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『「科学技術コミュニケーション」と「ジオパーク」と「私」と①』ザイナスのちょこっとコラム

ザイナスでnoteの広報を担当している荒木です。これまでの記事を見てくださっている方は、私が学生インターンとして、ザイナスに所属していることをご存じかもしれません。北海道大学で修士研究の傍ら、ザイナスの記事を書かせていただいています。北海道に住んでいますが、大分のIT企業…。なぜ?と思われた方は、どうぞ[ ”北海道”でなぜか”大分のIT企業”広報している大学院生の生活 ]の前編・後編をお読みください。大学院生の一事例として、こんなインターンの仕方があるんだなと思っていただけたら嬉しいです。

今回のザイナスのちょこっとコラムでは、私の研究について紹介していきます。北海道大学魅力を学内外に発信し、学術と社会の課題を共有するためのウェブマガジン、「いいね!Hokudai」で書かせていただいた[ #188ジオパークで生まれるコミュニケーション ]をnote向けに改稿したものです。また、いいね!Hokudaiでは7月に掲載されているため、このコラムでは新しい情報も追加して書いております。



〈 「科学技術コミュニケーション」と「ジオパーク」と「私」と 〉

ジオパークって、なんでこんなに面白いのだろう。ジオパークとは大地のジオに公園のパークを足した言葉で、過去の地球が生み出した独特な地形や地質からそこに住む生物や環境、そしてそこで人間が営んできた文化が存在する場所だ。日本には46か所もジオパークが認定された地域がある。もしかしたら、これを読んでいるジオパークを知らないあなたも、訪れたことがあるかもしれない。もちろん地学が好きな私にとってはジオパーク自体めちゃくちゃ面白いフィールドだ。でも実は、そこで生まれるコミュニケーションが魅力的なのだ。


🔳地球科学的な価値を過去から知り、持続可能な未来へ

世界でジオパークが生まれたのは2004年。地球科学的な価値がある遺産を保全しながら、教育やツーリズムに活用して、持続可能な社会を開発していこうと世界ジオパークネットワークを設立したことが始まりだ。日本でも日本ジオパークネットワークが存在している。これを書いている2022年11月5日の時点で、日本ジオパークに認定されている地域は46地域、そのうちユネスコが認定している世界ジオパークが9地域ある。これをお読みになっている方は、ご自身の近くにもジオパークが必ずあるはず。是非、下の日本ジオパークネットワークでご自身の地域を探してみて欲しい。


因みに、ザイナスのある大分県では「豊後大野ジオパーク」と「姫島ジオパーク」の2地域が登録されている。

9万年前に起きた阿蘇火山の巨大噴火による火砕流で埋め尽くされた豊後大野。そこに水が流れ、命が生まれ、豊かな文化が育まれてきた。50 km離れた山の噴火で降り積もった火山灰や軽石が固まったことで、大規模な溶結凝灰岩が誕生。次第に水の浸食によって、滝ができていったなんて聞いただけでワクワクする。更にその岩が柔らかいおかげで、壁に仏を掘る磨崖仏の文化が発展していって今でもその名残がある、なんてロマンが詰まっているのだろう。さらにこの地域では、岩穴の中に薬草を敷き、そこから上がる蒸気を浴びる蒸し風呂、つまりサウナのような文化が16世紀ごろからある。

原尻の滝(豊後大野ジオパーク)
普光寺磨崖仏(豊後大野ジオパーク)


実は、大分にあるもう一つの姫島ジオパークはまだ私も訪れたことがない。それぞれ違う時期に噴火した7つの火山でできた1つ島。離島であるがゆえに、大型の野生動物が外部から侵入することはなく、島の人の暮らしと動植物との関りとの中で、島独自の生態系が誕生した。5月ごろには、鬼滅の刃でも有名になったアサギマダラの休息地として、その美しい命と姫島が誇る地形が織りなす、桃源郷のような風景が見れるようだ。是非、姫島村のギャラリーでその景色を見ていただきたい。また、この島では宝石の一種であるガーネットも見つけることができる、日本でも貴重な場所である。


🔳ジオパークに惚れた

昔からジオパークに興味があったわけではなく、普段の生活の一部だった。私の出身地(宮崎県)からは”霧島山”も見れるし、”桜島”から流れてくる灰も日常生活の一部。さらに、”阿蘇山”や”豊後大野”の自然も馴染のあるものだった。これらの場所をジオパークに認定されているエリアだと意識して見るようになったのは、大分大学で学ぶようになってからだ。

桜島が噴火して火山灰がこちらに迫ってきている(桜島錦江湾ジオパーク)

少しずつ自然科学に対する知識が蓄積されていき、様々な角度から地質や地形を見られるようになってくると、何年もかけて地球が創り上げた大地を理解できるようになった。さらに、天文を専門に学んだことで、どれだけ地球が奇跡の星であるのかを思い知った。そのため、これまで学んだことを"直に地球が創った大地で見られるジオパーク″が面白くなったのだ。

その大地が創った環境と、そこに住む人々の生活や文化が密接に関わっていることを知り、ジオパークの魅力に取りつかれるようになった。そこにしかない”ジオ”がその地域の”エコ”と”ヒト”と密接に繋がっているって当たり前のことかもしれないが、そのジオが創った過去や現在を知ることでこれから未来の持続可能な社会をつくるための材料としていることが、とても素敵なことだと感動したのだ。

溝ノ口洞穴(エリア拡大にともない霧島ジオパークになった)


では、なぜここから、私は科学技術コミュニケーションを勉強することになったのか?それは、次回のコラムのお楽しみということで。




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