J-POPにおける"歯ブラシ"は別れの象徴?
失恋をテーマにした曲に"歯ブラシ"ってよく出てくる気がする。
確かに、家に2本歯ブラシがある状態ってかなり親しくないとダメだし、関係性の親密さをわかりやすく表現できるアイテムだ。
付き合いたてで歯ブラシ家に持ち込んでくるような人はまずいないだろうし。っていうかそんな女ヤバそうだし。
僕の中で"歯ブラシ"を扱った曲と言えばまずこれです。
桜庭裕一郎こと長瀬智也の「ひとりぼっちのハブラシ」。
いや〜名曲だこれ。
ハブラシはいつものように カガミの前二個並んで
Ah 待つよ 俺は待ってる 信じて待つよ
ハブラシは俺のだけが傷んでゆく なぜなんだ
ねぇ 君は愛の続きを ねぇ 誰としてる?
自分の歯ブラシの劣化を通して孤独を感じる主人公を尻目に、彼女は戻って来ず誰かと愛の続きをしている…なんて切ないんだ。
受け手の想像に任せるような抽象的な歌詞も良いけど、こういう具体的なシチュエーションを想起させる歌詞も刺さるなあ。
やっぱつんく♂って天才。
古い曲だとこの辺もそうですね。
チューリップの「ふたりがつくった風景」。
赤と緑の歯ブラシが
いつも仲良くコップの中並んでいたね
これ、令和に聴いてもめちゃくちゃ名曲だと思います。
歌詞全体を聴くと結構時代を感じる部分もあるんですけど、歯ブラシはタイムレスなアイテムなんですね。
これが要所に入ってくるだけであんまり古い感じがしなくなるというか。
歯ブラシに仲良いも仲良くないもないはずなんですけど、二人の気持ちが寄り添っていると仲良く見えるのはなぜなんでしょうね。
ケツメイシの「恋の終わりは意外と静かに」にも歯ブラシが登場します。
PVに出ている市原隼人の若さに驚きが隠せないことは置いておいて、歯ブラシが出てくる曲にハズレはないんじゃないかこれ。
僕はこの理論を提唱したい。
君が並べた 揃いの歯ブラシ
ニ人で選んだ 色違いの箸
の美しい韻踏みと、その後に続く
いつまでもそこで 君が笑ってるような気がした
というリリックが切ない。
この曲はタイトルも珠玉だと思います。
終わる時って意外と静かなんですよね、本当。
で、僕の中でのキングオブ歯ブラシソングはこちらです。
そうです。マッキーです。「もう恋なんてしない」です。
2本並んだ歯ブラシも 一本捨ててしまおう
実は、これまで紹介した曲の中に歯ブラシを捨てる描写がある曲ってないんですよ。
みんな二本の歯ブラシを眺めて幸せな頃思い出したりとか結構未練たっぷりで。
そんな中、マッキーは"捨てる"という行為にフォーカスしてるんですよね。
その後の歌詞も
君の趣味で買った服も もったいないけど捨ててしまおう
と続くし。
この歌詞を聴くと、一人になって広くなった部屋を掃除する男の悲しい背中がありありと浮かんでくる。
で、掃除しているうちに
こんなにいっぱいの 君のぬけがら集めて
ムダなものに囲まれて 暮らすのも幸せと知った
と、"ムダなものに囲まれていた幸せ"に気付いてしまうわけです。
切なすぎる…
"歯ブラシ"というモチーフだけでも、これだけの歌詞が出てくるJ-POPの世界は広いなあ。
また別のワードにフォーカスしてやってみたいなあと思います。
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