見出し画像

架空旅行記A#4

その辺の路地で煙草を吸っている。
この街に喫煙所というものは
なかなか見当たらない。

煙草を吸いながら見渡してみると
案外吸い殻がたくさん落ちている。
なるほど、皆困り果てて
こういった路地に逃げ込むんだろうな。

時刻を確認するとPM2:54。
もうホテルに入れそうだ。
携帯灰皿に煙草を捨て
ホテルへと向かう。

途中コンビニがあったので
立ち寄り店内を物色する。
GS25だ。
韓国のコンビニは
1+1や2+1の商品をよく見かける。
このシステムはなかなか良いなと思う。
1個や2個、それに合わせて商品を買うと
もう1つ無料でついてくるというものだ。
なんとなく無料に惹かれて
ついつい買ってしまうのだ。

とりあえず私はコーヒーが飲みたいので
見ていると、いろいろある中に1+1のコーヒーを
見つけたのでそれを買うことにした。
レジにて会計を済ませる。
1本分の値段で2本買えた。
実に得をした気分だ。

ホテルに着きフロントの人に
荷物のプレートを渡し
部屋の鍵と荷物を貰う。
905号室。最上階だ。

エレベーターに乗り
9階のボタンを押すが反応しない。
おや?と思ったが
部屋のカードキーを端末にかざしてから
ボタンを押すタイプだった。
セキュリティ対策だろう。
ピッとかざし再度9階を押す。
動き出すエレベーター。

扉が開き9階のフロアに着いた。
床はカーペット張りで
壁や電気もなかなか小綺麗だ。
905の扉にカードキーをかざし
カチャリと音がして鍵が開く。
ドアを開けてみると
これまたなかなか小綺麗な部屋が広がっていた。

カードを壁の電気スイッチに差し込み
電気をつける。
濃い茶色とウッドで統一された
なかなかモダンな部屋だった。
広い方が何かといいだろうと思い
ツインの部屋を取っていたので
ベッドが二つ並んでいる。
壁には大型のテレビが掛けられ
ベッド脇のデスクも
狭いながらも整頓されていて
実に好印象だ。

入り口付近にスーツケースを開き
バックパックをその横に置く。
まあ一旦確認だ。
ベッドに勢いよくドスンと座る。
おおおお…、柔らかい…。
しかも低反発なのかゆっくりと沈み込む。
1番好ましいタイプではないか!
幸先がいいぞ。

そして浴室の扉を開く。
横長のバスタブに2wayのシャワー。
普通の手持ちと頭上の備え付けの二つが選べるタイプだ。これもなかなかいいぞ。
トイレもウォシュレットがついていて
広めでなんだか洒落ている。
シャンプーなどは使い切りタイプの
小さなボトルのものが用意されている。
私はシャンプーなどのものは持参しているので
その辺は心配ないだろう。

しかしこれはいつも思うことなのだが
韓国のホテルの浴室には
シャワーカーテンがない事が多いのだ。
どんなに良い感じで設備が良さげでも
かなり気を遣って入らねば
浴室全体が水浸しになってしまう。
シャワーカーテンという文化を
是非取り入れて欲しいものだ。
まあ私が泊まるところに限る話
なのかもしれないけどね。

部屋に戻りとりあえずテレビをつける。
どのチャンネルに合わせても
韓国語が飛び交っている。
当たり前ではあるが
こうゆうところで実感が湧いてくる。
ああ、来たんだな、と。

いろいろチャンネルをまわしていると
M-netが普通に見れた。
あまり興味があるわけではないが
これは所謂K-POPに纏わる番組を多くやっているチャンネルで、日本だとCSでも単体契約しか出来ない中々お高いチャンネルなのだ。
こちらの人からすると普通なのかもしれないが
これまたなんだか得した気分だ。
特に見たいわけではないのだがね。

あ、そうだ。
と思い立ち喫煙所の場所を確認しようと思った。
韓国のホテルには喫煙部屋というものは皆無だ。
だからどこかにはあるはずなのだ。

鍵を持ちスリッパを履いて部屋を出る。
一階や外なんてこともよくあるので
エレベーターの方まで行ってみると
非常階段の所に煙草のマークがあった。

おや?と思い
非常階段の扉を開けると
灰皿と換気扇があった。
これは実に嬉しいではないか。
部屋でこそ吸えないが
すぐ近くにある。
ここは常宿確定かもしれんな。
ぶつぶつと言いながら
煙草に火をつける。
見つけたついでに一服だ。ふぅ。

オレンジ色の壁には窓が付いていて
街を一望出来る。窓からは陽が差し込み
壁の発色と相まって明るい雰囲気だ。
窓には換気扇が2機ついていて
機能性もばっちりだ。

携帯のロックを解除し
メモアプリを開く。
行きたい所リストを確認するのだ。
私は旅のしおりをメモアプリ内に作っていた。
味気なさこそ感じるが
便利な世の中になったものだ。

さて、まずはどこに行こうかな?
やはり買い物だろうなー。
ホテルのWi-Fiに繋げ
韓国の乗り換え案内アプリを
ダウンロードしながら
煙草を揉み消す。

これは非常に使いやすくて
乗り換え案内や路線図、
地図機能はもちろんのこと
調べた先の情報などもウェブと連携していて
とても助かるのだ。
しかも日本語だ。
なんで消してしまっていたんだろう…。

2本目の煙草を咥え、ふぅっと煙を吐く。

非常階段の静けさに
換気扇のブーンという音だけが
響き渡っていた。

この記事が参加している募集

私の作品紹介

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?