラです。知り合いはいない。皆が「どうしよう。隣の席の人に話しかけてみようかな……」なんて不安を抱えている。

ところが3日、あるいは1週間も経つと、見事にできているわけですね、仲よしグループってヤツが。

さらに、あっという間に他の生徒や教師からも「あの3人は仲がいいよね」と認知されるようになる。


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そして、この「仲よしグループというくくり」はなかなか頑丈なものです。

皆さんもご経験があるかと思いますが……よそのグループの構成員とは、どうも親しく付き合いづらい。「壁」を感じる。


「せっかく同じクラスになったんだから、仲よくしてみたいな」と思っても、いまいち踏み込めない

たとえ会話の糸口が見つかったとしても、「消しゴム、落ちたよ」「あっ、ありがとう」「うん」で終わってしまう。


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かくして私たちは、よそのグループの構成員とはなかなか親しくできぬものですが……ところが。時に、「仲よしグループ間の『壁』を乗り越えた交流」が始まることもありますよね。


本記事では、この「仲よしグループ間の『壁』を乗り越えた交流」に注目します。


壁を超える【フェーズ0】


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さて、アニメ「ゆゆ式」です。

「ゆゆ式」には、2組の仲よしグループが登場します。


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ここからは、「この2組のグループが親しく付き合うようになるまでの過程」を整理してみましょう。


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この6人は同じクラスに所属しています。

しかし、目立った交流はなかった


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壁を超える【フェーズ1】


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ところが第2話の序盤(6:11)で、衝撃の事実が明らかになります

※補足:上記の「6:11」は、「第2話が始まってから6分11秒経った場面の出来事」という意味です。以下同様。


じつは、唯と相川の間には一定の交流があったのです。


<2>

ある日、ゆずこと縁に対して、唯が言いました「相川さんに、あまり変なことするなよ」

ゆずこが口を尖らせる「えー」

縁も続く「何それー」

唯「いや、ほら……相川さん、たぶんお前らのこと苦手だろ?

ゆずこと縁は苦笑する「またまたー」

しかししばらくして、今度は真剣な表情で「……『苦手』ってホント?」

唯が頷く「ああ。たぶん」「相川さんって、私1人の時は結構話しかけてくれるんだけど、2人が来るとすぐどこか行っちゃうんだよ。お前らに何かされると思ってるんじゃないか?」


相川はおっとりキャラですからね。破天荒なゆずこや縁に苦手意識を持っていても、不思議ではありません。


唯の言葉を聞き、ゆずこと縁が沈黙した。

唯は、「さすがにショックだったかな?」と心配する。

しかし、ゆずこと縁はなぜかニヤリと笑った(2人が笑った理由は明言されていません。しかしおそらくは、相川にいたずらしてやろうと考えているのでしょう)。


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壁を超える【フェーズ2】


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第3話、ゆずこが1人で書店を訪問した時のこと(15:27)。

彼女らの関係は、ここで大きく動き出します。


書店内には、相川がいました。

相川は、いち早くゆずこに気がついた

そして反射的に本棚の陰に隠れた。相川は独白する「やだ!なんで隠れちゃったんだろう……私、酷いなぁ」。


相川は、そっとゆずこの様子を伺う。

ゆずこは1冊の本を手に取り、真剣な表情でページをめくっていました。

相川は思う「あの本、私の大好きな作家の新刊だ。随分真剣そう……」「意外と本好きなのかな?趣味も合うみたい。ショックなような嬉しいような……あっ!『ショック』とか、私すごい失礼!」。


一方のゆずこ。じつは、ゆずこも相川の存在に気づいていました

しかし、気づかぬフリをしていた「どうしよう……話かけた方がいいのかな。マジ逃げされたら嫌だなぁ……」。

ゆずこは、普段はふざけてばかりのトラブルメーカーです。しかし、アホではない。むしろ、人の気持ちに配慮できる賢い子なんですね。



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さて、この場面はここでおしまい。このあと2人がどうしたのか、直接的には描かれていません。


しかし、どうやら2人は書店内で言葉を交わし、そこそこ盛り上がったようです

というのも、これをきっかけにゆずこと相川の交流が始まるのです。学校ではごく普通に話をする。メールだってやりとりする(例えば、第3話21:13、第4話7:48)。


同時に、相川の中にあった「縁に対する苦手意識」もまた薄れたようで、相川は縁ともごく普通に接するようになります(例えば、第4話19:07)。

つまり相川は、この【フェーズ2】において、「主人公グループ」全員と比較的親しくなったのです。


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なお、このシーンのポイントは、

・1:相川もゆずこも、1人きりだった(もしも、いつもの仲よしグループと一緒にいたら、2人が接近することはなかったはずです。せいぜいが挨拶を交わしておしまいでしょう)

・2:相川が、ゆずこの意外な一面を目にした(ゆずこは本が好きだった。しかも、相川と趣味が合いそう)

……ということでしょう。


この2つがあってこそ、相川はゆずこに接近したのだと推測されます。


壁を超える【フェーズ3】


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さて【フェーズ2】において、「主人公グループ」と相川の距離が縮まったわけですが……岡野はそれが気に食わない


じつは岡野は、「唯らが、相川を横取りしようとしているのではないか?」と勘繰っているのです。

まぁ、つまりは嫉妬ですね。

そして岡野は「主人公グループ」、その中でも特に相川と親しい唯に対して警戒心を抱くようになります


かくして、ここから岡野による「SBJK」的な言動が見られるようになります。


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例えば第6話では、唯を見つめて、「うちの相川をあんまとるなよ……」と目で訴えかける(16:52)。

さらにその後、話題がクリスマスの過ごし方に及ぶと、岡野は自慢げに言い放った「あたし、相川らと出かけるんだ!」。


また第8話。

相川が唯らと楽しそうに話していると、背後から接近し、相川に抱きついた。そして「じゃっ!」と言って、相川を連れ去る(00:39)。


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とまぁこのように、「主人公グループ」と相川の間に割って入る岡野ですが……これ、視点を変えると、「岡野が『主人公グループ』と言葉を交わすようになった」ということでもあるんですよね


ここまで申し上げてきた通り、岡野は「主人公グループ」に対していい感情を抱いていません。「うちの相川を横取りする気か!?」と警戒している。

しかし、言葉を交わすようになったのは事実です。

「愛の反対は憎しみではなく、無関心(The opposite of love is not hate, it's indifference.)」という言葉が教える通り、岡野が「主人公グループ」に対して嫉妬心・警戒心を抱くようになったのは「前進」であると言えるでしょう。


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壁を超える【フェーズ4】


そして、岡野が「主人公グループ」と言葉を交わすようになった直後、「サブキャラグループ」の最後の1人・長谷川も唯らに声をかけるようになります(例えば、第8話13:18)。


長谷川からすれば、いつも一緒にいる友だち(相川、岡野)が「主人公グループ」と付き合うようになったわけですからね。長谷川だって「主人公グループ」と付き合うのは、自然なことでしょう。


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壁を超える【フェーズ5】


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さて、第8話の中盤(14:59)、ターニングポイントが訪れます


……ある日。岡野がコンビニで買い物をしていた時のこと。

彼女はレジで気づいた「しまった!お金が足りない!」。


岡野が窮する。するとその時、誰かが声をかけた「岡野さん」。

そこにいたのは、そう、唯です。唯ら3人も買い物に来ていたのです。


唯は微笑み、1000円札を差し出しました「これ、使って」

岡野は戸惑う「いや……いいって。コレ、止めるから」

しかし唯は「でも、それおいしいよ」

岡野は頬を赤くする「うっ!……おっ、おう。悪い」

かくして岡野は、お金を受け取りました。


会計後、岡野は足早に店を後にした。

そして悔しそうに呟いた「クッソー!何だよ、いいヤツかよ!」。


さらにその後、岡野は「唯はお金にうるさいタイプだ」と知る。そんな唯がお金を貸してくれた……岡野は考える「もしかして、すげぇいいヤツなのか!?」


「唯 = 相川を横取りしようとする悪人」だと認識していたのに、じつはいいヤツかもしれぬ……岡野は驚き、困惑した。


<2>

そしてその日の夕方、岡野と唯は廊下でばったり出くわします

2人きりです。

何だか気まずい。


一瞬の沈黙の後、岡野が切り出しました「あー……あのさぁ!」

その勢いに、唯が驚く「えっ!?」

岡野は視線をそらし、頬を赤らめて「……あれ……さっきの……明日に」

唯は微笑む「あー!いいよ、全然」

岡野「悪いね」

唯「じゃあ」

唯が歩き出した。

しかし岡野は「……あのさ」

唯が再び足を止める「えっ?」

岡野「あー……なぁ、相川の胸、触ったことある?」

唯が驚く「えっ!?」

岡野「1回触ってみ!すげぇから!」

唯が戸惑う「……あっ、そうなの?」

岡野「1回な!」


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この時の岡野は、「唯に何かしてやりたい」という欲求を抱いているように見えます。

「お金を貸してくれたことへのお礼」という意味もあるのでしょうが、まぁそれだけではないでしょう。

というのも、岡野は口は悪いものの本質的には善人です。ゆえに「これまで誤解していて悪かったな」とか、「これからはよろしく頼むよ」とか、そんなアレコレが入り混じった感情を抱いていると推測される。


かくして……岡野は言った「なぁ、相川の胸、触ったことある?」「1回触ってみ!すげぇから!」。

岡野は、「自分が最も大切にしているもの = 相川」を唯とシェアしようとしたわけですね。


しかし、すぐに付け加えた「1回な!」。

「唯が悪人でないことはわかった。とはいえ……相川は私らのもんだからな!」というわけですね。

この複雑な乙女心、最高です♥


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壁を超える【フェーズ6】


【フェーズ5】をもって、「主人公グループ」と「サブキャラグループ」の間にあったわだかまりはすべて消えました。

これ以降、6人は親しく付き合うようになります(例えば第9話では、6人で長谷川の家に遊びに行く)。


まとめ


以上、「『ゆゆ式』に登場する2組の仲よしグループが親しく付き合うようになるまでの過程」を整理してきました。


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「仲よしグループ間の『壁』を乗り越え、構成員同士が交流を始める物語」を作る時には、ぜひ参考にしてみてくださいねー!!


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(担当:三葉)

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