【今でしょ!note#178】管理職は、管理職ならではの仕事をしよう
いかがお過ごしでしょうか。林でございます。
管理職が「プレーイングマネージャー」化して久しいです。
課長島耕作、部長島耕作あたりの時代では、管理職は椅子に座って新聞を読んでいるだけ、みたいなシーンが出てきますが、これは1980年代の日本の安定成長期を写した典型的な旧式管理職の姿ですね。
一方で、私と同じ30代中盤の世代は、ちょうどバブル崩壊の前後くらいに生まれ、小さな頃から「失われた10年」、「失われた20年」、ついには30年に延長された時間を過ごし、生きている時間=失われた時間という、元気な頃の日本を知らない閉塞的な時代を生きてきた人たちです。
そんな私たちからすれば、椅子に座って新聞を読んでいれば給料が自動的に振り込まれるなんて管理職の姿は幻想で、溢れるブルシット・ジョブの中、表面的な時間短縮だけが目的化された「働き方改革」の実現を迫られて、部下の仕事も巻き取ってもがき苦しんでいる、という管理職のイメージを持たれている方も多いかもしれません。
私と同世代の方々が、ここ数年で次々と組織のマネジメント側にシフトしています。長過ぎたデフレからの転換、労働供給不足という転換点を迎えることになり、非常に良いタイミングでマネジメント側に移行できると考えています。マネージャーが変われば、全体として、働くことに対する雰囲気も絶対に変わります。
私は、とてもラッキーなタイミングでマネジメントの主役を担うことができるようになったと非常にポジティブに捉えています。
このチャンスをモノにして、働くことに対する停滞感や閉塞感を変えていくためには、これまでの延長でのマネジメント業務への取り組み方ではなく、マネージャーの各個人がそれぞれ意識的に仕事の仕方に変化を付けていくことが重要です。
今日は、私が本来管理職としてやるべき仕事に取り組むための時間をいかにして作り出そうとしているか、どういうことを考えているか、を解説していきます!
プレーイングマネージャーの誤解
「プレーイングマネージャー」と言いますが、実際の管理職の姿を見ていると、私はあまりしっくり来ない言葉です。
実際には、「プレイヤーとしてほぼ100%の時間を割いている、立場がマネジメント職にあるだけの人」の方がより的確に表していると感じているからです。
「マネジメント」にあたる部分での仕事は、就業管理くらいではないでしょうか。
管理職が何をマネジメントするのか?は重要な論点です。
この点、私は主に2つだという感覚を持っていて、1つは「リスクマネジメント」、もう1つは「チームのパフォーマンスマネジメント」です。
1点目のリスクマネジメントに必要なのは、「先読み力」です。
未来を想像し、今後どういうことが起こるから、今この選択をすべき、という判断を続けていくことが重要です。
当然、すべての未来を的確に予想なんて誰にもできないですから、予想できなかったことが起こったとしてもある程度柔軟に対応できるために、平時において周囲に対して支援的な人間関係を構築したり、後で柔軟に対応できるような仕事上の判断をしておくことが大切だと考えます。
そして、今日の本論により近いのが2点目の「チームのパフォーマンスマネジメント」。
チームメンバーの心を燃やし、メンバーができるだけ能力を発揮しやすい環境作りが管理職の最も重要な仕事だと考えています。「評価」も管理職ならではの重要な仕事ですが、これもチームのパフォーマンスを上げるための仕組みですね。
メンバーの心を燃やし続けるためには、やはりチャレンジしやすい環境を作り、あらゆる機会をお膳立てしていくことなのかなと。そして、パフォーマンスを上げていくには、チーム内のコミュニケーションロスやコミュニケーションコストの増大を減らしていくことが大切です。
だから、普段はリモートでしかやり取りしていない仕事の仲間と、節目で直接会って話す機会をアレンジしたり、ビジネスパートナーの仲間と通常業務以外でのノウハウ共有の場を持ったり、お客さんと未来の仕事の仕方について議論する場を設けたりと、これまでの仕事の仕方の延長ではやっていないであろう取り組みを仕掛けていこうと思っています。
こういう仕事は、当然役職に関係なくドンドン提案していけば良いわけですが、管理職の方が実現しやすい面があるのは事実でしょう。チームメンバーが「仕事を通じてこんな経験ができるのか!」とワクワクするような機会を次々に仕掛けていく。そしてワクワクできるから日々の業務のパフォーマンスも上がっていく。こういう仕掛けを自分で作っていけるのが、管理職の仕事の面白いところです。
本来やるべき仕事に時間を割くための3つの心掛け
上述した取り組みは、単に通常業務をプレイヤーとしてどっぷりやっているだけでは、絶対にできないですよね。だから、管理職は少なくとも普段から片手は空けておくくらいの仕事量でいるのが理想です。
私も片手を常に空けておけるレベルには達していないものの、管理職ならではの仕事に取り組むために心がけていることを3つご紹介します。
1 仕事に100点を求めない
プレイヤーとして活躍してきた人ほど「メンバーに任せるよりも、自分がやったほうが早い」と言いますね。確かに最初はそうなのですが、長期的に考えると、自分一人で捌ききれない仕事の量を期限までに終わらせていくためには、必ずメンバーに任せることが必要になります。
そこで、「この仕事は少なくともこういう結果になれば良い」という線引きを自分でした上で、ある程度の単位でメンバーに任せてしまうことを心がけています。
プロセスを具に見ていると、「自分の方が上手くできる」みたいに思えることもありますが、そんな時は、「アリのコロニー」に関する研究を思い出すようにしています。
つまり、適度に寄り道したりする中で、思わぬ形で最短ルートが発見され、「短期的な非効率」が「中長期的な高効率」に繋がるということです。自分が思っている100点は、実は100点ではない可能性を十分に秘めています。
2 自分と一緒にやってみせる
自分の時間を作るためには、自分ができることをメンバー側に移管していく必要があります。自分が担当している通常業務は、何度かメンバーと一緒に取り組んで具体的なやり方を教えて、「自分しかできない状況」を脱することが大切です。
3 アウトプットが柔らかいうちに軌道修正
ある程度アウトプットを固めてからマネージャーに持っていく、というスタイルを取る方も多いかもですが、まだ柔らかいうちから頻繁にコミュニケーションを取ることが重要です。
大抵の場合、アウトプットのイメージが100%正確に伝わっているということはないですから、最初に作って欲しいアウトプットのイメージを伝えたら、管理職側から中間のアウトプットを自分で見にいき、早期に軌道修正を図っていく。オプトアウトです。
そのほうが、全体的な手戻りが少なくなり、最後に自分が無理やり頑張ってリカバリーする、みたいなこともなくせます。
どなたかのご参考になれば幸いです!
それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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