テレサが処刑されるまで
マージゼルはヴランジ侯爵の長女で、当時はまだ忌むべきものだとされていた”ふたなり女”だったばかりに幼い頃に、僻地にある屋敷に幽閉され、存在を完全に抹消されていた。ふたなりは2つの性を体に宿しているために、2人分の食欲と性欲、そして睡眠を欲している。
革命をまだ迎えぬこの地で深い森と崖を背にしたこの館だけはどうにも異様な雰囲気を携え、出入りの医者と召使、そして囚われの令嬢マージゼル以外は人気がなかった。しかしマージゼルは屋敷での生活をけして苦とは思わず、2人の男の召使いとともに