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【外国人技能実習制度】

127万人―

これは、日本で働く外国人労働者の総数である(2017年時点)。2012年には68万人だったことから、5年間で約2倍近く増加したことになる。

労働力不足に困窮している今の日本は外国人の労働力抜きには成り立たない経済構造になっており、日本人の生活は外国人に依存している状況である。
それを象徴しているものの一つとして挙げられるのがコンビニである。今でこそ外国人が接客している光景は私達にとっての日常となっているが、10年前はどうだっただろうか。また、コンビニだけではなく居酒屋や牛丼チェーン店、更には一般の日本人の目には触れない農場や工場、介護施設などで働く外国人も大勢いる。

入国管理局によると日本に住む外国人は247万1458人に上り(2017年)、国籍は196カ国・地域に及ぶ。この数字には留学生、永住者、外国人技能実習生などを含み、入国の目的や動機も多岐に渡っている。
このように日本で生活している外国人のなかで、今回は「外国人技能実習制度」を利用して来ている「外国人技能実習生」にスポットを当てていく。

[外国人技能実習制度]

現在、外国人技能実習生として日本に来ている人は約25万人
この制度の目的としては、「日本の技術や制度を海外の若者(大部分はアジア圏)に習得してもらい、技術移転を図ることで自国の発展に役立ててもらう」という本来的には日本が国際貢献・技術移転をするために作られた。また、技能実習法では「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(第三条第二項)と記されている。

以下が技能実習の職種・作業の範囲である。(2017年10月時点)

・農業関係(2種類6作業)
・漁業関係(2種類9作業)
・建設関係(22職種33作業)
・食品製造関係(9職種14作業)
・繊維・衣服関係(13職種22作業)

・機械・金属関係(15職種27作業)
・その他(12種類25作業)

(JITCO 公益財団法人 国際研修協力機構 HPより)

例えば農業関係であれば耕種農業(施設園芸、畑作・野菜・果樹)、畜産農業(養豚、養鶏、酪農)というように、職種は多岐に渡る。
また、コンビニもこの対象職種に加わる動きがあり、もしコンビニが技能実習制度の職種として認められれば、レストランや居酒屋などの外食産業も職種に加わっていくことになるかもしれない。当然ながら、それは更に多くの技能実習生を受け入れることに直結する。

このように「国際協力の一環」を名目として掲げている一方で、労働力不足に困窮している日本企業のために外国人労働者がその穴埋めをしているのが実態としてあり、本来の目的からは逸脱している。
1993年にこの制度が始まって以降、日本人労働者との待遇格差、違法な長時間労働、報酬からの不当な天引き、パスポートの取り上げによる移動の制限といった、不当労働や人権侵害に当たるケースが散見され、たびたび国内外で話題にされていた。アメリカ国務省が毎年発表している、人身売買に関する報告書では日本の技能実習制度がたびたび取り上げられ、改善を求められている。
そういったことから海外からは「現代の奴隷制度」とも揶揄されている。

(この制度を批判的にみる海外メディアは多い)

過酷な労働環境、多額の借金、難関な日本語習得などの要因から失踪者も多い。失踪後は不法就労という扱いになるため、もし発覚すれば多額の借金を背負ったまま母国へ強制送還させられる。そのため、入国管理局に捕まる前に犯罪グループに合流したり、失踪後にトラブルや犯罪に巻き込まれたり、最悪死亡するケースもある。

こうした人手不足の現場の多くは、日本人が敬遠する低賃金の肉体労働である。彼らは、日本人の目が届きにくい単純労働の現場で働いていることから、その実態を掴むことは難しい。

政府の政策によって移民の数は増加の一途を辿っており、今後も間違いなく増え続けていく。
しかし、現状は外国人にとって必要なケアが十分に行き届いているとは決して言えない。

果たしてこの状況を「共生」と呼べるのだろうか。

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