J-POP史上屈指の名ラブソング。Mr.Children「Another Story」
本当はnoteの「#スキな3曲を熱く語る」に投稿しようと思って記事を書いていたんですが、この曲に対する熱量が高過ぎるあまり文字数が増えてしまったので単独記事にしました。笑
長年ミスチルのファンをやっていますが、この曲がミスチルで一番好きな曲だったりします。
キャッチーかつミニマルなメロディ、ストーリー性の中にテーマ性がある歌詞。何回聴いても飽きない。
ブラスの効いたアレンジも最高です。
最終のバスにはまだ間に合うかなぁ
遠くの街まで君を迎えに行く
いつも笑ってた 無理してたんだな それも分かってた
もうこの入りの歌詞が最高ですよね。
曲の最初が”最終”という言葉から始まる心地よい違和感、「主人公は女性と交際していたが、女性は無理をしていた。主人公もそれをわかっていたが、溜まったものが爆発して距離を置かれてしまった。その彼女をバスで迎えに行く」という設定をわずか3行で伝える歌詞。
ごめんねって言葉 君は聞き飽きてるんじゃないかなぁ?
どんな風に言えば 優しい君は戻ってくるかなぁ?
よく出かけた公園をバスは今通過中
いつかの君が横切る
サビの歌詞も名文。
まず、サビのど頭に謝罪を持ってくる曲ってあんまりないですよね。
こういうことが躊躇いなくできちゃうのって何気にすごい。
過去に主人公は彼女に何回も謝っていること、彼女にかける言葉を探しながらバスに乗っていること。それが歌詞から伝わってくる。
そして、主人公から見た風景の中にだけあの頃の彼女がある、と。
短い歌詞、そしてバスの中というシチュエーションだけでこれだけ物語を広げて感情を描写するのはさすがとしか言いようがない。
記念日を携帯が知らせてくれて
そんなときばかりうまく立ち回って
誇張して言えば そんな感じだろう 君にしてみれば
2番の出だし、このフレーズに心を抉られる人は多いんじゃないんだろうか。
彼氏が記念日を祝わないといけないことぐらい、男だって色々見て知ってる訳ですよ。
だから、普段はそんな感じじゃないのに記念日はうまくやって点数を稼ごうとする。
そんなことで、日常で迷惑をかけていることがチャラになるわけじゃないのに。
この直後に彼女に話しかけるような「誇張して言えば そんな感じだろう 君にしてみれば」。
いやー、上手いっす桜井先生。
抱き合いながら 僕らは孤独とキスをして
分かったような台詞 ささやきながら眠りに落ちて
2番のサビはいきなり抽象的な表現…に見えるけど、おそらく意味合いとしてはさっきの話の続き。
抱き合いながら孤独とキスをする、ってすごく詩的な表現ですよね。
目の前に愛している人がいてその人と抱き合っているはずなのに、実際にキスをしている相手は”孤独”っていう。
分かったような台詞〜のくだりは、先程の「記念日にうまく立ち回る」ことの続きのようにも思える。
朝が来て日常が 僕らを叩き起こし
逃げるようにベッドから這い出る
結局、この曲の主人公カップルは日常の忙しさを言い訳として相手と向き合うことから逃げてきたんじゃないの?ということですね。
これがグサっと刺さる人は多いじゃないだろうか。
最終のバスは君にたどり着いて
恐る恐る僕は君の名を呼んだ
君は笑ってた 無理はしないでよ だけど笑ってた
ここで、ド頭と同じAメロが再登場。
冒頭で登場した「最終のバス」がついに”君”の元にたどり着く。
夢とか理想とかおもちゃみたいにまだ思ってるかなぁ?
分かり合うなんてそう簡単じゃないのは分かってる
ごめんねって言葉 君は聞き飽きてるんだろうけど
誤解がしょうじないように 簡潔に伝えられぬもんかなぁ
君と生きる毎日が なんだかんだ言って嬉しい
この最後の歌詞はミスチル、いやJ-POP史上に残る名文だと思う。
色々と言葉を並べてはみるけど、
君と生きる毎日が なんだかんだ言って嬉しい
好きな人と一緒にいる理由って、結局ここに尽きるのかなと思うわけです。
個人的に、”楽しい”ではなく”嬉しい”というのがポイントかと思っていて。
君と一緒にいると楽しい、じゃなくて君と一緒にいると嬉しい、の方が良い意味で自分勝手というか。なんか言語化しづらいんですけども。
広辞苑で意味を調べると、
「楽しい」…満足で愉快な気分である
「嬉しい」…望み通りの状態が得られて、喜びを感じる
という違いのようなんですが。うん。
この”望み通り”というニュアンスかな。
主人公にとって「君といる毎日」はただ愉快なものじゃなくて、きっと”望み通り”の状態なんですよね。
僕は、この微妙な表現の違いがすごく素敵だなーと思いました。
そう君の笑顔と共に
そう君の笑顔と共に
このフレーズを2回繰り返すのも最高だ。
これこそ、”大事なことだから2回言った”の最も正しい使い方なんじゃないだろうか。
名曲です。
是非聴いてみてください。
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