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変な人から「きみの使命を思い出せ!覚醒せよ!」って言われた。どうしよう。|「SSSS.GRIDMAN」の第1回【覚・醒】を分析する

※引き続き、アニメ「SSSS.GRIDMAN」の第1回【覚・醒】を分析します。本記事の前に、以下の記事をご覧になることをお勧めします。


いきなり「使命」とか言われても……


三葉 アニメ「SSSS.GRIDMAN」第1回の冒頭を思い出してほしいんだけどさ。

※メモ:「SSSS.GRIDMAN」第1回のあらすじは、こちらの記事に整理してあります。ご参照ください。


清水 ふむ。

三葉 始まって2分29秒経ったところで、主人公・裕太はグリッドマンと出会う。そしてグリッドマンは言う「私はハイパーエージェント・グリッドマン。思い出してくれ、きみの使命を!」

清水 ふむふむ。

三葉 これ、どう思う?いきなり<使命>って言われても……ねぇ(笑)


<登場人物紹介>

・清水:マスター・オブ・アニメ。年100作以上のアニメを見続けて20余年。2021年夏アニメの中では、「かげきしょうじょ!!」が気になっている。

・三葉:清水とは中学からの友人。最近は「ゾンビランドサガ」の紺野純子に夢中。


新興宗教かマルチ商法にしか見えないよ!


三葉 その後もグリッドマンは続ける「裕太、急いでくれ。この世界に危機が迫っている!」「私ときみは覚醒しなければならない」

清水 なるほど。

三葉 こういう【冒頭、主人公が謎のキャラから「きみには使命がある」「覚醒せよ」などと呼びかけられる】という物語、結構あるよね。

清水 そうだね。例えば「まどマギ」。主人公のまどかは、第1話でキュゥべえから呼びかけられる。


三葉 つまりこれ、<オーソドックスなオープニングシーン>と言えると思うんだけど……冷静に考えるとさ、メチャクチャ怪しいよね(笑)新興宗教かマルチ商法にしか見えないよ!

清水 あー、確かに(笑)

三葉 特にグリッドマンの場合、<使命><世界の危機><覚醒>って言葉を使うじゃん。怪しいよ!怪しすぎるよ!(笑)


もっと疑り深い主人公がいたっていいよね


三葉 裕太は第1話の後半にはグリッドマンを受け入れ、そして戦い始めるわけだけどさ。

清水 うん。

三葉 もっと疑り深い主人公がいたっていいと思うんだ(笑)

清水 確かに(笑)【グリッドマンやキュゥべえのような<使者>の言葉をなかなか信じない主人公】の物語だね。

三葉 そう!<使者>がいくら呼びかけても、「僕、宗教には興味ありませんからー!」とか、「僕、高校生です!お金は持っていません!勘弁してください!」とか言って、走って逃げてしまう主人公(笑)


【案①】この世には神も仏もないのか!?


三葉 「まどマギ」をリスペクトして、【最終回になってようやく<使者>の言葉を受け入れる】ってのはどうかな?(笑)

清水 遅すぎるでしょ(笑)

三葉 そうか(笑)じゃあ、第3話で<使者>の言葉を信じて、第4話から戦い始めることにしよう。

清水 んー、第3話までは敵を放置するってこと?

三葉 それ、いいな(笑)街は破壊される。人びとは逃げ惑う。主人公は頭を抱えて「何ということだ!この世には神も仏もないのか!?」と絶望する。で、その隣で<使者>が肩をすくめる「……だからさぁ、きみがその神にも比類し得る力の持ち主なんだけどね」。

清水 面白い(笑)


【案②】友よ、お前もか!


三葉 あるいは、チーム制にしてもいいね。

清水 ほぉ。

三葉 主人公だけではなくて、主人公の友人も<使者>から勧誘を受ける。そして、友人の方は<使者>の言葉を早々に受け入れて敵と戦い始める。かくして、街は守られる。

清水 なるほど。

三葉 しかし、敵は強い。友人は主人公を誘う「お前の力が必要なんだ!俺と一緒に街のために戦おう!」。主人公は頭を抱える。友よ、お前もか……!

清水 主人公からすれば、友人が怪しい宗教に洗脳されてしまったようにしか見えないわけだね(笑)

三葉 そう(笑)したがって、友人は「<使者>の言っていることは本当さ!」「僕らには力があるんだ!」などと説得を試みるけれど、熱弁すればするほどに主人公は心を閉ざしてしまう。


【案③】泥沼


三葉 【<使者>が、主人公を説得しようとして泥沼にはまっていく】ってエピソードはいろいろ面白くできそうだよね。

清水 ほぉ。

三葉 例えば、<使者>が言う「信じられないなら、隣町に行こう。僕らの拠点があるんだ」。主人公は渋々ながらその言にしたがう。ところが、<使者>はこちらの世界の通貨を持っていなかった。

清水 あっ……。

三葉 かくして<使者>は言った「すまん。電車賃を貸してくれ」。で、主人公が叫ぶ「やっぱりだ!やっぱり僕から金をむしり取るつもりなんだ!」

清水 なるほど(笑)

三葉 あるいは、主人公は友だちを連れていこうとする。1人では心細いからね。

清水 ふむ。

三葉 しかし<使者>は、「私たちの秘密は、きみのような選ばれた者にしか見せられない。無関係の者を連れていくことは許可できない」。かくして主人公は叫ぶ「知ってるぞ!それ、新興宗教やマルチ商法の手口だ!僕1人を大人数で取り囲んで洗脳する気なんだ!」


【案④】あれもこれもプラズマ


清水 主人公を大槻教授みたいなキャラにするってのはどうだろう?


三葉 おー!それ、最高だよ!(笑)

清水 つまり、グリッドマンやキュゥべえが何と言おうとも、「あれはプラズマですね」「それもプラズマで説明がつきます」と否定する主人公(笑)

三葉 さすがのグリッドマンやキュゥべえも頭を抱えるだろうなぁ。「俺、これからこんな奴とパートナーになるのかよ……」って。

清水 グリッドマンは何を言われても気にせず、「使命を思い出せ」って言い続けそうじゃない?(笑)


【案⑤】精神力、または筋力の問題


三葉 主人公は熱血バカでもいいのかもしれないね。

清水 と言うと?

三葉 うん。「斉木楠雄のΨ難」の灰呂杵志みたいなキャラでね。


三葉 彼は言うんだよ。「グリッドマンくん!僕はオカルトは嫌いだな!オカルトにハマるのは、精神力が弱いからさ!さぁ、僕と一緒に精神力を鍛えよう!」とかね。で、爽やかに微笑む。

清水 うわぁ(笑)

三葉 または、「うおー!僕は何があっても理性を保ってみせるぞー!」って叫んだり。巨大怪獣が現れても、精神力と筋トレでどうにかしようとするキャラだね(笑)

清水 なるほど。

三葉 そんな彼も、密かに片想いしていた女の子に危機が及ぶに至り、やっと現実を受け入れる。そして彼はグリッドマンに謝罪し、助けを乞うんだ。

清水 ほぉ。

三葉 するとグリッドマンは、「頑固なきみも大切な子を守るためなら信念を曲げるわけか。そういう男、私は嫌いじゃないぞ!灰呂くん、一緒に戦おう!」と言って力を貸してくれる。

清水 なんか……グリッドマンも暑苦しいキャラになってない?(笑)


【案⑥】何度騙されようとも


三葉 ちょっと視点を変えて、<主人公が実際に何度か騙される>という展開にしてもいいかもね。

清水 ほぉ。

三葉 つまり……第1話冒頭、主人公は怪しげな男から声をかけられる「きみには使命がある。覚醒せよ!」。主人公は小躍りする。マッ、マジか!やっぱり俺は特別な人間だったんだ!

清水 うーむ……中二病かな?(笑)

三葉 そうだね(笑)アニメやラノベが大好きで、「俺も裕太やまどかのように戦えたらなぁ」と日々妄想していた少年ってことにしよう。

清水 ふむ。

三葉 で、彼はその怪しい男についていくんだけど……はい、残念。イカサマ新興宗教でした。

清水 なるほど(笑)

三葉 続いて第2話。再び声をかけられる。「今後こそは!」とついていくと……はい、やっぱり残念。今後はマルチ商法でした。

清水 ふふっ(笑)

三葉 そして第3話。またまた声をかけられる。さすがの彼もやさぐれている。「はいはい。どうせまた僕は騙されるんでしょ?」みたいにね。

清水 まぁ、無理もない。

三葉 しかし、それでも希望は捨てきれない。彼はぶつくさ言いながらもついていく。すると……おめでとう!今後は大当たり。本物の<使者>でした。主人公はスーパーパワーを得る。そして腰をぬかす。マッ、マジで!?

清水 つまり、【主人公が毎回怪しい連中に騙されるギャグ作品】と鑑賞者をミスリードしておいて、第3話の後半で「じつはヒーローものでした!」って明かすわけだね。


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(担当:三葉)

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