リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督『ロゼッタ』底辺で生きる少女の苦しみ
<作品情報>
<作品評価>
60点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
おいしい水
「辛い話」と聞いてたから覚悟してたんだけど、そんなでもなかったです。ダルデンヌ兄弟は『午後8時の訪問者』と『その手に触れるまで』しか観ていないのですが、『午後8時の訪問者』が一番好きかな。
本作、手持ちカメラでグラグラと揺れるリアリズム演出で、ありえないくらい恵まれない環境で生き抜くロゼッタを描いています。
劇映画的な演出は極力排し、ドキュメンタリーのようなタッチで描く、それはいいんですが演者たちに頼りすぎな印象を受けました。貧困を客観的に描くというよりも何か見世物的なものを感じてちょっと嫌だ…
母親のアル中、何度も仕事をクビにされる、男に付け回される、大家の性的搾取、不幸のオンパレード。
クオリティは高いのかもしれないけど好きじゃないです。
吉原
「まともな生活がしたい…」 この言葉が胸に刺さる。若くやる気にも満ちているのに安定した職を得ることもできず、酒とセックスに溺れる母とトレーラーハウスで生活するしかないロゼッタ。
何をやっても上手くいかない生活の苦しさは想像もできません。画面越しにこちらまで辛くなってきます。「ある子供」は本人の問題も貧困の理由になっているという印象でしたが、ロゼッタの場合はそうではないところがより苦しい…
ロゼッタの生活の不安定さと焦りを表現するかのように至近距離から追いかけるような撮影の方法が印象的でしたが、人によっては酔いそうだなとも思いました。とにかく苦しく辛い90分間ですが、観る価値は十分にある作品だと思います。
<おわりに>
ダルデンヌ兄弟が流石の職人芸で描く少女の苦しみ。それをどうみるかで評価が変わってくる一作です。
<私たちについて>
映画好き4人による「全部みる」プロジェクトは、映画の可能性を信じ、何かを達成したいという思いで集まったものです。詳しくは↓
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