責められても、もう大丈夫。「言葉の柔道:批判を言い返すことを学ぶ」『いやな気分よ、さようなら』第六章
六章になりました。
ようやく全体の3割といったとこでしょうか。レンガみたいな本なのでそれも仕方がないことですが。
今回は批判に対する対処の仕方です。昨今SNSでの誹謗中傷が話題になっていることもあり、批判や野次への対処は知っておいて損はないでしょう。
今日のポイントは、どんな批判も客観的かつ現実的にうけとめ、反発ではなく共感と同調により、相手の怒りをいなす
です。
そうやっているうちに相手の批判したい気持ちが萎えてくるのです。
それでは詳しい内容に入っていきましょう。
いきすぎた自己批判が無価値感を生む原因ですが、人からの意見が自己批判を引き起こすこともあります。
批判された時です。
だから人は批判をおそれます。批判されないように細心の注意を払う。
でも、そんなこと無駄ですよね?
人間は完璧ではないし、もっと言えばイチャモンなんてつけようと思えばどんな高潔な人間にだっていくらでもつけられます。
さらには、単にどう対処したらいいかがわからないためだけに批判を恐れている場合もあるでしょう。
どう対処したら良いでしょう?
・まず今まで学んできたことと関連させてみる。
特にうつは外界からの批判に影響を受けます。では、批判に平気な人がいる一方でなぜある種の人にとっては批判がこれほどまでに心を悩ませるのでしょうか?
あなたを動揺させるのは他人でも他人の批判でもない。
そんなわけ無いとおもいましたか?しかしこれは事実です。まずは、あなたの心を動揺させるものは、他人でも他人の批判的な意見でもないということを理解しましょう。
今までの三章と四章で学んできたことを思い出してみてください。そうすれば、他人の批判的な意見それ自体で自分がわずかにでも動揺することなどないことがわかるはず。なぜなら、
あなたを無力にしているのはあなた自身の批判に対する考え方だからです。
他人の批判→ある否定的な考えが自動的に頭に浮かぶ。
ここに反応している。
だから他人の言ったことではない。解釈した自分が原因なのです。
これには必ず認知の歪みが関わっています。
批判による傷つきやすさを克服する具体的なステップを学ぶにはある程度実習が必要です。「間違いを認めたくない!」などの感情が邪魔するかもしれませんが、やってみれば決して難しいものではないと気が付くはずです。
前章までで学んだことを関連させて考えたところで、批判してくる他人にどう対処するか?実践的で、それでいて簡単な技術を見てみましょう。
・批判してくる他人への対処の三段階
第一段階-共感
批判や攻撃をされたとき、すぐにそれが正しいのかまちがっているかに目を向ける必要はない。むしろ向けない方が良い。目を向けるべきは、
その人が言わんとしてること
そして、それがわかるような質問をすること
※注意事項
・質問をするときには決めつけたり防衛的になったりすることは避ける。
・客観的目線で感情的にならず淡々と質問をする。
この技術を身に着けるにはロールプレイが有効です。
やり方は次の通りです。
まずあなたは怒って思いつく限りの一番無茶な批判を相手にしてください。
相手はその一つ一つに共感の技法で答えます。
例
あなた:
「あなたは何の役にも立たないくだらない人ですね。」
相手:
「私のどこがくだらないのですか?」
あなた:
「もう全部です。鈍感で、自己中で無能な人です。」
相手:
「その一つ一つを取って考えてみましょうか。はっきり言ってほしいです。確かに私はあなたの腹を立たせるようなことをしたようですね。しかし鈍感と思われるようなどんなことを言いましたか?自己中心的という印象を私の何が与えたのですか?無能に見えるどんなことをしたのですか?」
あなた:
「私が先日あなたに電話で相談をしていた時、あなたはそわそわしていて、とても急いでいるようで、私の話など少しも聞いていないようでした。」
相手:
「そのように感じたのですね。あの時は別の予定が入っていて、電話に気を遣っている余裕がなかったのです。ほかには何にイライラしましたか?」
あなた:
「私は真剣に悩んでいたのに、あなたはまるで無関心なように聞いていました。すごく不真面目だと思いました。」
相手:
「わかりました。私が無関心に聞いていたように感じたんですね。それがあなたには不真面目に見えたと。ほかに何をしましたか?馬鹿にしたり気に障るようなことがほかにありますか?」
例を見てわかる通り、やっていることは単純なことです。それは、
正確な質問をすることで全体的に拒絶される可能性を小さくしているのです。
コツ
具体的な問題に双方が気が付くようにして、相手が感じるとおりに状況が理解できるように質問する。
↓
怒りや敵意を和らげ非難や討論の場を問題解決の場に変える。
※
どれだけ不当でも共感的に受け答えする。
それはどういうことを意味するのか
どのように不快にされたか
何をどれだけしたのか
何が嫌なのか
↑を常に意識して質問をする。
まるで批評家の目で世界を見るようにしてみるのです。
第二段階ー批判の武装解除
批判されたときには、言い返すのでも逃げるでもなくその場にとどまって、
うまく相手を無力化(武装解除)することが重要
・どうすればいい?
批判が正しいか間違っているかにかかわらず、まずそれに何とか同調する方法を見つける。
第一段階のロールプレイの例のように批判されたら、
「全くあなたの言う通りです。電話をもらった時すこし急いでいたので、それがおそらく無関心な態度に聞こえたのでしょう。あなたの話を聞きたくないわけではなかったのです。もちろん傷つけるつもりも。正直にいま急いでいることを伝えて、またあとでこちらから連絡をすればよかったですね。」
・全く見当違いの批判をしてくる人がいたら?
その批判にも「原則的に」共感ができるものがあるはずです。それにけし粒ほどの真実を見出して、それに同意する。もしくは批判している人がどのようにその状況を見ているのか考えることで、取り乱してる理由を理解する。
今一度ロールプレイをやってみましょう。こんどは誤ったことで批判してみるのです。ルールは三つ。
①言われることになんであれ共感できる道を模索する。
②嫌味や弁護は避ける
③常に真実を話す。
この三点。ではやってみましょう。
例
あなた:
「あなたは本当にどうしようもない人ですね。」
相手:
「私も時々そう感じます。失敗することも多いですから。」
あなた:
「あなたが言っていることなんて何の役にも立たない」
相手:
「確かに、改善の余地はたくさんありますね。」
あなた:
「第一あなたは馬鹿なんだ」
相手:
「私よりも利口な人は沢山いますね。」
あなた:
「人に冷たいし、上っ面の付き合いしかしていない」
相手:
「自分では温かく心を開こうとしているのですが、いつもうまくいくとは限らなくて……だからそう見えてしまうのかもしれませんね。」
あなた:
「あなたはそれでも人間ですか。あなたはどうも信用ならない」
相手:
「私が信頼に足る人間ではないことは誠に申し訳ないです。さぞ気分を悪くされたでしょう。信頼を回復するのは難しいようですし、このままでは関係性がもっと悪くなるばかりです。つまり相互に信頼しあうように努力しなければ、関係性は保てないでしょうね。」
こうすることで、批判が熱を失う。
反発するのではなく、その通りと同調するので怒りの矛先が向けられなくなる。つまり戦わずして勝つ。批判の炎が燃え尽きるのを待つ。
↑のようなロールプレイを批判する側とされる側の役割を交代ながらしてやってみるとよい。
今度は批判をするので、あなたが共感の技術を用いて質問し、武装解除の技術で批判に同調する方法をマスターしてみましょう。
例
相手:
「あなたの問題は私に相談しても無駄です。単に同情を求めているだけですから。」
あなた:
「なぜ私が同情を求めていると思えるのですか。」
相手:
「相談するわりに自分で解決しようと行動を何一つ起こしていないですからね。あなたのしたいことはここで不平を言いたいだけです。」
あなた:
「行動を起こしていないのは本当です。けれど私が相談で不平を言うべきではないとお考えですか?」
相手:
「何を言うのもあなたの自由ですよ。全部ナンセンスというわけではないですから。」
あなた:
「私が問題を解決したくないとでもお思いですか?」
相手:
「あなたは役立たずのただのゴミにすぎないんですよ。」
あなた:
「私も長い間そう思ってきました。何か他の考え方がありますか?」
相手:
「根負けしました。あなたの勝ちですよ。」
適当な人がいなければ自分で対話を想像してやってみるといいです。一人二役というわけです。
大切なのは真実を認めること。
自分を守ろうとすればするほど、言い負かそうとすればするほど、相手の批判の炎に油を注ぐことになる。こういう経験ある人多いのでは……?
この技術は一朝一夕にできることではないし、100%成功するとも限らないです。大切なのはその失敗に対し分析をし、もう一度、共感と同調の態度をもって、事態を処理する、つまりフィードバックを行うということ。
第三段階ーフィードバックと交渉
共感し同調することで武装解除して、いよいよここからが本番です。ここまできてようやくあなたの立場と感情を手際よくはっきりと説明できる立場にたてるのです。
批判が間違っている場合
ひょっとして自分は間違っているかもしれないという自覚をもって、客観的に自分の立場を表現する。自分の人格やプライドではなく客観的な事実に基づくものにする。これを武器に相手を批判するのはやめよう。過ちを犯すことはおろかで価値がなく、劣っていることではない。
あなたと批判者の間に事実ではなく好みについての違いが出る場合
そういう時も同じ。服装が気に食わないといわれたら、その気に食わない要素を聞き出し、こんなことで私たちの関係性が悪くならないことを望みます。どれだけ言われても断固として礼儀正しく、しかし、頑固として「私はこの服装を着続けると決めたのです」という。
時に結論が中間にあることがある場合
この場合には相手との交渉の妥協が必要になる。とはいえ今までの技術を応用すればおそらく自分の望むものをもっと得られる。
では、あなたが本当に間違っていて批判が正しい場合は?
もうわかりますね。批判に同意し、正しい情報を教えてもらったことを感謝しましょう。そうすることで相手からの信頼を勝ち取ることもできるのです。これは古い方法ですが実際驚くほど効果的です。
なんで間違ってないのに人に同調しなきゃいけねぇんだよ!こんな方法ごまかしだ!って思いました?
そんなことないのです。
重要なのはあなたが自分の感情を表現するかどうかではなく、それを表現するためのやり方なのです。
やじ対策
SNSなどでも多く見られる誹謗中傷などのやじ。量が多すぎて手に負えない場合は除きますが、いくつか対処しなければならないなら、そういう時にもこの方法は有効です。やることは三つです。
①即座に質問や批判に対して礼を述べる
②反論された点は実際に重要であるということを認める。
③指摘した点についてもっと知識を持つ必要性があることを強調する。
まとめ:批判に対する3種類の反応パターン
この赤く囲んだ「自己評価」反応を目指す。
ポイントは、自分への信頼を持っているのか、少なくても持っているかのように行動できるかどうか。
これはあなたが価値のある人間であり、完全である必要はないという前提に基づく。
避難されたときに最初に浮かぶ意見は洞察力。
この批判はどのくらい事実なのか、自分批判されるような何をしたのだろうか、など。もし妥協が必要ならば交渉すればいいし、もしあなたが完全に間違っていたらそれを認める。批判が間違っていたら、手際よくそれを指摘する。
あなたの行動が正しかろうが、間違っていようが、人間としては正しいのです。なぜなら自己の価値が問題になっているのではないのですから。
お知らせ
サークルのプランが審査を通過したので、サークルに参加することができました。気軽に試してみる程度、興味本位でも全然かまいません。気が向いたら参加してみてください。この章でふれたロールプレイを参加者同士でできる掲示板も作りたいと思ってます。
チョコ棒を買うのに使わせてもらいます('ω')