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その着せ替え人形は恋をする13巻総評 「クリエイターは孤独と戦うものである」

はじめに

 最新刊13巻を読んで、思ったことを書きたいと思います。
 一番思ったのは、ごじょー君を救いたい。
 ネタバレありで宜しくお願いします。とりあえず、上記のリンクでご確認頂けると嬉しい限りです。


ごじょー君の闇

 彼が連れてくるのは、【死】のみだ。
 愛を求めたところで返ってくる訳がないのだろう

その着せ替え人形は恋をするより
天命13巻の文章を引用

 前回は実写化不可能と呼ばれたハニエルの衣装を命がけで作ったごじょー君。彼の苦労に胸が張り裂けそうになりました。
 そして、今回はコミケで披露という流れでしたが、コミケ行ってみてぇ。
 序盤のごじょー君は、明るく晴れ晴れとした顔でいきいきしてましたね。本当に彼の苦労が報われた気がしました。ここまではね。
 海夢ちゃんなら出来ると言って、勇気づけたりして、ようやくたどり着いたハニエルですが、読んでて感じたのは、クリエーターの孤独でしょうか。
 
 正に上記の文章が全てを物語っており、どれだけごじょー君が尽くしても、頑張っているのは海夢ちゃんだけみたいな描写が多すぎて、病みそうです。
 それを的確に狙った上での今回と思うとえげつないですね。本当にしんどくなりそうです。
 しかし、僕が同情するのは、神の視点を持っている我々だからであって、知らない人からすれば、海夢ちゃんだけが凄いと捉えるのは、自然なことだと思います。

絶対今あたしが世界で今一番幸せだよ!
こんな最高のメイクと衣装着ているの世界であたしだけだもん!

その着せ替え人形は恋をする13巻
喜多川海夢より


 コミケ会場に集まり、ハニエルになり切った海夢ちゃん。最初は、いつもの天使のような笑顔を振りまきますが、一転して悪魔のような笑みに切り替わるオンオフがえげつないんだって。
 この笑顔の場面は本当に元気が出る。海夢ちゃんはやっぱり最強。
 演技力に関して言えば、序盤から凄かった海夢ちゃん。好きなものになり切る憑依力の高さは常軌を逸していると言うか。
 その所為も相まって、ごじょー君は気付いてしまいます。此処からは、僕個人の主観で公式ではないと思いますが、相槌打つ程度で聴いて貰えると嬉しいです。

 皆が見ているのは、ごじょー君の服ではなくて、海夢ちゃん演じるハニエル。彼が居なくても、もういいんじゃないか、自分は要らないと考えている雰囲気ですかね。
 皆が見ているのは、ハニエルであって、服じゃない。自分の苦労が報われてないことへの諦めが全面に出てる気がします。
 コス制作の際、海夢ちゃんとロクに会話もしてないのが、余計に響いてる気がしますし、海夢ちゃんは本心しか言わないけど、ごじょー君の心に届いているかと言われたら、微妙な所ですよね。
 いつも全力で褒めてるけど、それに慣れ過ぎて、ごじょー君自身、麻痺してる可能性とそもそも、自己肯定感が最低値で、自分なんて居なくていいと思うような彼にとって、今回は地獄回だった。

 大体の人があの服をオーダーメイドと疑わないのは、当たり前なんですよ。誰も高校1年でコス衣装制作し始めて、半年の人が作ったものなんて、誰も夢にも思いません。

 今更気付くなんて

その着せ替え人形は恋をする13巻  
五条新菜より


 その点、読者やごじょー君が作ったことを知ってる人はちゃんと居て、それをちゃんと教えてあげることが出来たなら、どれだけ彼が報われるのか。
 しかし、絶対に妥協せず、絶対に満足しないごじょー君にこの言葉が届くかと言われるとグレーな気がします。
 最悪なタイミングで、それを言う機会に恵まれず、さも海夢ちゃんばかりに注目が集まり、誰もごじょー君の衣装褒めてないの辛い。
 当たり前だし、誰が悪いわけじゃないけど、僕たちだって、当たり前に出来ているものを凄いとか、美しいと言う人は居ないでしょ?
 出来ていることが当たり前、出来ていない方が叩かれる。それが人間だし、当然なんです。だからこそ、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 いつも目立つのは、海夢ちゃんでごじょー君は辛い所、しんどい所を全部押し付けられ、苦労させられ、結果、対価を得られない。
 だからこそ、前回の話数でごじょー君のおじいちゃんは褒めてあげてと言ってました。まさか、ここでこう繋がって来るとは。
 流石、おじいちゃん。孫の性質を十二分の理解してやがる

海夢ちゃんの今後

ごじょー君が・・・っ
凄いから・・・っ

その着せ替え人形は恋をする13巻
喜多川海夢より

 海夢ちゃんは、ごじょー君と一緒だから、此処まで来たことを十分理解しているし、感謝しています。だからこそ、この思いをちゃんと届けられないことが何より悲しくて、何より苦しいですね
 ちゃんとごじょー君を認めてあげる人がいるけど、ごじょー君は気付いていない。のんちゃんに言われたあのトラウマが彼をそうさせるのかと思うとこの棘を早く抜いてあげてくれ。
 2人が頑張ったから、良かったんだよの言葉をくれた鈴鹿さんの言葉をごじょー君に伝えることが出来たなら・・・。

 そして、海夢ちゃんはプロのレイヤーとして、スカウトされます。
 しかも、ごじょー君が居ない所でというのが、きつい。
 喜多川海夢と言うコスプレイヤーを成り立たせるのは、五条新菜と言う天才があってこそ。2人だから、此処まで来られたのに、海夢ちゃんだけが、出世し、ごじょー君を切り捨てかねない展開になりそうで怖い。
 ただ、ごじょー君の夢は頭師であって、コスプレの衣装制作が仕事ではないと言うこと。ここら辺が、海夢ちゃんがごじょー君と別れるきっかけになり兼ねない気がしてなりません。

 最新話でおじいちゃんが生きているうちに、立派な頭師にならないといけないとか言っちゃうから、余計に海夢ちゃんを苦しめてるのが、えげつない。
 原作者の司波刻央先生すらも、唸らせるハニエル海夢ちゃん。世界は、謎のレイヤー姫ちゃんを求める熾烈な競争へと発展して行きます。
 世界中が海夢ちゃんを求めれば求める程、ごじょー君が孤立するの地獄過ぎるだろ。僕たちも、衣装に対して、敬意を払わないといけないと理解した回でした。

 そんな中、海夢ちゃんパパが、ごじょー君に感謝を述べる場面があるのは、救いでしたねちゃんと照れてるの好き。いいお父さんよ。
 娘をお願いしますと言って、栄養に関して、これから特に気を付けますとか言う相変わらずの朴念仁ぶりには、もう、どうにかしろ、コミュ障に尽きる
 まぁ、あんなご飯作ったり、太ってしまったりしたので、このコメントは彼らしいけど、お前はトレーナーか何かか。


 海夢ちゃんは趣味の為に生きる人であって、仕事は好きを行う為の道具という認識が僕個人の見解です。
 そんな海夢ちゃんが況してや、ごじょー君と言う相棒と離れると言うことは、【死】に等しい気がしてなりません。
 僕個人の見解として、海夢ちゃんプロにならないでに尽きる。なる未来が見えないし、ごじょー君以外の人が海夢ちゃんの魅力を引き出せるとはとても思えない。

クリエーターについて

 その中でも、ハニエル海夢ちゃんの姿を写真越しで確認した溝上将護さんは、この作品をちゃんと読み解き、理解した上での「可哀想に」という言葉を送ります。
 その中での文面により、2人がちゃんと天命のハニエルに対する意図を読み込めていたことが、明確なだけに、いい意味での誉め言葉位に留めておきましょう。

 アニメ制作陣との解釈の不一致が原因で、司波刻央先生は絶対に天命を映像化させないと決めました。その前の作品がかみ合わなかったのが、原因のようです。
 理解されないまま、その考えを広げられるのは、茶化されてるのと同じは正にセクシー田中さん問題に通ずるものがある気がします。
 僕自身、セクシー田中さん事件は堪えましたね。利益を出す為に原作の内容を変えると言うことはよくあることで、それが良い様に作用することもありますが、悪いように作用することが多いです。
 こんな時期にこういう内容ぶち込むの最高に好き過ぎるんだけど。別にそういう意図が無いとは思うけど、それはそれ。

 見事だ

その着せ替え人形は恋をする13巻


 それもこれもごじょー君の演技指導と海夢ちゃんの演技力あってのことと思うと余計にやり切れないんだよなぁ。
 アニメではなく、実写として、演技、衣装と言う総合芸術と言えるコスプレと言うものの、全てが集約されたからこそ、多くの人々の心を突き動かすことが出来たんだと思うとこの2人やべぇわ。

 最後まで認めない素振りを見せたけど、内心、跪いてしまった原作者とその知人好き。本当にツンデレなんだから。
 
その後のおまけ漫画のクリエーターの闇を煮詰めて溶かしたような内容の解像度が余りにも高すぎて、ドン引きなんですけど。ほぼ、原作者の回答だろ、これ・・・。

 クリエーターとはいつだって、孤独。制作することの難しさ、どれだけの時間や労力を費やしても、理解されないことの大変さと言った内容が、13巻では強く描かれていた気がします。
 何かを作ると言うことは、どう足掻いても、結果だけが可視化され、それまでの努力は読み取ることでしか、理解されないので、分かる人には分かるとはこういうことなんでしょうね。

 だからこそ、本当に頑張った人だけが、その頂きを観られると言うこと。
 頑張ってない人は世の中にはいませんが、全ての何かを制作する人達にもっと、リスペクトが大事です。これだけで、救われるクリエーターはきっといるはずなんで。

まとめ


 全然、僕の情報だけでは、何のこっちゃと言う方は、読めるサイトをご活用の上、読んでみるのは、如何でしょうか?僕個人の思う着せ恋愛の詰まった記事もどうぞ。
 このblogを通して、日本全国に内在する隠れ着せ恋クラスタとのご縁になれば、幸いです。
 未だ、天井知らずの面白さでお馴染みの着せ恋。今後はごじょー君の未来、海夢ちゃんの将来、まさかののんちゃん再登場等、まだまだ目が離せない着せ恋にご期待くださいませ。

 以上、着せ恋ガチ勢からの記事でした。フォローと好き、コメントお待ちしてます。


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