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#創作大賞2023
【短編小説】散歩というには
朝のルーティンをひと通り終え、すっかりぬるくなったコーヒーを飲みながらスマホの追跡アプリを起動する。そろそろだ。丸い点が動きはじめた。うなるようにため息を吐く。息苦しく、背後から追い立てられる焦燥感に思わず唇を噛み締めた。
浮気がバレた時、妻は声を荒げるでも、取り乱すでもなく、ただ淡々と事実確認をしていった。そして最後に貴方はこれからどうしたいのかと聞かれた。
もとより、妻に不満がある訳ではな
名前も知らない同性に告白した話
付き合っている男性がいるのに、同性の女の子に告白したことがある。
夏の避暑地で開催されたアート系イベントのボランティアで会った彼女は、緑色のショートボブにメガネをかけ、私とは違う方言を使っていた。見た瞬間からなぜだか心惹かれて、仕事そっちのけでいつも目で追っていた。
私たちボランティアは首から下げた名札にニックネームだけ書いていた。だから本名も年齢も住んでる場所も知らないままだった。
ろくに