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『「科学技術コミュニケーション」と「ジオパーク」と「私」と②』ザイナスのちょこっとコラム

ザイナスのちょこっとコラム、前回の続きです。一回目は、荒木がジオパークに惚れた経緯を書きました。毎日新しい発見を見つけるごとに、ジオパークの面白さにはまっていっているため、語りきれていていない部分がありますが、今度は研究内容である科学技術コミュニケーションについて書きたいと思います。

まだ前回の記事を読まれていない方は、下のリンクからどうぞ👇


🔳私と科学技術コミュニケーションの始まり

半年前まで私は、学部生をしながら大分の「体験型科学館O-Labo」で働いていた。ここに来る様々な分野の外部講師の補助をしながら、科学と生活を繋げて小学生から中学生に教えるのが仕事だった。その仕事が楽しいと思うと同時に、人々が地球に直に触れながら過去を知り、そこからもっと未来について考えてもらえないか、と思うようになった。また当時、大学では超学際な分野から天文学を専門としていたため、様々な学問が横断することにも興味があった。それらが私の科学技術コミュニケーションを勉強するきっかけだ。

O-Laboでの経験を活かし、北海道でも同庁と北海道大学の共同プロジェクトにスタッフとして参加させていただいた

この分野の新参者のため、科学技術コミュニケーションを説明するのは正直難しいが、私なりの解釈では「科学や技術と社会の関係を明らかにし、さらによりよい社会を目指すための双方向的なコミュニケーション」だと思っている。科学技術コミュニケーションのイメージとして私は今、宇宙を考えている。宇宙では、様々な星が双方に影響を与えながら変化している。人も一つの星と同様に、様々な人とコミュニケーションを行うことによって、その時の最適な状態に変化している。宇宙での宇宙線は社会で言う降り注ぐような沢山の情報で、引力はお互いの会話から生まれたコミュニケーションかもしれない。このように様々なコミュニケーション作用によって、私たち個は形成されている。ただし、この私のイメージ解釈は新たな知識や経験によって数日後には変化しているかもしれないくらい、普遍的なものである。

では、どこで自分の求めるコミュニケーションが行われているのだろうか。そこで思いついたのが、私が惚れた『ジオパーク』だった。ここだったら、学術的にも研究されている地球の大地という自然に直に触れられる場所であり、その大地を活かした文化が生まれた地域である。そして何より、それらを伝えるために様々な人が関わっていて、沢山の科学技術コミュニケーションが生まれる場所なのではないだろうかと。そして、様々な研究室を検討した結果、北海道大学の科学技術コミュニケーションの研究室に所属することになったのだ。

科学技術コミュニケーションを研究するため北海道大学理学院に進学

🔳ジオパークで科学技術コミュニケーションを探す

地域性を重視するジオパーク職員と、最先端の研究をする専門家・研究者の分野との双方向性の科学技術コミュニケーションに注目して研究していきたいと考えている。どこでどんなコミュニケーションが行われているのか、また誰と誰の間で生まれたコミュニケーションなのか、目を光らせながら探している最中で、次第に明らかになっている。

奥に見えるのが有珠山、手前の湖が洞爺湖(洞爺湖有珠山ジオパーク)

大学院に進学してから、授業受講と並行して北海道の六つあるジオパークに何回も通っている。ジオパークで働いている人にお話を聞いたり、地域のお店を覗いてみたり、パンフレットを読み漁ったり、ジオパークの大会に参加させてもらったり。そんなこんなしながら、ジオパークを運営する凄腕職員や、めちゃくちゃその地質や地形に詳しい専門職の方、またその地域で農業や商業を営んでいる方々、ガイドとして活躍している方々等、様々な人がジオパークを通じて魅力あるコミュニケーションを取っている情報を得てきた。

🔳これから

ジオパークをフィールドに科学技術コミュニケーションを研究するためには、ジオパークに関わっている人に直接お話をすることが一番必要だ。研究室で文献を読む事ももちろん、現地に行くことが必要になってくるため、大学院修士課程1年のうちは何度もジオパークに足を運んで関わっている人とのコネクションを作ることが重要となってくる。同時に、様々なネタの中から研究対象とするジオパークの科学技術コミュニケーションを絞っていき調査を進め、分析を行っていくことになるだろう。

白滝ジオパーク交流センター(白滝ジオパーク)

しかし、北海道は冬にジオパークを訪れることが困難となる。そう、雪だ。北海道は九州の2.3倍の面積があるため、北海道大学がある札幌キャンパスから各ジオパークにはそれなりの距離がある。降雪中の長距離運転は危ないため、これからは大学構内で情報を集めることが主となってくるだろう。現在は、ジオパーク研究だけでなく、エコミュージアムや地域環境学などの方面からも文献を探っている最中だ。そもそもの日本のジオパークの成り立ちをまとめている文献は少なく、文章化されていない暗黙的な部分、また当事者たちの記憶にしかないものも多い。そこをどう拾っていくかが、今後の課題となる。

3月有珠山山頂付近、雪は少し溶けているもののひざ下まで雪に埋もれながら進んだ(洞爺湖有珠山ジオパーク)

まだ私は、科学技術コミュニケーションにドップリ浸かり始めてから1年もたっていない新参者だ。しかしそんなことを言い訳にしていられないほどモノにしていかなければならない知識が多く、毎日が目まぐるしく過ぎている。研究方法についても概念についても新しいことの連続であるのだが、こんなにも充実した大学院生生活を送れていて本当に幸せな事だと、頻繁に思うようになってきた。これから私が研究することが、一人でも多くジオパークを使って地球に直に触れて過去を知り、そこから未来について考えて貰えるような、将来のジオパークを活性させる一つの種になったら嬉しい。




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