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#199 管理職はメンバーの人生を背負っている

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

2024年度に入り、私のチームに新入社員がさらに1名入ってきてくれました。
この時期は、職場にもまた新鮮な空気が生まれますし、去年新入社員として入ってきたメンバーにとっては、もう1年も経ったのか、とその成長を改めて感じとる時期でもあり、いい季節ですね。

今日は、私自身も管理職の役割で仕事をするにあたり、改めて気持ちを新たにする目的もあり、自身の管理職の仕事の捉え方について、話してみようと思います。

管理職はメンバーの人生を背負っている

過去に上司から管理職任用の推薦を受けて、社内の管理職任用試験の様々なプロセスを受けている過程で、同じように推薦を受けていた仲間が話していたのが「管理職はメンバーの人生を背負っている」という話でした。

メンバーの人生時間の使い方に影響

管理職は、メンバー個人の人生のみならず、そのメンバーの家族の人生にも影響を与えうる存在であり、日々その自覚と責任感を持って業務にあたるべし、という趣旨のことを議論した記憶があります。

例えば分かりやすいのは「時間外労働」です。

1日に2時間の「時間外労働」をメンバーに強いた場合、メンバーはその2時間分の時間を家族と過ごす時間に充てたり、職場以外の人と会ったり、趣味のための時間を作ったり、ということが物理的にできなくなります。

月に30時間の時間外労働であれば、1年で360時間。3年同じチームで仕事をした場合は、1080時間分の人生の時間を奪っている、という言い方もできます。

これは私も普段やってしまっている可能性が大いにあるので気をつけないといけないのですが、管理職の人が発する言葉って、自分で思っているよりもメンバーの人にとっては強力なパワーを持ちうることを意識する必要があります。

管理職が何気なくお願いしたことや発した言葉で、メンバーの方が悩んでしまい2時間くらいどうしようと考えてしまう時間を作ってしまうことにもなりうるので、やらなくていいことは「やらなくていい」ということを明確に伝えることが大切。

実際に、「頑張ってくれたことは分かるが、そこを頑張ってもあまりチームとしての成果に繋がらない」みたいな仕事をする人っていませんか?
これは別に管理職と配下のメンバーという関係性の中だけの話ではなく、同じチームで仕事をしている人や、仕事以外の何かのコミュニティ内での関係性でも生じる話だと思っています。

色々と手間をかけて頑張ってくれているのは分かるものの、厳しい言い方ですが、それが「誰からも求められていない行動」であった場合、そこにかけたトータルの「時間あたり成果」を押し下げることになるので、何もやらない方がマシ、というような話です。

私も20代の時に、エクセルで管理していたプロジェクト内の課題管理表の内容をパワーポイントの資料に転記してサマリーした情報を上司に説明した際に、「仕事のための仕事はするな」と叱られたことがあります。

当時は、「せっかく良かれと思ってやったのにそんな言い方しなくても・・」と感じたのですが、今になってよく分かるのは、やる必要のないことを「やらなくていい」と明確に伝えることの重要さです。

そしてそれは、今の私なりの解釈で言えば、自分のチームメンバー1人1人の貴重な人生の時間を「やっても本質的な価値がない仕事」なんかに割り当てて、無駄にして欲しくない、という気持ちが大きいのです。

仕事を通じた体験の提供

どこでも仕事ができるようになり、最近は徐々に少なくなってきましたが、「転勤」なんかもモロにメンバーの人生に影響を与える話ですね。

これは管理職単体で決められる話ではないものの、会社そのものがこれまで持ってきたかなり強い権限です。

仕事を理由に、その社員の人だけでなく、その配偶者の方の仕事を変える必要が生じたり、子どもがいる場合には、保育園の転園や学校の転校が発生するくらい、そのメンバーの家族の人生にも大きな影響を与えうる話です。

もちろん、社員本人の成長を考慮したアサインの変更や、業務上の必要性がある場合、あるいは社員やその家族の方も住環境を変えることに前向きなケースもあると思うので、一概に「転勤がダメだ」なんて言うつもりはありません。
しかし、それくらい会社の決定というのは、社員や家族の人生に影響を及ぼす可能性があるということです。

逆に、様々な環境を体験させて成長の機会を与えられるかどうか、というのも、管理職の重要な仕事です。
例えば、普段は別拠点にいる同じプロジェクトメンバーと直接話す機会を作ることや、お客さんがどのように自分たちが提供しているサービスを使っているか、という現場を見る機会を作ること。

このような機会は、言ってしまえば「やらなくても短期的に損失が出るわけではない」ことから、あえて作らなくても日々の業務に困ることは少ないです。

しかし、私はやはり仕事の醍醐味は、仕事を通じてでないと話せない人と話したり、行けない場所に行って色んな世界があることを知ることだと感じています。自分たちの仕事で生み出した利益は、社員の成長を促す経験に対して投資し、成長した社員が仕事の成果という形でリターンしてもらう循環を作ることが非常に重要だと考えています。

具体的な話に落とすと、30代中盤になるまで「ほぼオフィスワークのみ」で何となく時間を過ごしてきた人と、「あらゆる仕事を経験し、お客さん先や別拠点のビジネスパートナーの仕事の現場にも足繁く通い、時には修羅場を潜りながら色んな人と協業した経験を積んできた人」では、人間性の深みも変わってきます。

もちろん、こういう経験は会社任せにするのではなく、メンバー自身が自分で稼いだお金を自分に積極投資することも大切です。一方で、管理職側からも積極的にメンバーの成長を促す体験の提供を仕事として取り組むことの重要性をよく認識するのがよいでしょう。

部下あり管理職と部下なし管理職の処遇

このように考えると、同じ「管理職」でも、「部下あり管理職」と「部下なし管理職」でその責任の重さと範囲がかなり違うということが分かります。

ここは企業によって差が出るところだと思いますが、いわゆる日系企業で「部下あり管理職」と「部下なし管理職」で収入が違う企業はどのくらいあるでしょうか?

部下を持たない非ラインの管理職であっても、管理職としての職責手当が付き、部下あり管理職と同じ処遇になっている企業が特に大企業では多いと思います。

ただ、上述したメンバーの人生に対する責任を負っている役割と考えると、そこには一定の差があるほうが健全では?と考えます。

これは管理職の個人視点でどうのこうのという話ではなく、会社が管理職という役割に対して、どれだけ大きな責任を管理職に対して課しているのか、というスタンスを表明することになるからです。

組織の中で日々の業務を混乱なく回すためには一定規模のチーム単位で動く必要があり、それを管理する役割の人が要る、というだけの話ではなく、そこで働く一人一人の人生と向き合う立場にあるのが管理職という役割であることをよく認識しないといけない。


しかし、だからこそ「他人の人生と真剣に向き合う」という管理職しか体験できない面白みがあるのです。

まだまだ私も未熟な管理職ですが、このような想いを忘れずに日々を過ごしていきます。

それでは、今日もよい1日をお過ごしください!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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