見出し画像

20060315 ある写真集の購入

 インターネットで古本を初めて買った。インターネットを通じて古本を売ったことはある。豆盆栽の本の話$${^{*1}}$$を書いたところ、その本を探していた方がweb検索で件の記事を見つけてそれを譲って欲しいと申し出てきた$${^{*2}}$$。買うのは今回が多分、初めてだ。

 インターネット専門の大型書店$${^{*3}}$$で買った。もともと絶版している本なので通常の書店では扱われていない。古本でも家にいながらにして検索して購入できる$${^{*4}}$$というのは、凄い世の中になった。こんなに便利になり過ぎていいのだろうか。まぁ、古本検索については、巷の古本屋を廻って探しまくる時間と労力とを考えると効率が格段に上がって、何となく得しているような気がしないでもない。

 古本屋を廻ることが何から何まで無駄かと言えばそうでもない。記憶の片隅にあった本を見つけ出すとか全く違った分野の本を偶然手に取ると言うこともある。検索語句や文字による検索ではこういった余禄$${^{*5}}$$に与ることが殆どない。

 買ったのは新潮社の写真集「芋っ子ヨッチャンの一生$${^{*6}}$$」という本である。新潮社は写真集$${^{*7}}$$の出版事業から撤退してしまっている。だから新本を売る書店には一切並んでいない。

 以前から欲しいと思っていた。新潮社が書店から回収する前に立ち読みして欲しいと思ったが、いつでも買えるから後で買えばいいと思いその時は買わなかった。それから暫くして買おうと思って本屋で探すとどこにもないと言う状況になってしまっていた。やはり本は欲しいと思った時に買っておかないと駄目$${^{*8}}$$なのである。

 それ程希少な本ではないので、インターネットで買おうと思えば買えるのだが、別の理由で躊躇していた。写真集は、病いによって五歳でこの世を去った子供の一生を描いている。写真を撮ったのは写真家であった$${^{*9}}$$その子の父親だ。購入を躊躇してきた理由は、写真集の中の子供と自分の子供とを完全に重ねてしまっていたからである。写真を撮る父親と自分自身も重ねている。もし自分の子供が五歳でこの世を去ってしまったら耐えられないだろう。そう思いながらも写真集は欲しいと思う。悲劇を観たがる感覚である。

 購入に踏み切ったのは、末の娘がもうそろそろ五歳$${^{*10}}$$になるからである。何となくだが、五歳ぐらいになれば病気で死ぬ確率がぐっと減るようなような気がしているのだ。

*1 20021102 豆盆栽
*2 20030331 豆盆栽(3)
*3 Amazon.co.jp
*4 Amazon.co.jp: マーケットプレイス
*5 20030418 goo辞書
*6 芋っ子ヨッチャンの一生 - Webcat Plus
*7 20020902 安井仲治
*8 20020624 本の買い方
*9 影山光洋
*10 20010730 新しい家族

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?