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イケメンなんて不要、男前が揃った作品。Netflix『サンクチュアリ -聖域-』感想

泥臭いスポコンが心に染みる年頃(33歳)です。

という訳で、本日レビューするのはネトフリの話題作「サンクチュアリ -聖域-」。
おそらく世界史上初、相撲をテーマにした連続ドラマです。

そう。この作品は角界を舞台にしたドラマなんですよ。
まずそれが凄い。絶対地上波じゃできないもんね。笑

何故実現不可能かっていうと、色んな理由があるんですけど。

まず、地上波のドラマはある程度の公共性が求められる。
そうすると、『相撲』という題材はおそらくチャレンジング過ぎるんですよ。
相撲に興味がある人って、全世代にそこまで多いわけではないですからね。
僕自身も貴乃花とか朝青龍とか白鵬とか、それこそ超有名力士しか知らないですからね。
連ドラで野球やサッカーを題材にすることさえ難しいのに、相撲は厄介過ぎる。

キャスト的にも色々難しい。
まず、本物の力士張りにガタイが良いキャスト陣を揃えること自体がハードル高いし。
主人公は、演技力とガタイの良さという説得力の両方が必要。
ついでに、力士メインだと女子が好きそうな線の細そうなイケメンをメインキャストにねじ込めないのもネック。

迫力ある相撲シーンを撮るノウハウも難しい。
そもそも、大迫力の相撲を演じれるキャストがいない。
躍動感ある演出は撮影が大変だし、一歩間違うと暴力的になりかねない流血シーンも放送が難しい。

このように、地上波では相撲ドラマを作ろうとするだけで色々と無理が生じるのだ。
しかしながら、本作はこれらのハードルを無茶苦茶な方法で悉くクリアしている。

まず、キャスト陣。
これがいきなり、想像を絶するほどにチャレンジング。

まず、「あ、この人出てるのね」ってなる人が一人もいないのが凄い。笑
これ、全然悪口じゃないんですよ。
日本のドラマって、良くも悪くもキャストに納得感があるじゃないですか。
あーこの人が主役ね、っていう。
仮に誰かの初主演だとしても、2番手やトメには無難な人を持ってくるはずなんです。

しかしながら、このドラマはそんなこと完全無視。
主演はヤンキーとか犯罪者の役ばっかりの一ノ瀬ワタルだし、ヒロインは最近国内のドラマではほとんど見かけなくなった忽那汐里。
ピエール瀧、田口トモロヲ、岸谷五朗、松尾スズキと実力派ももちろんいるんですけど、如何せん渋すぎる人選。

で、主人公のライバルを含め主要人物のほとんどを元力士が演じるという。
そんな無茶苦茶なドラマあります?笑
地上波だったら絶対こんな企画通らないでしょ。

しかしながら、この作品は迫力ある相撲シーンや稽古のシーンこそが重要で。この判断は正解以外の何物でもなかった。
おかげで土俵が舞台のシーンはすべてリアリティがある。

あと、びっくりするんですけど元力士勢みんな演技うまいんですよ。笑
特に、猿谷を演じた澤田賢澄は素晴らしかった。
彼はメインとなるシーンも非常に多かったんですけど、単体でも余裕で観れる演技力でした。本作一番の発見なんじゃないかなあ。

主演を務めた一ノ瀬ワタルは、身体づくりから表情づくりまでお見事。
彼以外にこの作品の主演は絶対にできないでしょう。
前半のゲスっぷりと後半の凛々しさのギャップがカッコ良いのはもちろんのことなんですけど。
前半のゲス時代でも、どこか可愛らしさを残している塩梅が奇跡的にうまかった。

ヒロインの忽那汐里も、真っすぐな目力が映える良い演技をしていました。
帰国子女の生意気な記者役、本当合ってたなあ。
彼女自身も確か海外育ちでしたよね?当て書きかと疑うぐらいでしたね。

染谷将太の演技力も脱帽モノ。
特に、今期は同時期に月9「教場0」に出ていたから余計演技力の高さを感じました。全然違う人じゃん。
どもり方とかリアリティしかなくて、本当にああいう人にしか見えなかったな。本作の隠れMVPです。

あと、ピエール瀧の凄さを再認識しました。
色んな事あったけど、やっぱこの人は日本芸能界に必要な人材だよ。
この役も、絶対他の人にはできないもん。

ストーリーは割と王道なんですけど、主人公である猿桜やライバルの静内の家庭環境の凄惨さは地上波じゃ絶対書けないもの。
こうやって物語にメリハリつけれるのは配信ドラマの強いところで。
特に、キャラ設定が大事なスポ根ものと配信ドラマは相性良いのかもね。

途中までももちろん良いんですけど、やっぱり猿桜が気持ちを新たにするきっかけとなる試合が描かれる6話以降は別格の面白さでした。

猿桜の覚醒をきっかけに一丸となり始める部屋の仲間たちとか、もう胸熱過ぎてね。ちょっと「WATER BOYS」とか思い出しちゃいましたよ。


しかしながら、地上波だとここまで細身イケメンがいないドラマって多分作れないと思うんだよなあ。
でも、イケメンなしでもここまで面白いドラマは作れるんですよ。
この作品に出てくるのは、イケメンじゃなく”漢”ばっかりですからね。
それが同性としてはたまらんのだわ。
猿谷の生き様マジカッコ良いからみんな観て。


あと、観たらわかるんですけどあの終わり方は卑怯だよ。
続編やらんと許さんからな。

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