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短文

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2021年3月の記事一覧

印傳

印傳 平日の午後二時過ぎ、この時間が一番退屈で眠くなる。 次は四時頃。 実際この二つの時間のうちのどちらかで寝落ちしてしまうことも多い。すると三時間は起きない。どこか悪いのか。ストレスが八割方消えて、今のストレッサーはおよそ相場の善し悪しなので、こればかりは手を打つ方策は限られていて、しかし無限にあるとも言える。どのような手法を編み出すか。どのような文章を書くか、いつもなんか考えてばかりいてとても疲れる。 追い込まれて、苦し紛れに自分にとってはすばらしいことを思いついたり

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー 2002年にファイナンシャルプランナー(AFP)の資格を取った。職場で取らされた。 研修を受け、模擬テストをしてみたところ合格点に達したので受けてみた。 勉強時間はおよそ40時間程度だったか。 当時は民間資格で、試験に通りさえすればよかった。その条件は協会が提示する教育を受け、受験資格を得たものといった具合だったと思う。ペーパーテストで70%以上の得点で合格だったか。 雨の市ヶ谷、法政大学に試験を受けに行った。 老若男女様々な年齢層の受験者がいた

喫茶店へ

喫茶店へ 喫茶店、行っていない、随分。 以前、営業所に月1回午前中、掃除に業者が入った。その時、営業所員は喫茶店で作業を待った。のどかな時代だ。ぼすっとへこむふかふかのいすに座って、モーニングを頼む。ゆで卵とトーストが付く。朝食を済ませているのにトーストを食べ、トーストを食べたのに出先で昼をしっかりとる。 飲み助ではなく食べ助。 コーヒーの味は未だに苦いばかりでよく分からない。おいしいコーヒーの基準が。どこかの何、とおいしいコーヒーを定義してくれれば、というわけにも行かない

離婚

離婚 離婚のハードルは下がった。いまどき、当たり前。私は離婚をしたことが無いので、離婚については何もいえない、なとどいうとアフリカに行ったことがないからアフリカのことを何もいえない、となるので、思うところでこの文章を書いている。 どのような理由で離婚に至るのか、いろいろあるだろう。結婚するときに、一度は、一生添い遂げようと愛おしく思った相手といろいろなことがあり、おそらく、どちらかが相手に思いを残したままで離別すると言うことも多いだろう。お互いに顔を見るのも嫌になる、同じ

ジャズ喫茶

ジャズ喫茶 以前、私の住んでいる町にもジャズ喫茶があった。今、ジャズはにわかに流行っているというか市民権を得たのか、分からないがいろいろなところにジャズ喫茶、ジャズを流す居酒屋、生演奏を楽しめる場所(聴く、演る)場所ができているけれど、そのころのジャズ喫茶は私語厳禁とまできつくはないがまあ、あまりメジャーな感じではなかった。 その店は赤茶煉瓦の雑居ビルの二階にあった。窓はふつうにあいていて明るく、ボックス席が四つほどの小さな店だった。マスターは痩せた、気の弱そうな長髪の男

漬ける

漬ける 仕事を辞めてからいろいろな物を漬けた。といっても卵や豆腐を醤油系のつゆに漬けただけだが。ここのところ、野菜が足りていないと思う。キャベツが旬を過ぎてから、なんとなく主力であったキャベツがうまくふるわない。夏にかけて、キュウリやトマト、ナスあたりが伸してくるが、いまいち食べ方にバリエーションがない。 そこで、漬けてみる。 とりあえず、味噌。そして、酢系の方向。 先日、食べ放題のカレー屋でタマネギの甘辛いピクルスを大量に食べた。あんな甘酢い漬けで野菜をやりたい。タマ

熱中症

熱中症 たしか、昔は日射病と言った。私は子供の頃、よく太陽に当てられて顔を真っ赤にしてへなへなになった。夏は帽子を手放せなかった。阪神の野球帽を持っていた。みんなが巨人をかぶっていたから。小さな頃から天の邪鬼。 炎天下に野球をさせられた。メンバーが足りなくて引っ張っていかれた。ガッテム。いまでも腹立たしい。 みんなが帰った真っ白な真夏の炎天下。公園で頭に水を流して、そのころ、蝉といえばアブラゼミとニイニイゼミ、羽の透き通っていない大小の蝉の天下だった。いま、私の界隈では

花魁と千姫 その2

くすくす笑いのくだりは歌詞を覚えていたが、ほかは、赤い紅さして、とその後がよくわからないのだが、私には「花魁と千姫よぉー」と聞こえたのだった。 おいらんとせんひめぇ? なんだこの歌詞。そこもずっと気にかかっていた。何度か検索してみたが答えにたどり着くことが出来なかった。が、このたび晴れて解決した。バンドは「イミテーション」曲は「クスクス笑って」という。 チャクラについて調べていたとき、フロントウーマンの小川美潮のインタビューを見つけ、当時、よくニューウェーブと呼ばれるバン

花魁と千姫 その1

花魁と千姫 35年ほど頭の中に引っかかっていた曲を聴くことが出来た。おそらく1981年の日曜の午後、友人宅でかかっていたテレビを見ていた。当時はNETか、もうテレビ朝日だったか、二時頃から歌謡とお笑いのどうでもいいようなバラエティをやっていて、そこにたまにニューウェーブ歌謡のようなバンド、おそらく、チャクラあたりが走りだと思うが、女性ボーカルに腕の確かなミュージシャンがバックにつくバンドが流行っていたが、そのひとつのビジネスというバンドが「うわきわきわき」という曲をやってい

都留から道志へ

都留から道志へ 山梨県都留市。至る所に水路があり、富士方面からの水が流れてくる。水流は早く、時に轟音をたてて、市役所の水車を回す。市役所の前の道から山の方へ、その道を上っていくと道志へ至る。 富士吉田市から都留市まではずっと下り坂だ。桂川という川に添いつ離れつ、両脇に山並みを見ながら下り坂を降りて、都留の町に入りばな片方の山を登るのが道志みちといわれる上り坂となる。 曲がりくねった上り坂だが、道はきちんと舗装されている。しかし、そう広い道ではない。片側一車線で杉の林を抜

乗りたい車

乗りたい車 現行の自動車にそそられるデザインが少ない。いま、ワンボックスに乗っているがこれのデザインは少し好きだ。ぬぼーっと愚鈍な感じで、鋭角な部分が無い。何のデザイン性も感じられない。なまなかにデザインがあるよりずっとすっきりしている。 とはいえ、実用で選んだ車で、見事にその期待に応えているが、運転して全く面白くない。というより運転をする気にならない。大きすぎる。ミニだとかフィアット500だとか、コンパクトな車が好きだ。現行のそれらはかなり旧式に比べて大きくなってしまっ

俳句について

俳句について 定型の短詩(俳句、短歌)は短さ故に取っつきやすく、難しい。とくに、俳句は五七五という二十文字足らずで、ともすれば世界を表現してしまう。大人の趣味として、やりごたえは特級。しかも競技人口ならぬ作句人口も多い。文化系の趣味としては最高峰といってもいいのではないだろうか。 私もそんなに明るい世界ではない。しかし、ここのところものすごく俳句を作りたい。いつだったか、短歌のブームが自分内に巻き起こった。短歌も奥の深い世界ですそ野が広いが、口語、ナンセンスを根底に百首程

志賀直哉の書斎

志賀直哉の書斎 千葉県我孫子市に志賀直哉の書斎が復元されている。ガイドによると「暗夜行路」など代表作をものした書斎だという。 志賀直哉は小説の神様と言われる。私小説の代表作家でもある。ひととき、志賀直哉の本を読みあさった時期がある。短編で読みやすかったから。読みやすいという意味では志賀直哉の短編は読みやすい。昔の文士は志賀直哉の小説を写経ならぬ写書したらしいが、私は川の土手や自宅の布団で、寝ころんで読んだ。軽い読み物を読むような心持ちで楽しんだ。どんな読まれ方でも読まれな

上手

上手 カラオケで点数が出る。上手さが数値化され、競い合う。上手なのに心に響かない。ピアノの演奏。技術を競い合う。テクニックに感動する。こんなピアノ、どうやって弾いているのだろう。圧倒される。されるだけ。 技術は重要だ。最低限、技術がレベルに達していなければお話にならない。一般的には。必ずしも超絶テクニックバンドが感動を呼ばない。100点のカラオケが耳をすっと通り過ぎてしまう。味、ノリ、個性。曖昧でつかみ所が無いそれらで心を動かされている。 といって、技術も無視はできない