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ごく普通の人が「敵と戦うための特別な力」を突如授かった。当初彼は個人的な事情からその行使を躊躇していたが、やがて人びとのために力を使おうと決意する

五代「こんなやつらのために、これ以上誰かの涙は見たくない!皆に笑顔でいてほしいんです!だから見ててください……俺の変身!!」

特撮ドラマ「仮面ライダークウガ」(第2話)


◆概要

【ごく普通の人が「敵と戦うための特別な力」を突如授かった。当初彼は個人的な事情からその行使を躊躇していたが、やがて人びとのために力を使おうと決意する】は、ストーリーのひな形の1つである。



ポイントは、【個人的な事情から躊躇していた → だがやがて、皆のために戦おうと決意する】という展開だ。要するにこれは滅私奉公の物語であり、このキャラは自己犠牲精神の持ち主なのだ。

そして、私たちはそんなキャラを好きにならずにはいられない。多くの読者・鑑賞者は彼に感情移入し、彼の戦いを応援するようになるだろう。


◆事例研究

◇事例:特撮ドラマ「仮面ライダークウガ」(第1-2話)

▶1

ここでは、第1-2話で描かれた【主人公・五代が敵と戦うことを決意するまでの流れ】に注目したい。

・Step1:とある古代遺跡で、ベルトのようなものが出土した。

・Step2:時を同じくして、長野県の街中に怪物(グムン)が出現。人びとを容赦なく殺していった。

・Step3:偶然にも、五代はグムンが大暴れする現場に居合わせた。そしてこれまた偶然にも、彼の傍には前述のベルトがあった。

・Step4:五代はふいに、「自分を装着して戦うのだ!」とベルトから呼びかけられているように感じる

・Step5:訳がわからぬものの、五代はベルトを腰に当ててみる。かくして彼はクウガに変身した。なおこの段階では、五代は「グローイングフォーム」という<未完成形態>に変身する。

・Step6:クウガは無我夢中で戦い、どうにかグムンを追い払うことに成功。

・Step7:戦いの後、五代は考える「クウガの力を得た以上、皆のために戦おう!」。しかし彼は心優しい青年だ。「相手が怪物といえども、暴力をふるうのは嫌なものだ……」と躊躇する気持ちもある。

・Step8:間もなく、新たな怪物(ゴオマ)が出現。五代はクウガに変身して応戦した。ところが、「暴力をふるうのは嫌だ」と躊躇する気持ちがあるため思い切って戦うことができない。その結果、彼は敗北してしまう。

・Step9:怪物に殺された犠牲者の葬儀にて、五代は遺族の少女(実加)が涙を流すのを目撃。かくして彼は、「暴力をふるうのは嫌だ」という自らの感情を押し殺して、皆のために戦うことを決意する。

・Step10:グムンとゴオマが再び出現。五代が駆けつけ変身ポーズを取る。すると彼の断固たる決意に呼応して、今度は<完成形態>たる「マイティフォーム」に変身!五代は怪物どもをぶちのめした。


▶2

ポイントを整理しておこう。

・【1】五代が特別な力を授かったきっかけ:ベルトを装着した。

・【2】五代が力を行使したがらない理由:五代は心優しい青年であり、相手が怪物といえども暴力をふるうことには抵抗がある。

・【3】五代が力を使おうと決意したきっかけ:遺族の少女の涙を目撃した。


嗚呼、「心優しいキャラが、皆のために自らの感情を押し殺して戦う」という展開が胸を打つ!


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