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#51「アーセナルvsアストン・ビラ<マッチレビュー>PL第23節」

こんちゃ!どうも、いったーです。
今回は「アーセナルvsアストン・ビラ<マッチレビュー>PL第23節」を書いていきたいと思います。

うーん。ランチタイムキックオフということで21:30キックオフで最高に見やすい時間帯だったのに、モヤモヤが残る展開でしかも2連敗を喫しちゃいましたね。
そのあとのゲームだったニューカッスルvsセインツ(3-2)はローン移籍中のCMFウィロックがデビュー戦初ゴールを決めて、CB起用となったヘイデンも最終ラインで身体を張って9人になっても何とか守り切る姿は心打たれました。

チーム紹介

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ホームチーム:アストン・ビラ
監督:ディーン・スミス
フォーメーション:4-2-3-1

アウェイチーム:アーセナル
監督:ミケル・アルテタ
フォーメーション:4-2-3-1

プロローグ

 アーセナルは、年末年始からのPL7試合無敗が前節vsウルブスでストップしてしまいました。前半終了間際までパーフェクトゲームでしたが、何度も書くことになっている物議を醸したレイグ・ポーソン主審がCBダビ・ルイスにレッドカードを提示し、ルールに則らない判定でこのゲームの主役になりました。

 一方、アストン・ビラは前々節のvsセインツ(1-0)で、特殊な4-2-2-2の中央突破型のサッカーに対応できず、前節vsハマーズ(1-3)で4-1-4-1で中盤の形を逆三角形にしました。前線の子の能力が高く、LWGグリーリッシュ、CFワトキンスらの少ない人数の攻撃も魅力です。

前半<アーセナル>

〇CBダビ・ルイス不在の菱形ビルドアップ
〇持たされているアーセナルの攻撃

〇CBダビ・ルイス不在の菱形ビルドアップ

 これまで好調だったアーセナルには、百戦錬磨のCBダビ・ルイスが君臨していました。確かに最盛期に比べたらスピードやアジリティの部分では低下しているかもしれませんが、ロングフィードの精度や、縦パスを通す技術は伸び続けており、ビルドアップ時のキーマンでもありました。しかしながら、今節はサスペンションということでCBガブリエル・マガリャンイスが、起用されました。

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 秋までロングフィードを活かしながら、LCBの左利きCBとして輝いていましたが、CBダビ・ルイスには劣ってしまいました。パスコースがない場合に自らドリブルでパスコースを創り出す動きや勇気を持った縦パスという場面が少なく、局面を一気に動かすには至りませんでした。菱形の底が左利きCBガブリエル・マガリャンイスだったということもあり、菱形の左に位置していたCMFジャカを経由してからの展開が多くなりました。CMFジャカが運びながら、縦パスを通し、次の展開でも関与するために動くという彼にとってタスクが多くなりました。

〇持たされているアーセナルの攻撃

 前半2分に大きな大きな先制点を義務失点として献上してしまったために、アストンビラ自身はやることが明確になり、自陣に撤退する守備を選択したことによって、アーセナルはボールを持つ時間が多くなり、敵陣で多くの時間を過ごしました。
 特に中央の守備が固く、崩れないこともあり、攻撃の糸口を掴むのに苦労しました。
菱形の左側に位置するCMFジャカからCFラカゼットへの縦パスに連動してRSHサカやLWGペペ、OMFスミス=ロウの2列目が関与する形を作りたい意図は感じました。

<27分>

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大外のレーンに位置したLSBセドリックにボールが入った時点で、1列前に位置したLWGペペは隣のレーンでボールを受けるそぶりを見せ、OMFスミス=ロウがフリーランで大外のレーンに移動しながらパスを受けました。「人のレーン間の移動」です。OMFスミス=ロウがCMFマッギンを引き連れながらスペースに飛び出したことで、中央のスペースが空き、そのスペースにCMFジャカが走り込んできました。バイタルエリアで前を向いた状態でボールを持てたことで、CFラカゼットとパス交換をして時間を作り、いい形になりかけました。

<40分>

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 RSBベジェリンがインサイドにポジションを取ることで、数的優位の状況を創り出しました。そのおかげでCMFトーマスがフリーとなり、CFラカゼットに縦パスを通すことができ、攻撃開始のスイッチとなりました。その後はCMFジャカが2タッチで逆サイドのLWGペペにボールを届けたことで数的同数で仕掛ける局面を作りました。

前半のスタッツではボール支配率62%を記録したものの、パス本数が264本と少なくなりました。ボール支配率に対してパス本数が少ないということは、1人当たりのボール保持時間が長いということで、パスを出す判断が遅い、動き出しが少ないために、出しどころがないと事が考えられます。

前半<アストン・ビラ>

〇ビルドアップの頂点CMFトーマスをケア
〇厄介なポジショニングCFワトキンス

〇ビルドアップの頂点CMFトーマスをケア

 アーセナルのビルドアップの肝となる菱形の頂点CMFトーマスをケアするように守備時は立ち位置を変えました。4-2-3-1からバランスよく守れる4-4-2のブロックに変化させ、縦パスのコースを意識したプレスの掛け方を実行しました。
 4-4-2の「2」はCFワトキンスとOMFバークリーが務めました。互いに守備時にはサボらずに、片方が菱形のサイドにプレスをかけた時にはCMFトーマスをケアし、アーセナルのビルドアップをどんどんサイドに追い込むことに貢献しました。

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 中盤のセンターを務めたCMFナカンバ、マッギンともに、前に出る時には背中にアーセナルの選手を感じながら、影にするカバーシャドウを実践しながらパスを制限しました。

〇先制点の起点となったGKエミリアーノマルティネス

 試合が終わってみればマン・オブ・ザマッチに輝いた元アーセナルのGKエミリアーノ・マルティネス。彼のセービング能力や飛び出し相手に対して詰め寄るタイミング、速さは素晴らしく、セーブは3つでしたが、ハイボールの処理でも力強さを見せつけました。
 加えて、パワーを活かしたパスレンジの広さとキックの正確性を見せました。先制点がまさに彼のキックからの展開でした。

<前半1分>

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 CBミングスからのバックパスを受けたGKエミリアーノ・マルティネスはノープレッシャーだったかともあり、前線を確認する時間はありました。にしても、低弾道で、フリーに一瞬なったRSHトラオレに向けてピンポイントのフィードを利き足でない左足で届けるのですから、そのキックの技術の高さ、状況把握能力、勇気この3つが同時に揃わなければ通すことが出来なかったパスです。やはり逃した魚は大きいのでしょうか。

後半<アーセナル>

〇縦パスの出し入れから崩したい
〇ファイヤーフォーメーションに変更

〇縦パスの出し入れから崩したいアーセナル

 先制点を許し、ボールを持たされているアーセナルにとってどうやって後半アストン・ビラ守備陣を攻略するかがこの試合の行方を左右するポイントであることは誰が見ても明らかでした。そのために、ストロングポイントであるCFラカゼットに縦パスを入れながら局面を動かし、2列目とのコンビネーションで攻略することが最優先のように映りました。

<52分>

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 このシーンでは、CFラカゼットは中盤のかなり低い位置まで降りてきて、マーカーであったCBミングスを引き連れたことによって、少しアストン・ビラの最終ラインに綻びが出ました。次にパスを受けたCMFトーマスも少ないタッチでOMFスミス=ロウに向けてスペースへパスをしました。このような形で展開することは何度かありましたが、LWGペペがPA付近でパスを受けた際に、LSBセドリックがオーバーラップを仕掛けたことで、対峙していたRSBキャッシュを押し下げさせ、LWGペペのフィニッシュに繋がる時間と空間を作るきっかけを作りました。

<56分>

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 よく見る形でCMFジャカからCFラカゼットに縦パスが通り、インサイドにポジションをとっていたRSBベジェリンが一度もらい、大外のレーンにいたRSHサカに展開しました。CFラカゼットがサイドに流れながら、CBとRSBの間にポジションを取ろうとしたため、LWGグリーリッシュが最終ラインに吸収され、RSBベジェリンがバイタルエリアに侵入し、シュートまでもっていきました。ゴールは入りませんが、可能性を感じさせる形でした。

〇ファイヤーフォーメーションに変更

 決定的なチャンスすら作れないアーセナルは攻撃の枚数を増やすことで状況を打開しようとします。交代カードは、‘59 CFラカゼット→CFオーバメヤン、’65 LSBセドリック→OMFオーデゴー、‘74 CMFトーマス→RWGウィリアンというバランスも糞もない布陣に変化させ、捨て身のファイヤーフォーメーションに切り替えました。

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 RSHサカをLSBにスイッチしてから左サイドの攻撃が活性化されたことは間違いありません。

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 仕掛けることができ、周囲を使うことが出来ることができるため、ぺぺやオーデゴーとの連携も抜群でした。ペペは空いたスペースに対して適宜タイミングよく、入ることが出来ていましたし、球離れもよくなりつつあります。故に、スムーズにパス交換しながらハーフライン深いところまで攻略できていました。しかし、あと1歩決め手が足りませんでした。

<83分>この試合最大のチャンス。アルテタの理想が垣間見える

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 アーセナルにとって理想的な攻撃になりました。
スミス=ロウがSBの位置に降りてきて、LSBだったサカがインサイドにポジションを移します。LWGウィリアンはタッチライン際に張り付き、RSBキャッシュをピン留めします。CFオーバメヤンも降りる素振りを見せながら、OMFオーデゴーが中央に侵入するスペースを創り出しました。そのため、インサイドに位置するサカとSB化したスミス=ロウとのコンビネーションでCMFマッギンを釣り出しながら、サイド深くまでボールを進めていきました。

 その流れから、LWGウィリアン、LSBサカのパス交換のあいだに、DFの間にポジションをとったOMFスミス=ロウが顔を出し、パス&ムーブをしたLSBサカにパスを出します。完全に後手後手の対応を迫られたアストン・ビラは、ぽっかり空いたバイタルエリアでフリーで飛び込んだOMFオーデゴーがフリーでした。

 シュートは宇宙の彼方に向かって飛んでいきましたが、この試合一番可能性を感じさせるシュートでした。

後半<アストン・ビラ>

〇堅固な中央の守備のカラクリ

〇堅固な中央の守備のカラクリ

 前半ラッキーな形で先制したアストン・ビラにとってそのゴールは虎の子の1点となり、堅固なブロックを見せ、守り切りました。
 センターラインが特に固く、CBミングス&コンサ、GKエミリアーノ・マルティネスのトリオはPL屈指の固さでした。あのバーンリーのCBターコウスキ&ベン・ミーとGKニック・ポープのようでした。

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 そのカラクリとして、ハーフレーンのケアの方法にありました。ハーフレーンに相手選手が飛び出た時には、CBがケアするのではなくSMFが最終ラインまで帰陣することやCMFがハーフレーンをカバーするような方法を採用し、中央のカギを決して開けないようにしていました。この規律正しい守備は一朝一夕で構築できるものではなく、LWGグリーリッシュ、OMFバークリーもその守備に参加していることからもチーム状況の良さを伺わせます。

試合結果

アーセナルvsアストン・ビラ<0-1>
得点者:’2 オリー・ワトキンス(AVL)

ハイライト

エピローグ

 アーセナルにとって痛すぎる2連敗となりました。Vsアストン・ビラでは3連敗となり、最も苦手な相手の1つになってしまいました。その全部で先制点を献上し、堅固な守備ブロックを攻略することが出来ずに試合終了のホイッスルを聞くことになりました。やはりCFオーバメヤンが真ん中を務めるには、相手がラインを下げた時では有効策とならないことが昨年秋同様に証明されてしまいました。しかしながら、ファイヤーフォーメーションを組んだ後半最後にはチャンスを掴みかけたので、次はゴールという目に見える形で表現したいところです。

 アストン・ビラは昨年の奇跡的な残留した時の勝ち点が35であり、今日の勝利で勝ち点35に伸ばしたということからも、今季の目標であった残留はほぼ達成し、今後どこまで勝ち点を積み上げられるのか注目すべき存在になりました。センターラインはリーグトップの堅固さを誇り、前線のCFワトキンス、LWGグリーリッシュ、OMFバークリーと個性豊かな才能も擁します。今後が楽しみですね。

この敗北でCL権獲得圏内であるトップ4でのフィニッシュは、もはやミッションインポッシブルと言わざるを得ないでしょう。現実的な目標ではEL優勝からCLへのストレートインにシフトチェンジするしかないでしょう。グーナーであれば、そのミッションインポッシブルな目標に向かって夢見ることこそ“ロマン”ではないでしょうか。まずはアルテタ監督率いるアーセナルを“信じる”ことから始めましょう。

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それではこのへんで、、、

ばいころまる~

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